矢崎仁司監督『スティルライフオブメモリーズ』

矢崎 仁司 (監督)
映画『スティルライフオブメモリーズ』について【3/5】

2018年7月21日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開!
※K’s cinema毎週水曜16:40の回は女性限定上映回

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

安藤政信『スティルライフオブメモリーズ』
――安藤さんと組まれるのは2回目ですが、春馬役には安藤さん以外考えられない……というほどの適役でしたね。

矢崎 本当に素晴らしい再会でした。連絡を取り合ったりしていなくて、安藤さんが写真をやっていることも知らなかったんですが、見せてもらったらすごくいい写真を撮っていらして。撮影中は自分のカメラではなく撮影で使うカメラをずっと持ち歩いてくれて、現像ももちろんできるんですが、中村早さんのところで何回か実際にプリントしたりもして。カメラの扱いひとつでも被写体への接し方でもまったく嘘がないですね。撮影するシーンでは多分カメラマンとしての何かが動いたと思うんですが、今回は中村早の写真をやるということで一度もシャッターを切らなかったそうです。そこが安藤さんの品格だと思うんですよね。

――怜と夏生という対照的な女性を演じた永さんと松田さんも素晴らしかったです。ヌードも臆さず身体全部を使って演技しているのが感じられました。こういう描写は日本の映画がなかなかやらないというかできなくて、歯がゆく思っていることです。

矢崎 そうですね、制約がいろいろ多い中で、初めから「こういう作品です」というのは伝えているので二人とも相当覚悟してオーディションに来たと思いますけど、すごくいい出会いでした。多分カメラの前で裸になるのは初めてだったと思うんですが、それをあんなに堂々と晒してくれたというのはすごくがんばったなあと。僕は「役になりきる」ということにあまり興味がないんです。出会った人は皆、世界中にひとりしかいないので、その人に頼んだということはその人を映さなきゃ意味がないと思っています。「あなたの今を撮りたい」と。そこに本当に堂々と裸を晒して「なんでこんな顔ができるの?」というぐらいいい顔をしていた。やっぱり出会いですね。

――矢崎監督には「アブノーマル」という言葉に対する反撥があるということですね。

矢崎 かつては、ですね。『風たちの午後』(80)や『三月のライオン』(91)を撮っていたころは、嫌いな言葉といったら「アブノーマル」や「変態」。映画というのはそうしたモラルみたいなものを壊す可能性がある表現だと思ってやっていた時期がありました。でも今これを作っているときはそういう思いはありませんでした。

――怜がなぜ春馬に性器の写真を撮ることを依頼したのか?という心理は説明されていないのですが、『映像要理』に取り上げられていたロラン・バルトのエピソードと同様に、怜は母親の介護をして性器を見るという体験をしており、それが影響しているのでしょうか? 男性だけではなく女性にとっても女性器は起源という意味合いを持つ……というようなことになると思いますが。

矢崎 はい、そこは原作どおりなんですよ。最初に脚本の打ち合わせをしたときに「女性を主人公にしようか」という話になったんですよね。男性が性器を撮りたいのではなく、女性が撮ってほしいという方向にしなければならないという気がして。それも直感なんですけど。

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スティルライフオブメモリーズ ( 2018/日本/カラー/5.1ch/107分/※R-18作品 )
出演:安藤政信,永夏子,松田リマ,伊藤清美,ヴィヴィアン佐藤,有馬美里,和田光沙,四方田犬彦
監督:矢崎仁司
製作:プレジュール+フィルムバンデット プロデューサー:伊藤彰彦・新野安行
原作:四方田犬彦『映像要理』(朝日出版社刊)
脚本:朝西真砂+伊藤彰彦 写真:中村早 撮影:石井勲 照明:大坂章夫 音響:吉方淳二 美術:田中真紗美
衣裳:石原徳子 ヘアメイク:宮本真奈美 編集:目見田健 助監督:石井晋一
キャスティング:斎藤緑 企画協力:生越燁⼦
配給:「スティルライフオブメモリーズ」製作委員会 © 2018Plasir/Film Bandit
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2018年7月21日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開!
※K’s cinema毎週水曜16:40の回は女性限定上映回

2018/07/18/20:13 | トラックバック (0)
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