オリヴィエ・アサイヤス監督
公式インタビュー
映画『アクトレス~女たちの舞台~』について
公式サイト 公式twitter
2015年10月24日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開
ジュリエット・ビノシュが、かつて一世を風靡した大女優の孤独と葛藤を圧倒的な存在感で演じ、彼女のマネージャー役を演じたクリステン・スチュワートが米国人女優として初のセザール賞助演女優賞を受賞したことなども話題となった、映画『アクトレス~女たちの舞台~』のオリヴィエ・アサイヤス監督の公式インタビューをお届けする。
――この作品を書いたきっかけについて教えてください。
アサイヤス監督 本作はジュリエット(・ビノシュ)からインスピレーションを受けて作った作品です。この作品を作るにあたっては、まずは『夏時間の庭』(08)の世界的成功があるのですが、ジュリエットはあの作品の中では大きなパズルの中の一つのピースに過ぎず、欲求不満があったのだと思います。私たちは長いつき合いでもありましたから、『夏時間の庭』での協力関係をさらに突き詰めて、また一緒に仕事をする価値があるのではないかとジュリエットは考えたのでしょう、彼女の方から私に電話がかかってきました。その時の会話で、私たちが昔『ランデヴー』(85)という作品で俳優と共同脚本家として出会ったこと、それからとても長い時間が経過したということに気づき、めまいがするような気がしました。私は、その“時間の経過がもたらすめまい”について映画が作れるのではないかと考えたのです。
――主人公のマリアのキャラクターは、どのように決めたのですか?
アサイヤス監督 マリアとジュリエットを切り離して考えることはできないのですが、マリアはジュリエットを巡るキャラクターとして私が空想して作り上げた人物です。実際にはマリアとジュリエット本人は、似ている所もあれば違うところもあるでしょうが、ジュリエット自身もこの役を演じることを楽しんでいたと思います。マリアの役は映画を観る人が「ジュリエット・ビノシュはきっとこういう人だろう」と想像するジュリエットのイメージに似ているのではないでしょうか。ジュリエット自身も完全にマリアと同じではないけれども、そうなったかもしれない人物として楽しく演じ、自分を作品に投影してくれたと思います。
――クリステン・スチュワートとクロエ・グレース・モレッツの起用について教えて下さい。
アサイヤス監督 クリステンは確かに『トワイライト』(08~12)の成功とメディアによって有名になりましたが、彼女はユニークな存在感のある稀有な女優だと思っていました。ショーン・ペン監督の『イントゥ・ザ・ワイルド』(07)の時から、端役でしたが存在感を示していました。彼女はとてもカメラ映りが良い、アメリカ映画の女優としては稀有な存在です。ハリウッドの大作に出ている彼女にとって、ヨーロッパのインディペンデント映画はリスクかもしれません。その代わり、私は彼女にはこれまでの映画では与えられなかったものを与えてあげられるのではないかと思いました。 人工的に作り出された役柄ではなく、彼女自身の即興での演技ができる十分な時間を与えたのです。それは人工的に作り出された登場人物とは違うものとなり、今回の私の演出によって彼女のキャリアのある一時期に発見があり、自分が想像しているよりももっと長く女優としてのキャリアを伸ばしていけるのではないかと思いました。クロエに関しては、当初成熟した大人な若い女性を探していたのですが、何よりも彼女には狡猾さがありました。役より実年齢がかなり若かったのですが、彼女に会って、彼女でいこうと決めました。結果的にはそれぞれの役で最初に選択した二人が出演してくれて、(キャスティングは)大成功したと思います。
1 2
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
製作:シャルル・ジリベール 撮影:ヨリック・ル・ソー 美術:フランソワ=ルノー・ラヴァルテ
特別協力:シャネル
出演:ジュリエット・ビノシュ,クリステン・スチュワート,クロエ・グレース・モレッツ,
ラース・アイディンガー,ジョニー・フリン,ブラディ・コーベット,ハンス・ジシュラー,アンゲラ・ビンクラー,
ノラ・フォン・バルトシュテッテン
2014年/フランス・スイス・ドイツ・アメリカ・ベルギー/124分/DCP/シネスコ/5.1ch 配給:トランスフォーマー
©2014 CG CINÉMA – PALLAS FILM – CAB PRODUCTIONS – VORTEX SUTRA – ARTE France Cinéma – ZDF/ARTE – ORANGE STUDIO – RTS RADIO TELEVISION SUISSE – SRG SSR
公式サイト 公式twitter