『クヒオ大佐』
吉田大八監督インタビュー
http://www.kuhio-movie.com/
10月10日(土)より、
渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国ロードショー!
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の演出で映画ファンを魅了した吉田大八監督新境地。
――実在の結婚詐欺師クヒオ大佐のエピソードを初めて聞いたとき、どう思われましたか?
吉田監督 僕はクヒオ大佐の事件を、昔、写真週刊誌で見たんです。確かそのときのクヒオ大佐の写真の写りがすごく悪くて。バカみたいな話だと思ったし、なぜありえないような嘘をついて、女性たちを信用させることができたのか、すごく不思議に思いました。
――映画化にあたり、クヒオ大佐をどう描こうと思いましたか?
吉田監督 クヒオ大佐の詐欺事件は事実ですが、原作本は小説の体裁で、ノンフィクションというよりは、作者である吉田和正さんのイマジネーションによって脚色されたものです。だから自分もあの事件で感じたものを入れ込み、自由にアプローチしていこうと思いました。
――その際、着地点はどこに置かれて脚本を作っていったのですか?
吉田監督 女性たちが、なぜクヒオに騙されたのか?という謎に対して、簡単な答えは最初から出ないだろうと思いました。だから、映画ならではの時間をかけて、クヒオを好きになってもらえればそれでいいのではないかと。(共同脚本の)香川まさひとさんとふたりで、クヒオが何者なのかを探っていくという作業でした。結婚詐欺という犯罪自体はドラマチックなものではないし、どちらかというと手口がせこかったりするんです。詐欺師ものの映画って、華麗な手口を見せるのが常道ですが、今回は、荒唐無稽の嘘と本当の恋愛との境目みたいなものを探っていきました。途中から僕らが目指したのは恋愛映画でしたね。また、改めて日本人についても考えるようになっていきました。なぜクヒオはアメリカ軍人に憧れたのか、アメリカ軍人という嘘が女性たちにどうして効き目があったのかを探っていって、それも映画のなかに欲張って取り込もうと思いました。
――主演の堺さんの役作りについては、どんな指示をされましたか?
吉田監督 最初にこう言いました。「映画では、クヒオの詐欺がなぜ成功したのかという答えを出そうとは思ってないです。でも、たぶんクヒオのことを好きになった女性たちが魅力的であれば、クヒオの輪郭もどんどん魅力的に浮かび上がっていくはずです」とね。
――撮影を通して監督自身は、クヒオ大佐の魅力を感じていきましたか?
吉田監督 撮影中、クヒオのことをすごく好きになっていきました。ときどきモニターのクヒオを見てハッとしたり、胸にぐっときたりして、やばいなと(笑)。それは自分でも意外な経験でした。でもそれくらい、クヒオ大佐というキャラクターと格闘したという実感はあります。
――実際に堺さんと仕事をしてみていかがでしたか?
吉田監督 堺さんはものすごく考えて役にアプローチする人なので、堺さんの中から出てくるものを僕は信頼してました。クランクイン前にきちんと突っ込んで話せたという手応えがあったので、気になったところだけを調整させてもらいました。堺さんは、かっこいいとか素晴らしいとかいう前に本当に面白い人で、底知れない魅力があります。仕事をする前と後では印象が違いました。二枚目の俳優さんって自分の得意な型がきっとあるんでしょうが、常にこちらの要求することに反応して演じてくれて。仕事をしていて本当に楽しかったです。
――しのぶ役の松雪さんの役作りについては、どんな指示をされましたか?
吉田監督 松雪さん本人としては、すごくクヒオのことを面白がってくれていたみたいです。彼女の演技からも、すごく愛を感じましたし。しのぶの気持ちについて松雪さんがわかったと言ってくれたので、それにのっかろうと思いました。
――コメディー的な要素を本作にどこまで入れるかのさじ加減は?
吉田監督 前作(『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』)のときもそうでしたが、コメディーにしようと思ってギャグを入れたことは一度もないんです。ただ、人間がすごく一生懸命何かをやってることに関しては笑えるし、胸を打つだろうと。観客席からクヒオを見ると、やはり面白い。笑いは多いほど嬉しいですが、それを狙ったわけではないです。
――本作をどんなふうに観てほしいですか?
吉田監督 実在のクヒオ大佐のエピソードは少ないかもしれませんが、実際にいた人間の話だと思って観てほしいです。荒唐無稽な話ですが、クヒオ大佐は本当にいた人だから。そういう意味では奥深いですね。
――本作をあえてカテゴライズするとしたら、どういうジャンルの映画だと思いますか?
吉田監督 どうカテゴライズするかは、観てくれる人に答えを出してもらえればと。嘘と恋愛の楽しみの微妙な境目を感じてほしいです。また、僕がいちばん感動したのは、クヒオ大佐がすごく一生懸命な点ですね。ちょっと引いてみればくだらないけど、アメリカ軍人のふりをする詐欺師という屈折具合は日本人ならではのものだし。医者や社長、大学教授など、詐欺師にとってもう少し化けやすい職業だってあるのに、あえてなぜアメリカ軍人なのか?その答えを出したとまでは言いませんが、感じてもらえるように作ったつもりです。
10月10日(土)より、
渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国ロードショー!
奪ったのは女性たちの心と1億円!?
世界一愚かだけど憎めない実在の結婚サギ師の物語。
「父はカメハメハ大王の末裔。母はエリザベス女王の妹の夫のいとこ。結婚すれば米軍から結婚支度金5千万円……」かつて、このようなデタラメを並べて、女性たちから推定1億円を騙し取った男がいた。本作は、そんな実話を基に創作した一大エンタテインメント映画だ。
主演は、『クライマーズ・ハイ』、『ジェネラル・ルージュの凱旋』、『南極料理人』の堺雅人。“つけ鼻”をした“エセ”アメリカ人に扮し、今まで見たことのない魅力を発揮している。
彼を取り巻く女優陣にも、個性溢れる顔ぶれが揃った。クヒオに献身的に尽くす弁当屋の女社長永野しのぶ役に『容疑者Xの献身』、『余命』の松雪泰子。クヒオに惹かれていく博物館エリート学芸員の浅岡春役に『愛のむきだし』の満島ひかり。クヒオと恋の駆け引きを試みるクラブのNo.1ホステス・須藤未知子役に『ストロベリーショートケイクス』の中村優子。また、謎の某省官僚・藤原役に『252 生存者あり』の内野聖陽。
そんな個性派俳優陣から、絶妙な演技を引き出すのは、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』でエッジのきいた演出を見せた吉田大八監督だ。滑稽だけど、どこかチャーミングなクヒオ大佐を独自のテンポ感で演出。また、クヒオ大佐と女性たちが繰り広げるドラマを、単なる詐欺師と被害者という関係を越えた、それぞれのラブストーリーとして見せていく。さらに、米軍がモチーフとなった心躍るポリティカルアクションシーンや、クヒオの孤独な内面を映し出したエピソードも挿入。さまざまなトーンの作風が観る者を魅了する。
可笑しくも哀しい稀代の詐欺師の姿にあなたは、何を見るのだろうか……。
彼の名は、ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐。流暢な日本語で戦場での武勇伝を語り、次から次へと女性を騙す、稀代の結婚詐欺師である。
その日のターゲットは、博物館のエリート学芸員浅岡春(25)。クヒオは、子供たちを引率する彼女に「あなた、子供、嫌いでしょう」とだけ声をかけて去っていく。唐突に言われ、言葉を失う春。その日クヒオは、彼を捜しにきた永野しのぶ(38)と宿泊先に戻る。彼女は、すでにクヒオに夢中。「入籍すれば、米軍から5千万円」「英国のダイアナ妃のドレスを手がけたデザイナーにウエディングドレスを発注する」といった言葉にうっとりし、社交界へのデビューに備え、英会話のレッスンにも励んでいる。
翌日クヒオは、再び春の職場を訪ねて経歴をアピール。そんなクヒオに春は興味を持ち始める。しかし、クヒオが新たなターゲットに選んだのは春だけではなかった。銀座で働くNo.1ホステス須藤未知子(33)に目をつけ、投資話を持ちかける。
まさにあの手この手。しのぶや春が、彼の要求に応えようとする一方で、未知子だけは彼を逆に欺こうとする。
やがてほころび始めるクヒオの嘘。次第に膨らんでいく女たちの疑念。果たして、クヒオは!?
そして、女たちは!?そこに、本当の愛は存在しなかったのだろうか!?
夢の中でしか生きられなかった男と女に未来はあるのか!?
監督:吉田大八(『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』) 脚本:香川まさひと、吉田大八
原作:吉田和正「結婚詐欺師 クヒオ大佐」
製作プロダクション:モンスター☆ウルトラ
2009年/35mm/カラー/ビスタサイズ/112分/ドルビーSR 配給:ショウゲート
(C) 2009『クヒオ大佐』製作委員会
http://www.kuhio-movie.com/
10月10日(土)より、
渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国ロードショー!
- 監督:吉田大八
- 出演:佐藤江梨子, 佐津川愛美, 永作博美, 永瀬正敏, 土佐信道
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- (著) 吉田 和正
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