インタビュー
ジョン・ウィリアムズ監督『審判』

ジョン・ウィリアムズ(監督)
映画『審判』について【3/5】

2018年6月30日(土)より渋谷・ ユーロスペースにて公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook youtubeリンク (取材:深谷直子)

ジョン・ウィリアムズ監督2
――シュールな世界観の作品ですが、俳優さんたちにはどんな指示を出されたんですか?

ウィリアムズ 自然派の演技というより舞台に近い演技スタイルにするのは狙いだったのですが、ちょっと微妙でありながら一貫性のある演技をやってもらうのは難しかったです。全体的なトーンが同じになるように持っていくのに苦労しましたね。でもワークショップでずっと一緒にやってきた成果が出たと思います。

――主演のにわつとむさんの魅力は?

ウィリアムズ 舞台版の『審判』でも彼が主役をやっていて、映画でもそうするかどうかは決まっていなかったけど舞台での演技がすごく好きだったんです。彼も役者としてのトレーニングをずっとやってきていて、自分の演技のクセを壊そうとしている。その努力も僕はかなり買っていました。『いちばん美しい夏』で初めて一緒に映画を撮ったときは彼も若かったし、お笑い芸人出身ということもあって彼の芝居っぽさを壊すのはかなり難しかったけど、完成した作品ではナチュラルな演技だったんです。でもその後いろんな舞台やドラマをやる中で、自分の演技に舞台っぽいナチュラルじゃないところがあるのは彼自身わかっていて、乗り越えるためにがんばってきたんですね。ある意味自分を罰するようなところもあって。それも木村というキャラクターとドッキングしました。

――女優さんたちはいかがですか?

ウィリアムズ みんな発見でしたね。常石梨乃さんはワークショップにいちばん最初から参加してくれてよく知っていました。関根愛さんは上智大学を卒業した女優さんで、ワークショップには来ていなかったんですがオーディションで選びました。川上史津子さんは僕が行っていたバーで「エロ短歌を詠む女優さんがいる」という噂を聞いていて、ダメ元でオーディションに呼んだら非常にパワフルな演技を見せてくれたのでお願いしました。早川知子さんは僕がプロデュースした短編でも主演していて、そこで彼女の全然違う演技を見ていました。細かくキャラクターを作る女優さんで幅広いことができますね。素晴らしい女優さんが揃って、みんな好きです。

――深田晃司監督がカメオ的に出演していますね。

ウィリアムズ はい。深田監督は「独立映画鍋」というネットワークを立ち上げたおひとりで、僕も映画鍋のメンバーなのであちこちでご一緒するうちに友達になって出演をお願いしました。『淵に立つ』(16)がカンヌで受賞した後の宣伝とかですごく忙しい時期に参加してくれて感謝しています。演出しているところを他の監督に見られるのはプレッシャーでもあったんだけど、ニコニコしてくれていて(笑)。

――(笑)。途中で出てくるパペット劇も印象的でした。『審判』の舞台版ではオープニングシーンに影絵が使われていたそうですし、『スターフィッシュホテル』では柄本明さんがウサギの着ぐるみを着ていました。監督の作品で人形は重要な役割を果たすもののようですね。

『審判』にわつとむ、常石梨乃 『審判』村田一郎、川上史津子ウィリアムズ そうですね、『審判』においては「人形」はひとつのテーマになっています。主人公のK、この映画での木村には自由がない、ある種の人形になっている。でも人間と人形はどう違うのだろう?と。人形もある意味生き物なので、芝居の中では人形は生かせるんですよね。そして人間は社会だとかにコントロールされた人形でもある。木村が苦労している人生のパズルは一般の人々全員に共通するパズルだと思っていて、人形劇がそれを象徴するものになると思って取り入れました。僕は「人間って何なんだ?」ということにとても興味があるんです。人間と人形、人間と動物、人間と妖怪、その境界線とは何だろう?と。人間は科学的には動物だけど、社会化されると自分の中の動物的な部分を捨ててしまうことが多く、生きるために動物的なところに戻る必要があると思うんですよね。特に想像力を使って生きるために、人間のルーツ、自然に戻らないと息苦しくなっちゃうんです。僕がいつも思うのは、『審判』でKがなぜこんなふうに苦しんでいるかというと、Kの中のイマジネーションの世界とか無意識というものが奪われているからだろうと。多分村上春樹に近い考えなんです。僕は村上春樹が大好きなんですが、彼の小説にはいつも地下の世界が出てきますね。そして人間がそこと切り離されると変な生き物になってしまう。彼も現代の日本は勢いをなくしていると思っているだろうと彼の小説を解釈しています。村上春樹もカフカが好きだと思いますよ。

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審判 ( 2018 年/日本/アメリカンビスタ/5.1ch/118 分 )
出演:にわ つとむ,常石梨乃,田邉淳一,工藤雄作,川上史津子,早川知子,関根愛,村田一朗,大宮イチ,
坂東彌十郎(特別出演),高橋長英,品川徹
監督・脚本:ジョン・ウィリアムズ
原作:フランツ・カフカ「審判」 音楽:スワベック・コバレフスキ
プロデューサー:高木祥衣,古川実咲子,塩崎祥平 撮影:早野 嘉伸 照明:大久保礼司
録音:小川武 美術:中村三五 編集:稲川実希 音響効果:堀内みゆき 監督補:高田真幸
助監督:岩崎祐 ヘアメイク:西尾潤子,松本幸子 衣装:斎藤安津菜 制作担当:竹上俊一
後援 上智大学ヨーロッパ研究所 公益財団法人日独協会  製作・配給・宣伝 百米映画社
© 100 Meter Films 2018
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2018年6月30日(土)より渋谷・ ユーロスペースにて公開

2018/06/27/19:13 | トラックバック (0)
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