新作情報

第16回東京フィルメックス スペシャル・メンション受賞
第45回ロッテルダム国際映画祭正式出品

クズとブスとゲス

『クズとブスとゲス』

究極のバカどもが蠢く、純粋無垢な暴力映画!

奥田庸介 監督「この映画を例えるならば、 15の夜に行き先も分からぬまま暗い夜の帳の中を盗んだバイクで走り出す代わりに、 28の夏に生き方も分からぬまま辛く無意味な人生の途中で怒った奥田が暴れだす、といった感じだと言ったら分かりやすいでしょうか。最早映画とは呼べないぐらい個人的なシロモノなのですが、薄汚く自己正当化しますと、今のこの日本文化の有り様だからこそこんな映画があって良いと思います。」

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2016年7月30日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開

INTRODUCTION

女を拉致監禁し、裸の写真をネタに強請(ゆす)りで生計を立てる卑劣な男。ヤクの運び屋から足を洗ったものの、ストレート過ぎる性格が災いして過ちを繰り返すバカ男。自己主張が苦手で、流されるがまま生きてきた結果、苦界にはまり込んでしまう女。社会適応力ゼロな3人が繰り広げる血と暴力と涙と、愛と憎悪とメロウの乱反射――。漂白、殺菌された映画ばかりが氾濫する現在の日本映画界、そして閉塞感が極みに達した“今”という時代そのものに唾を吐きかける、純粋無垢な暴力映画がここに誕生した。

監督は、自主制作映画『青春墓場』三部作(08・09・10)が高く評価され、最終作『青春墓場~明日と一緒に歩くのだ~』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリを受賞。若干24歳にして『東京プレイボーイクラブ』(11)で、華々しく商業映画デビューを飾った異才・奥田庸介。しかし、その後思うように作品を撮ることがかなわず、日雇い労働に従事したり、夜の世界に身を投じるなどして雌伏の日々を過ごしていたという。そうした数年間を経たのちの4年ぶりの長編新作となる本作は、原点である自主制作の現場に立ち戻り、製作資金はクラウドファンディングによって調達。スポンサーや映画会社の制約と庇護から一切解き放たれ、それゆえに、ひりつくようなリアリティと切実感が細部まで横溢。自身の率いる「映画蛮族」のスタッフと共に制作し、完成へとこぎつけ、第16回東京フィルメックスでスペシャル・メンションを受賞。第45回ロッテルダム国際映画祭へも正式出品作品として招聘された。

『クズとブスとゲス』場面1

直情バカのリーゼント男には、『青春墓場』三部作時代から奥田映画となじみの深い板橋駿谷。その恋人で、理不尽な状況を必死に生きる女には、オーディションで選ばれ、これが本格的な女優デビューとなる岩田恵里。そしてスキンヘッドのクズ男には、奥田庸介自身が体重を15キロ減量し、眉を剃り落とし、鼻ピアスを着ける肉体改造を施して扮している。さらに、北野武作品や多数のTVドラマで活躍する芦川誠が、3人の運命を掌で転がすヤクザ役で出演。

アクションはすべてリアルファイト、流れる血は本物。その徹底ぶりは鬼気迫るものがあり、本番中にビール瓶で奥田自ら頭をカチ割って12針も縫う大けがを負い、そのまま病院送りになって撮影が中断したほど。演者たちが自らの肉体も心もカメラの前に差し出して、叫び、泣きうめき、殴り合い、憤怒と慟哭を極限ぎりぎりまで突き詰めた果ての果てに彼らが得るもの、そして失うものは……?露悪的な題名からして確信的なほど本作は、私たちの常識に、モラルに徹底的にゆさぶりをかけ、問いかけ直してくるだろう。

『クズとブスとゲス』場面2
STORY

寂れたダイニングバーで獲物を物色するスキンヘッドの男(奥田庸介)。彼は見知らぬ女性に声をかけては薬で正体不明にさせ、裸の写真を撮って強請りを働くサイテーの男。今夜もまたひとりの女が彼の毒牙にかかる。しかし女はヤクザ(芦川誠)の下で働く商売女だった。怒り狂ったヤクザ一味に、母親と住む自宅に押し入られたスキンヘッドは、1週間以内に200万円払わないと殺すと逆に恐喝されるハメに。行きつけのバーのマスターに強引に大麻を売りつけることで金を作ったスキンヘッドだったが、約束の金額には程遠い。

その大麻の運び屋となったのが、リーゼントの男(板橋駿谷)。現在は恋人(岩田恵里)のためにまっとうな職に就こうとしていたが、就職面接で意気揚々と前科を語るような究極のバカ男。恋人を愛する気持ちは誰よりも強いものの、彼女の誕生日プレゼントを用意する金もない。仕方なくバーのマスターに持ちかけられて運び屋稼業を再開、わずかばかりの金を手にした。

『クズとブスとゲス』場面3

数日遅れて恋人の誕生日を祝うリーゼント。恋人は喜ぶものの、それが運び屋で得た金と分かり大喧嘩に。リーゼントのもとを飛び出し、独りダイニング・バーで傷を癒す女に近づくスキンヘッド。人恋しさから思わずスキンヘッドに気を許した彼女は、彼の罠にはめられる。

借金の肩代わりにされた女は、デリヘル嬢として客をとるようになった。おかしいとは思いながらも、負のスパイラルを断ち切ることができない流され易い女。一方、恋人が去って落ち込むリーゼントは、バーのマスターからたまたま彼女が男とホテルに入るところ見たと聞かされる。我を失ったリーゼントは、夜の歓楽街を猛然と走っていく。

ホテルから恋人を救い出したリーゼントは、彼女を地獄に突き落としたスキンヘッドの元へ向かう。愛する者を弄ばれたリーゼントの怒りが炸裂するが、スキンヘッドも負けじと対抗。そこにやってきたのは大事な商売道具に逃げられたヤクザ一味だった。彼らはふたりをまとめて拉致、凄惨なリンチを繰り返す。卑劣な者たちの壮絶で愚かな闘い。果たして彼らは、この汚れた街から脱出できるのだろうか……?

『クズとブスとゲス』場面4
CREDIT
出演:板橋駿谷,岩田恵里,大西能彰,カトウシンスケ,芦川誠
プロデューサー:奥田大介・小林 岳・福田彩乃 撮影:矢川健吾
編集:小野寺拓也 録音:根本飛鳥 照明:松永光明
脚本・監督・主演:奥田庸介
2015 年/日本/カラ―/DCP/ 5.1ch/シネスコ/141 分
製作:映画蛮族 配給:アムモ 98 ©2015映画蛮族

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2016年7月30日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開

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2016/07/13/22:10 | トラックバック (0)
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