今週の一本
(2006 / アメリカ / ジョナサン・デイトン,ヴァレリー・ ファレス)
オリーブのお腹に乾杯

百恵 紳之助

 人目をはばからず、映画館で号泣したのは「ハチ公物語」以来だが、 大笑い号泣した映画はこの作品が初めてだ。しかも一つの場面でだ。

 小学校の卒業式のとき、本番でふざけて大声で卒業式の歌を歌っていたら、 同じクラスのブス子ちゃんがそんな俺を見て笑いながら号泣していた。今でもその笑顔号泣顔を覚えているくらい、非常に醜いと思ったが、 きっと俺もそのブス子と同じような顔をしていたことだろう。

 家族でも恋人でも友人でも、まあ誰でもいいけど、自分にとって大切な人が非常にミジメな状態にあり、 しかも当の本人はそんな状況にあまり気づいてない…。でも自分は「あ!あいつ、今ミジメ!」って気づいている。そんなときに、 その人のことを、堂々と(まあ少しくらいは恥ずかしがりながらでも)応援できる人間になりたい。と思った。 要はこの映画のほぼラストシーンである娘オリーブのミスコンでのダンスシーンのことだ。きっと俺ならその場から逃げ出してしまっただろう。 この家族は踊った。みんなで。もちろんオリーブをミジメにさせないぞって気持ちだけのことではないだろう。ただでさえ、 様々な問題抱えた一家がミスコンに来る道中でも色々あった。それこそ彼らが乗っている、坂道で止まれない、 クラクション鳴りっ放しのオンボロバンのように、いつブッ壊れてしまうとも分からない状態の連続だ(しかし車ネタが全部爆笑モノ)。

 そんな家族と車が何とかブッ壊れることなくミスコン会場につく。しかし明らかにレベルが違う。 こんな大会にオリーブを出しても、大恥かくだけだ。しかも振り付けは旅の道中でポックリ逝ったヤク中のジイちゃん。 一体どんなものになってるやら想像つかない。でも結局オリーブは出ることになり一家は客席に。 はっきり言って映画の登場人物でなくとも生きた心地しない。すんげぇハラハラした。
 オリーブ出てきて音楽鳴る!踊り始まる。あとは大笑い号泣にまっしぐら。 死んだジイちゃん含めボロボロの家族が最後にクソみそなダンスを踊って泣き笑いという珍しい体験を味あわせてくれた。

 腹の出すぎなオリーブとこの一家に幸あれ。あと、俺にも。

(2007.1.29)

2007/01/30/11:01 | トラックバック (0)
百恵紳之助 ,今週の一本
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