インタビュー
榎本憲男監督/『森のカフェ』

榎本 憲男 (監督・脚本・プロデュース)
映画『森のカフェ』について【4/6】

2015年12月12日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて上映中

公式サイト (取材:深谷直子)

『森のカフェ』場面5――大学の哲学科も舞台になり、教授役として大人の俳優さんたちが出ているというのも今までの作品との違いですね。

榎本 おじさまたちの芝居はよかったですね。

――永井秀樹さんと志賀廣太郎さんは青年団の俳優さんですが、どうして選ばれたのですか?

榎本 志賀さんは元から大好きだったので、心の中で最初にキャスティングしていて、この役は実は当て書きだったんです。最初、役名が「志賀教授」だった台本をそのまま送ってオファーしました。永井秀樹さんはKERAの舞台の制作をやっている人に紹介してもらって、青年団コンビになりました。志賀さんはあのころ「壁ドン」のCMですごい人気だったので、日本女子大の食堂でごはんを食べていたら女子大生に囲まれちゃって、一緒に写真撮ったりしていましたね(笑)。でもさすがの迫力で芝居してくださって。青年団の人たちは僕みたいなタイプの演出家には芝居がつけやすいんですよね。気持ちを説明して「こういう気持ちだからこう演じてください」みたいな溝口(健二)タイプではなく、「もう少しだけ間を取ってください」というような指示でばっちり動いてくれる。志賀さんの台詞で「まあ大胆だよね」っていう台詞を「吐き捨てるように言ってください」っていうふうに言ったらもう見事にイメージどおりになった。何度でも同じ芝居ができるのが役者の芝居なんだということが徹底されているんですよね。逆に菅くんは今までやっていなかった芝居だったから今回大変だったようですね。

――映像もテンポがよかったですね。表情に合わせて細かくカット割りされるような。

榎本 オーソドックスな切り返しだと思いますけどね。“引き”と“寄り”の配分は考えましたけど、編集としてはオーソドックスな形を取っています。今までの作品と同様、今回も全シーン絵コンテを描いて、そのとおりに撮っていきました。

――絵コンテに台詞も全部記載していたということですよね。

榎本 そうです。だから現場でもシナリオを持っているよりも絵コンテを持っている時間のほうが長かったです。撮り方でいちばん安全なのは、一連でカメラを回してあとで寄りを撮っていくというやり方なんだけど、時間がかかるんですよね。使う部分だけをバラバラに撮っていくというのはB級映画のやり方でもあるんだけど、これは実際は難しくてリスキーだけれど、僕はそのやり方を選択しています。それには、どういうショットをどう撮るのかを現場で共有していることが大事なので、絵コンテはその指示の出し方が分かりやすいんですよ。

『森のカフェ』場面6――監督の思いどおりのショットをそのまま映像にしてもらうと。

榎本 僕はそういうやり方をしています。長回しで実存の人間の生理みたいなものを定着させるのも、それはそれでいいと思うんだけど、僕の映画はそういうものよりも娯楽寄りな方向に向かい、それでいてちょっと深いというのを目指しています。

――今回は新しいカメラマンと組まれていますね。

榎本 今までの作品を撮ってもらっていた古屋幸一さんがアメリカに留学していたのでハル(PHOTOGRAPHER HALこと川口晴彦)さんにお願いしました。ハルは広告をやっているからやっぱり女の子を撮るのがうまくて、可愛くきれいに撮ってくれる。あとフィックスでアングルを決めるのがすごく上手ですね。カッコいい画になり過ぎて「ここはもうちょっと普通に撮ってください」という調整を少ししなければならないというのはあったけど、広告業界では名の通ったカメラマンが、こんなほとんどお仕事とも言えないような劣悪な条件の中で嬉々としてやってくれてよかったです。

――浮遊するようなカメラワークも独特で面白かったなと思いました。

榎本 それはあんまりうまく行っていないかな。ステディカムで撮っているんですけど、いちばん安い機材を使っているので揺れが出てしまってちょっと気持ち悪いなと。移動はこれからの課題ですね。移動がやっぱり商業映画のキモなんですよ。ただ、今の映画製作では会話シーンなどでも常に意味なくカメラが移動しているのを何となくいい感じって思う風潮があって、そういうのは嫌なんです。フィックスはフィックスで固めながら、ここぞというところで絶妙に動いて刻々とサイズを変えながら対象を捉えていく。そういうのがやりたいんだけど、あるプロデューサーから「それは日本人がいちばん苦手なカメラワークだ」と(苦笑)。ディレクションするときにもどう伝えたらいいのか分からないところがあるし、低予算の映画でテクニカルなものをどこまで求められるのか? というのも難しいところです。カメラワークに関しては課題が多いですね。

――そこは確かに大変なところかもしれませんね。榎本監督はカメラワークにもこだわりをお持ちなんだろうと思いますし。でも今回の映像も本当にきれいで面白かったです

榎本 ハルは広告業界では脂の乗り切った、海外でも個展をやったりするようなカメラマンですからね。映画にも意欲的に臨んでくれてありがたかったです。「もっと映画をがんばります、次も一緒にやりましょう!」って言ってくれています。

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森のカフェ
出演:管勇毅 若井久美子 橋本一郎 伊波麻央 永井秀樹 志賀廣太郎 東亜優 安藤 紘平
監督・脚本・プロデュース:榎本憲男
撮影:川口晴彦 録音:小牧将人 音楽:安田芙充央 編集:石川真吾 美術:松永真帆
配給:ドゥールー © Norio Enomoto
公式サイト

2015年12月12日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて上映中

2015/12/26/17:34 | BBS | トラックバック (0)
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