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映画『リベリアの白い血』トークイベントレポート Part1/5
1、山本政志(映画監督)×長谷井宏紀(映画監督)×福永壮志監督

『リベリアの白い血』山本政志(映画監督)×長谷井宏紀(映画監督)×福永壮志監督8.15トークイベントレポート

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アップリンク渋谷にて大好評上映中!ほか全国順次公開

8月5日よりアップリンク渋谷にて公開となった福永壮志監督の長編デビュー作『リベリアの白い血』。公開2週目の8月12日からは、連日映画監督、俳優、映画評論家からお笑い芸人、写真家まで、多彩なゲストを迎えて福永監督とのトークイベントが開催された。ベルリン国際映画祭を皮切りとした各国映画祭への出品、受賞など、海外で高い実績を上げてきた本作だが、ニューヨークに暮らすリベリア移民を主人公とする物語が、日本人にはなじみの薄い世界を描くものであることがネックとなり、公開にこぎつけるまでは多くの苦労があった。そんな本作を応援するために集結したゲストとともに、作品にまつわる様々なエピソードや、映画制作現場の事情などが語られ、毎夜大勢の観客を前に熱量の高いトークが展開された。9月からの地方公開に合わせて、その模様をお届けしていきたい。
(取材:深谷直子)
STORY 西アフリカ・リベリアからニューヨークへ、自由を求めて生きる男がいた。
リベリア共和国のゴム農園で働くシスコは過酷な労働の中で家族を養っていた。仲間たちと共に労働環境の改善に立ち上がるが、状況は変わらない。そんな時シスコは従兄弟のマーヴィンからニューヨークでの生活のことを聞き、より良い生活のために愛する家族の元を離れ、自由の国アメリカへ単身で渡ることを決意する。NYのリベリア人コミュニティに身を置き、タクシードライバーとして働き出したシスコ。移民の現実を目の当たりにしながらも、都会の喧噪や多種多様な人々が住むこの地に少しずつ順応していく。しかし、元兵士のジェイコブとの予期せぬ再会により、リベリアでの忌々しい過去がシスコに蘇ってくるのだった……。

8月15日(火) 登壇者:山本政志(映画監督)、長谷井宏紀(映画監督)、福永壮志監督 【1/2】

山本政志監督山本政志監督
長谷井宏紀監督長谷井宏紀監督
「海外での映画作りの先駆者的存在」と司会者から紹介を受けた山本政志監督のほか、現在もシネスイッチ銀座他にて公開中の『ブランカとギター弾き』の長谷井宏紀監督も急きょ参加となったこの日のトーク。ワークショップ「シネマ☆インパクト」を主宰し、日本の若い監督、俳優の育成にも尽力する山本監督、世界を放浪する中で映画の題材や人脈を築いてきた長谷井監督、ニューヨークを拠点に映画制作を行ってきた福永監督が、それぞれの立場から海外での映画制作についての熱い思いを披露した。

まずは山本監督が、福永監督と出会ったのはそれぞれ『水の声を聞く』(14)と『リベリアの白い血』で参加した2015年のベルリン国際映画祭だったと説明。山本監督は「そのときに作品を見せてもらったんだけど、日本語字幕が付いていなかったから話がわかっていなかったかもしれない(笑)。いや、面白かったですよ。それで福永が日本に来たときに、会わせたい監督ということで、長谷井宏紀と富田克也と蔦(哲一朗)と柳町光男監督と飲んで、そんな感じの出会いでした」と、ニューヨーク在住の福永監督と日本の監督たちとの交流のきっかけ作りについても明かした。
一方、ヴェネツィア国際映画祭の出資で『ブランカとギター弾き』を制作した長谷井監督は、『リベリアの白い血』について、「ヴェネツィアの先輩が”Art is weapon.”、映画は武器なんだ、ということを言っていて、『リベリアの白い血』を観てそういうことをすごく感じたし、そういう監督が僕の近くにいるんだということに勇気をもらったし。80年代から海外で映画を撮ってきた山本監督のあとに続く監督だと思いながら映画を観ていました」と絶賛。

そんな長谷井監督、福永監督をはじめ、若手監督の海外で制作した作品の躍進が目立つ昨今のインディーズ映画界について、山本監督は、「今年は本当に不思議と面白くて、(『バンコクナイツ』の)富田もすごいレベルが上っちゃったし。長谷井も10数年フィリピンに通ってスラムの子供たちと友達になってから『ブランカとギター弾き』を撮ったわけで、フィリピンの風景を普通に何の衒いもなくスッと撮っているんだけど、なかなかできるもんじゃない。『日常の些細な出来事を描いてみました』みたいな映画が多いけど、『お前のつまんない日常なんて見てどうするんだ?』という感じがあって、長谷井も福永もそうじゃないところを見ようとする作り手の意思、こういうところへ乗り込んでいこうとする勇気とかものを作る上での純粋な好奇心というか、俺はやっぱりそういう映画が本当に好きなんだよ」と、熱烈な賛辞を贈った。

さらに海外での映画作りの面白さには、違う文化の中での過酷ながらも創造力が試される体験そのものもあるとしながら、”現地タイム”に関する苦労話も明かされた。
福永監督が「待ち合わせに来ないというのもしょっちゅうで、スケジュールどおりに何かやろうとしたらなかなか進まないんですけど、自分が行ってやっているので、自分の価値観を持ち込んでやってもうまくいかないのは当然で」と語ると、山本監督も「早朝撮影で朝5時集合だったのに揃ったのが昼12時半ぐらいだったり、俳優が1時間半ぐらい現場からいなくなったり。でもそういうほうが楽しいよね」とさらに大らかに体験談を披露し、長谷井監督も「俄然盛り上がる。全部決められたとおりにいったらつまらない」と同意した。

1 2

2 亀山亮(写真家)3 大西信満(俳優) × 蔦哲一朗(映画監督)
4 水道橋博士(お笑いタレント) × 松崎まこと(映画活動家)5 深田晃司(映画監督)

リベリアの白い血
(原題: Out of My Hand/2015年/米国/88分/リベリア語・英語/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/DCP)
出演:ビショップ・ブレイ,ゼノビア・テイラー,デューク・マーフィー・デニス,
ロドニー・ロジャース・べックレー,ディヴィッド・ロバーツ,シェリー・モラド
監督:福永壮志 撮影:村上涼,オーウェン・ドノバン
音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (元 BATTLES) 製作総指揮:ジョシュ・ウィック,マシュー・パーカー
製作:ドナリ・ブラクストン,マイク・フォックス 共同製作:早崎賢治,マーティー・ラング
脚本:福永壮志,ドナリ・ブラクストン 照明:ロイ・ノウリン,トム・チャベス 録音:マイク・ウルフ・シュナイダー 音響:アン・トルキネン,イーライ・コン 編集:ユージン・イー,福永壮志
美術:スティーブ・グリセ,イオアニス・ソコラキス 衣装:キャシディ・モシャー
配給・宣伝:ニコニコフィルム 協力:Uplink ,Normal Screen,松下印刷,蔦 哲一朗
後援:アフリカ日本協議会,アジア・アフリカ協会 © 2017 ニコニコフィルム

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アップリンク渋谷にて大好評上映中、10/6(金)まで!
10月20日まで大阪シネ・ヌーヴォ、10月7日より長野上田映劇、10月21日より北海道 浦河大黒座、苫小牧シネマトーラス、10月28日より青森松竹アムゼ、フォーラム福島、山口 市民シアター 萩ツインシネマ、11月11日よりイオンシネマ徳島、11月27日より広島 横川シネマ、11月下旬より岩手中央映画劇場、12月9日より広島 シネマ尾道 ほか全国順次公開

2017/09/11/23:11 | トラックバック (0)
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