「月刊SCREEN」を発行している近代映画社から、あたらしく映画専門の新書シリーズが刊行された。その名も「SCREEN新書」。帯には「あるようでなかった、映画の新書です」と書かれているが、じつは筆者が以前勤めていた出版社でも、映画の新書シリーズの企画が持ち上がったことがある。もっともその頃の会社には、新書を出して収益が上がるのを悠長に待つだけの経済的余裕はなく(じっさい筆者が退社して半年後にその出版社は潰れてしまった)、企画はすぐに立ち消えになったのだけれど。
で、その「SCREEN新書」、第一弾のラインナップを見てみると、北島明弘『アメリカ映画100年帝国』、筈見有弘・渡辺祥子『その時、ハリウッド・スターに何が起こったのか?(上)』など、ベテランの書き手を揃えて、安定感をもたせた印象が強い。
そんななかで異彩を放っているのが、秋本鉄次『映画は“女優”で見る! 映画生活を楽しくするススメ』だ。
意外なことにこの本、秋本氏にとっては初めての単著となる。『シティロード』の連載「銀幕ねえちゃん品定め」から現在に到るまで、「映画は“女優”で見る」という信念を貫いてきた氏の集大成であり、おそらく近い将来、奇書と呼ばれるであろう一冊である。
第1章から第3章までは、ハリウッドやヨーロッパにおける女優のヌード小史(もっと膨らませて、これだけで一冊編んでほしい)、歴代ボンドガールの回想など。本書の半分以上を占める第4章では、秋本氏お気に入りの女優たちがたっぷりと紹介される。
秋本氏が「わが世界最愛女優」と言って憚らないキム・ベイシンガー様(氏の並々ならぬ愛情に敬意を表して、筆者も敬称を付すことにする)や、心中覚悟で擁護するシャロン・ストーンら殿堂入りのパツキン女優はもちろん、パイパー・ペラボー(通常ならパイパー・ペラーボと表記するところをわざわざペラボーと書いてまで駄洒落をとばそうとする心意気!)やカリ・ウーラーといった知る人ぞ知るセクシー系、ヒラリー・スワンクやブリジット・ニールセン(わはは!)といった通好みの“美女”まで、独断と偏見で選ばれた48人が百花繚乱のごとく登場する。各女優のページには、それぞれ魅惑的なポートレイトが添えられており、ノリノリの秋本節と相俟って、ほとんど扇情カタログの趣である。
ただし、ドリュー・バリモアやクリスティーナ・リッチといったロリムチ系女優は、秋本氏の好みではないらしく、本書には登場していない。
あと、個人的な意見を言わせてもらえば、スカーレット・ヨハンソンはヌードになるよりも、ムチムチのテニスウェア姿のほうがエロいと思いますよ、秋本先生。
女優をとおして映画を語ること、それは映画の本質を見極めるためのもっとも有効な手段である。映画の本質とはなにか? それはフィルムにどんな瞬間が焼き付けられ、どんな運動がそこで行なわれているか、ということにほかならない。
<映画って貴方にとって何ですか?とはよく聞かれる質問だが、それは“刺激”です、と答えている。“女優”は最も美しい“刺激”なのである>
これこそ快楽装置たる映画の本質ではないだろうか。
(2008.8.15)
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