監督・脚本:林隆行 × 原作:うめざわしゅん「海の夜明けから真昼まで」(「一匹と九十九匹と」所収)
海の夜明けから真昼まで
2023年8月4日(金)~アップリンク吉祥寺他順次公開予定
人間には、幸福になる義務がある。
都心から少し離れた寂れた港町で、 “ある男”が起こした監禁事件。
被害者の女子高生、工藤麻衣は、学校に復学するも浮いた存在となっていた。
そんな彼女に唯一話しかける同級生の氏家。
彼もまた、度重なる問題行動を起こし、学校に馴染めていない一人だった。
そんなある日、クラスメイトからの陰湿な嫌がらせに対して、暴力で対抗しようとする氏家。
その様子を目の当たりにした麻衣は、 “ある男”の言葉を思い出し、行動を起こす。
監禁生活で麻衣が受け取ったものとは――。
そして彼女が起こした行動の本当の意味とは――。
ある男、麻衣、氏家。三人が複雑に連鎖し、思いもよらぬエンディングに向かっていく。
本作は、昨年月刊アフターヌーンで連載中の『ダーウィン事変』にてマンガ大賞 2022 大賞を受賞した”うめざわしゅん”原作の初の映画化作品。
昨年、インディーズ映画の登竜門とも言える、田辺・弁慶映画祭において、受賞作を劇場公開する「田辺・弁慶映画祭セレクション2022」にて、 9 月にテアトル新宿、 10 月にシネ・リーブル梅田にて今作監督の林隆行の他短編とのオムニバス映画『人間、この劇的なるもの』として 4 日間のみ限定公開され、テアトル新宿を 2 日間満席。 4 日間の上映にも関わらず 600 人を超える観客を動員した注目作。
全ての始まりである、監禁事件の犯人である、謎多きある男を演じるのは、第10回TAMA映画賞にて最優秀新進男優賞を受賞し『ミッドナイトスワン』などで知られる怪優 “吉村界人”。
監禁事件の被害者であり、この物語の鍵となる女子高生、工藤麻衣役には、圧倒的な透明感と唯一無二の雰囲気で、 SNS界隈でも注目を集める若手女優 “羽音” を抜擢。麻衣の同級生、氏家に扮するのは『許された子どもたち』にて、第75回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞した期待の若手俳優 “上村侑”。
その他、カトウシンスケ、遠藤留奈、若林時英、櫻井健人、三浦獠太、林裕太、山﨑翠佳、栗林藍希、さくら、など実力派、個性派、フレッシュな若手らが集結。
それらをまとめる監督には、日本映画界を牽引する監督を輩出してきた若手映画監督の登竜門 田辺・弁慶映画祭、第15回にて吉村界人主演の短編『情動』にて異例の「審査員特別賞」を受賞した監督 “林隆行”。若き才能が集結し、現代社会に一石を投じる意欲作だ。
- 痛い。
とても痛いよ。
全然キラキラしていないが、紛れもなく⻘春映画である。
若き俳優たちの熱演に⼼打たれました。 ――内⽥英治 / 映画監督 - ⼗代の甥が上京した折、本作を観に劇場に連れて⾏きました。
鑑賞後、⼝をあんぐり開けた甥は⼀⾔、 「――すごかったね」と呟きました。
僕の⽤意したコメントも下記に記します。
冒頭から⻘年期特有の強烈な虚無感を想起させるショットに引きずり込まれる。
それに抗うことはほとんど困難だろう。
⼀体これは誰の体験なのか?
胸を掻き毟るほど苦しさが、愛おしく、懐かしくもあった。
どうでしょうか?
⼀⼈の若⼈の魂の呟きのほうが、何よりこの映画を物語っていると僕 は思います。
――篠原篤 / 俳優 - そのトンネルの先には、あなたが忘れてしまった、純粋で無垢で傷だらけの⻘春があった。必⾒!――安藤親広 / 映画プロデューサー
- 「分かるはずがない」とある登場⼈物は⾔った。
当事者間で何が起こっているのかは複雑性を帯び、分かりやすく解体して事実を提⽰することはない。
しかし、⼈の美しさが⾒える。
「分かるはずがない」のだが、その美しさに惹かれた。
――前信介 / 映画プロデューサー - クラスメイトの暴⼒的な善意が嫌だったと話すヒロインは、
ある男の暴⼒的な善意に救われ、ある男を暴⼒的な善意で救う。
⽻⾳さんの⽣を感じないほどの美しき透明感、
上村侑さんの絶望から希望へと転じてゆく笑い声、
吉村界⼈さんの危うい瞬発⼒とラストの⼀⾔、
三者三様の演技が素晴らしい。――LiLy / 作家
- 家にもない、学校にもない居場所を探し、もがき、社会に翻弄されまいと歩みを続ける少⼥。
⾝体の中に溢れる今にも暴発しそうなものの表現の仕⽅がわからない少年。
⾃らの⾁体と精神が社会の⻭⾞の⼀部でしかないことに幻滅し、絶望する⻘年。
懸命に⽣きる三⼈が少しだけ互いに触れ合った時、我々は⼈間の⼤胆な優しさを⽬の当たりにする!――⼩林⻯樹 / 俳優 - 蝉の声、地⽅の港町。
どこにでもある⾵景に⽣きる 3 ⼈の社会と馴染めない若者たち。
モチーフとなるトンネルの⼊り⼝と出⼝はとても明るい。
3 ⼈は光と影の狭間で愛の形を⾒出していく。
きっと明るい場所だけが希望ではなく暗い場所だから絶望でもない。
そんな幸せの多様性がありふれた町で描かれる違和感が無駄のない演出と相まって⼼地良い。
監督とは旧知であるが、昔から変わらないピュアで映画愛溢れる作品を⾒れたことがとても嬉しい。――安井達郎 / モデル・俳優 - 台詞⼀つ⼀つが⼼にそっと置かれるような感覚になった。
それはこの世の中のどこかに 取り残されたしまった⼀⼈だけでも、せめて救えるように、と思ったこの映画だからなのかな、と思えました。
別現場でご⼀緒させて頂いた林監督、⽻⾳さん。
あの時とはまた違ったお芝居と存在感、そして素敵な作品でした。
――兵頭功海 / 俳優 - ⾃分は「普通」だと思い込んで⽣きている⼈々の異常さ。
「普通」から外れてもなお、⽣きようと⾜掻く⼈の尊さ。
こんな素敵な⼈間たちを⽬の当たりに出来て、⼀緒に悩めて、喜べる瞬間が得られるから、私は映画が好きです。――東出昌⼤ / 俳優 - 光が、⾳が、波が、影が、そして終われない⽣が流れていく。
ひさびさに映画でただの完璧な時間に遭遇した気がする。
――成⽥悠輔 / 経済学者・起業家 - ⼈⽣は⼿探りだ。正しい答えなど存在しない。
この映画ではトンネルや灯りのない部屋、或いは、夜の⾼架下といった"暗がり"を描いている。
それは「⼈⽣が前⽅不良なものである」と⽰唆しているかのようなのだ。
他⽅、光の射す在処も意図的に描かれている。 暗がりを抜けてゆく道程こそが最も暗い。
だが、憂うなかれ。 その先にあるは、光の射す場所なのである。
林隆⾏監督は若者たちの歩む姿を繰り返し描いている。
それゆえ、暗がりを抜けてゆくプロセスにこそ、⼈⽣にとって重要な何かがあるはずだと⾔わんばかりなのだ。――松崎健夫 / 映画評論家
遠藤留奈,若林時英,櫻井健人,三浦獠太,林裕太,山﨑翠佳,栗林藍希,さくら,カトウシンスケ
監督・脚本:林隆行
原作:うめざわしゅん「海の夜明けから真昼まで」(「一匹と九十九匹と」所収)
製作: ARARAT・ SKALY・ kigo inc. プロデューサー:松原史和・加島貴彦・松井優・羽染達也
ラインプロデューサー:大門剛 音楽:加藤久貴 音楽プロデューサー:濱野睦美 撮影:安岡洋史
照明:織田誠 美術:中村三五 装飾:室井彩香 衣装:石谷衣 ヘアメイク:七絵
アクションコレオグラファー:高槻祐士 編集:中村幸志朗 VFX:KASSEN 音効・整音:渡辺寛志
キャスティング:田中裕也・大橋優衣 助監督:土田準平 制作担当:石賀康寛 デザイン:南浦ソウスケ
制作プロダクション: ARARAT 宣伝・配給:「海の夜明けから真昼まで」製作チーム・ ARARAT
2022 / 日本 / 77 分 / カラー / アメリカンビスタ/ ステレオ
©「海の夜明けから真昼まで」 製作チーム・ ARARAT
2023年8月4日(金) ~アップリンク吉祥寺他順次公開予定
- 映画原作
- (著):うめざわしゅん
- 発売日:2018/8/30
- おすすめ度:
- Amazon で詳細を見る