どうしようもない僕のちっぽけな世界は、
2022年6月25日(土)より渋谷ユーロスペースにて全国順次公開
親になる、ずっと途中。
夫婦は児童相談所からこどもへの虐待を疑われ、娘・ひいろを養護施設に入所させられてしまう。定職に就かず、実家から金を借りながら日々を過ごす夫と身勝手な暮らしを続ける元妻。ある日、児童相談所から条件付きで娘を引き取ることとなり、二人は再び娘・ひいろとの生活をスタートさせる。親としての責任を次第に自覚していく主人公の“彼”。しかし、無自覚に娘への無視や放置を繰り返してしまう。「取り返しのつかない虐待を自分は起こすかもしれない……」そんな恐怖を“彼”は抱き始めていた──。
中途半端な俺たちだって、きっと生きていける──
この作品が出来た時、生まれて初めてこれは僕だと思いました。
これが倉本朋幸です。と誰がなんと言おうが言える。
実際この映画に出てくることのほとんどは実話です。
だけど僕の実話ではありません。ただ本当にこれは僕だと思いました。
中途半端に人生を生き中途半端な覚悟で父になり、
中途半端になんとか嘘をつき続けて、なんとか色々な人に助けられて調子良く生きている。
世の中の大半の人は一生懸命生きていらっしゃる。
僕みたいな中途半端な人間はほとんどいない。
だからこそ、そういう人間がここにいるのだと。
ここに生きているのだと。
僕は僕を肯定したかった、全否定したかった。
つまり、僕のことを嫌いな人は嫌いだろうし、
僕のことを好きになってくれる人は好きになってくれる。
本当に何にも考えず、正直にこれが僕ですと言える作品です。
この映画を見て「これは僕だ」って、
大多数じゃなく、心底そう思ってくれる人のためにこの映画を作ります。
大丈夫。絶対中途半端な俺たちだって、
今日も明日も明後日も来年も、きっときっと生きていける。
生きていいんだ。
絶対絶対生きて生きて生きていいんだ。
監督 倉本朋幸
劇団・オーストラ・マコンドー主宰の演出家
倉本朋幸による映画初監督作品
オーストラ・マコンドーとは、2010 年に倉本朋幸を中心に結成された演劇プロデュース・ユニット。小劇場演劇の枠に全く入り切らないスケール感と、「次に何を繰り出すか予測不可能」な要素が無二の存在感を際立たせている。
より多くの人々が演劇を通して人生を豊かに、幸せなものになって欲しい。
その想いが創作に挑む原動力となっている。
旗揚公演では岡田利規『三月の5日間』を赤坂 RED シアターにて上演し、4 桁動員という滑り出しを飾る。その後様々なジャンルに題材を求め、2012 年には TOKYO FM HALL にて舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』を、2013 年にはフランク・キャプラの名作映画『素晴らしき哉、人生!』を上演し、様々な方面からの注目と評価を得る。また、意欲作であるオリジナル作品『トーキョービッチ, アイラブユー』は映画化され、第14回東京フィルメックスにて、スペシャル・メンションを授与された。
多くの公演で実績を重ねてきた確かな演出力で、初のオリジナル長編映画作品に挑む。
監督・脚本 倉本朋幸(くらもとともゆき)
1981年高知県出身。2010 年舞台演出家デビュー、オーストラ・マコンドーを結成。2014 年に劇団化。現在までに海外戯曲、日本の古典、寺山修司・小津安二郎作品のオマージュや自身のオリジナル作品を含め、様々なジャンルの舞台作品を 100 本以上演出している。本作『どうしようもない僕のちっぽけな世界は、』が初の映画監督作品となる。