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デヴィッド・フィンチャー監督最新作

ソーシャル・ネットワーク

http://socialnetwork-movie.jp/

世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス、“フェイスブック”を
ハーバード大学寮の一室から始めた19歳のマーク・ザッカーバーグ。
5億人の友達を創った男は、何を手に入れ、何を失ったのか

2011年1月15日(土)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

INTRODUCTION

この映画の出現は映画史における事件となった!

『ソーシャル・ネットワーク』2010年9月24日、ニューヨーク映画祭のオープニングナイトで上映されたデヴィッド・フィンチャー最新作『ソーシャル・ネットワーク』。センセーショナルでコントロバーシャルなこの作品が早くもオスカー最有力と目されるほどの高評価が、またたくまに世界中に広がった。期せずして、マーク・ザッカーバーグがハーバードを一晩で夢中にさせたごとく、まさに映画の歴史を変えた瞬間である。
映画はマーク・ザッカーバーグが“フェイスブック”を立ち上げるまでと、その後の2つの裁判を通して“フェイスブック”創設の裏側にあった人間ドラマを描いている。正しいのは自分で、自分の記憶こそはこの件に関する真実だという語り手――マーク、彼にアイデアを盗用されたとするウィンクルボス兄弟、彼に裏切られたという創業時の共同経営者エドゥアルド――この3つの視点を、異なる真実のバージョンを別々に見せるのではなく、宣誓供述の場で全員をひとつの部屋に集め顔をつき合わせた場で語らせていく。この幾層にもなっている事実を見つめる手法には、全知の存在であるストーリーテラーはいない。意図的にひとつの視点を避け、ひとつの真実ではなく互いに絡み合っている“3つの真実”を均等に扱い、この創造と破壊に満ちたドラマに対する判断を観客に委ねている。
巧みにフラッシュバックを使って2つの時間軸を行きつ戻りつ進行させる立体的な構成は、観るものを引き込みつつ、ここでは従来のフィンチャー映画的“驚愕のエンディング”にも“解き明かされた真実”にも流れ込まない。
しかし、観客はそれこそが、21世紀的“驚愕のエンディング”であり“解き明かされた真実”であることに気づくのだ。
今、我々が生きている世界の情報量とペースは、人々にあまりに多くの考え方、あまりに多くの方向性を突きつけ、人々はいまや難なくそれらを受け止め自分のものとして消化してしまっている。その中で生まれたのが、20世紀までの当たり前のドラマツルギーである(それが善であれ悪であれ)真実はひとつという価値観、片方が善ならそれに相反するものは悪である、というスケールを軽く受け流すデジタルエイジ・カルチャーなのだ、と。
『ソーシャル・ネットワーク』2そして、ラストシーンでは、そんな時代の“孤独”の得体の知れなさ、底の深さに、呆然、愕然とするのだ。
映画『ソーシャル・ネットワーク』は、“フェイスブック”誕生に潜む悲哀に満ちた皮肉と矛盾――人との交流が苦手な男が、人とコミュニケーションをとるための最高のツールを発明した、そして人々をつなぐための道具を作ったはずなのに、それを作り上げた人々とは、ばらばらにされてしまう――このドラマを縦糸とし、複数の何層にも重なった事実を提示してみせる、という手法を横糸に複雑に織り込んで、今まで観たこともない立体的映像タペストリーを作り上げた。そして仔細に見るとその糸の1本1本は、見事な言葉の連なりによる完璧な流れの台詞で縒られているのだ。
これこそが真に−単に技術的躍進に頼らない−総合芸術としての映画のアイデンティティを主張しつつ、表現方法の可能性に挑戦した21世紀を象徴する映画といえよう。

ビジュアリスト、デヴィッド・フィンチャーが挑んだ完璧な台詞劇

映画として画期的チャレンジに挑んでいる一方で、『ソーシャル・ネットワーク』は練りに練った膨大な台詞、計算され尽くした演出、完璧な演技のアンサンブルで、映画の古典的技法を徹底的に追求し、一瞬たりとも目が離せない緊張感を持続させ、昔ながらの映画的興奮を味わせてくれる。
原作と映画化脚本が同時進行という異例の企画で映画の製作が始まり、原作者ベン・メズリックと綿密にコミュニケーションを取りながら脚本を書いていったアーロン・ソーキンは、28歳にして軍事法廷ドラマ「ア・フュー・グッド・メン」のブロードウェイ劇を初めて手がけた若き天才脚本家。その脚本に命を吹き込む監督は、ビジュアル・スタイリストとして名高い『セブン』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のデヴィッド・フィンチャー。室内劇を得意とする脚本家と、映像派監督は一見相反する立場にいるようだが、まず始めに脚本が出来上がっていたこの作品の場合、この二人の共作がさらにテーマ性を際立たせることとなった。
友情と裏切り、富と権力、名誉と階級、そして孤独といった古典的テーマが、超近代的フィンチャーのビジュアルスタイルによって、普遍的でありながら今まさに息づき変容し続けている現代的で信憑性のあるものとして説得力をもって観客に訴えかけてくるのだ。
『ソーシャル・ネットワーク』3フィンチャーはそのスタイルを確立すべく、音楽のトレント・レズナーを始め最近作でいつも組んでいるスタッフたちを呼び集めると同時に、役者たちへの演出法もとことん追求した。ソーキンの鋭い刃のような台詞を役者たちが完全に自分のものとするまでに数週間に渡ってリハーサルを重ねた上、200回ものテイクを繰り返した。これによって役者たちは、登場人物それぞれの“3つの真実”をリアルに描き出すことができたのである。
フィンチャーとの息詰まるほどの緊張感あふれるコラボレーションを成し遂げたのは、今注目の若手俳優たちだ。マーク・ザッカーバーグを演じるのは、『イカとクジラ』(‘05)、『ゾンビランド』(‘09)などの実力派ジェシー・アイゼンバーグ。彼の親友のエドゥアルド・サベリン役を、「新スパイダーマン」に大抜擢され世界中が注目するアンドリュー・ガーフィールド。さらにはナップスターの創設者ショーン・パーカーに、大人気のグラミー賞受賞アーティスト、ジャスティン・ティンバーレイク、マークが憧れる女子学生には、フィンチャーの次回作『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の主演女優に選ばれたルーニー・マーラ等、どの俳優たちもこの映画出演が一大契機となって、今後のさらなる飛躍は約束されたといえよう。

2011年1月15日(土)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

Story

2003年、10月のある夜。マーク・ザッカーバーグは熱中していた。

『ソーシャル・ネットワーク』4ハーバード大学コンピュータサイエンス専攻2年生のマーク・ザッカーバーグは、ニューヨーク州のアッパーミドル出身で、高校時代から腕利きのハッカーだったが、その“オタク”ぶりが災いして、人付き合いに関してはおくてだった。今もほんの数時間前に、ガールフレンドのエリカとほんのちょっとした言葉のすれ違いから、修復不可能なほど彼女を怒らせ別れてきたところだ。カークランド寮の自室に戻ってきたときは、やけでビールを飲みブログに彼女の悪口を書いていたのだが、すぐにこの痛手を振り切るために夢中になるものを見つけ出した。今はハーバード中の寮の名簿をハッキングし、女子学生たちの写真を並べてランク付けするサイト作りに没頭していた。
このサイト“フェイスマッシュ”はたった2時間で22,000アクセスに達し、マークの名前はハーバード中に知れ渡った。天才ハッカーとして、大学のセキュリティシステムを愚弄した反逆者として、全女子大生を敵に回した変人として。
マークは大学規則違反で、半年の観察処分を受けたが、そんなことは全く意に介していなかった。彼の頭の中では、今回の思ってもいなかった爆発的反響から、次のアイデアが生まれていた。なぜ“フェイスマッシュ”は学生たちにこんなにもウケたのか、女の子の写真ならどこでも見られるけれど、どれも身近な女の子たちだったからだ。みんな友達のことを知りたいと思ってる。インターネットで友達のことを知ることができれば、そして自分のことも知らせることができれば。ネットの上での大学の社交場だ。“ファイナルクラブ”のように排他的にする。けれど家柄や金は関係ない、ハーバードのメンバーの承認が要ることにしよう。同じようなサイトは他にもあるけれど、もっと使いやすく自由でインタラクティブにする。
――きっとみんな夢中になるぞ!
これが、現在利用者全世界5億人に達したSNS“フェイスブック”の誕生である。

2004年2月。ウィンクルボス兄弟は憤慨していた。

『ソーシャル・ネットワーク』5たった一日でハーバードの学生650人が登録したという“フェイスブック”!これは俺たちの“ハーバードコネクション”のアイデアのパクリじゃないか!
キャメロン・ウィンクルボスとタイラー・ウィンクルボス、この双子の兄弟は、資産家の家に育ち、次期オリンピックにも出場が期待されるボート部のトップにして、ハーバード最高峰のクラブ“ポーセリアン”のメンバー。今までの人生でうまくいかなかったことは一度もなかった。去年の11月に“フェイスマッシュ”のマークのことを知り、自分たちが企画している学内男女のインターネット上の出会いの場“ハーバードコネクション”立ち上げのため、優秀なプログラマーである彼に協力を要請した。彼は「やる」と言った。だが、今日までに彼にメールを52通出し、会ったのはたった3回、催促してものらりくらりとかわされていた。こういうことだったのか!奴は自分のサイトの立ち上げ準備をしていたんだ。
彼らは、早速、自分の父親の会社の弁護士を介し“フェイスブック”が知的財産の盗用だ、として停止警告を送った。だが、マークは「1月に“ハーバードコネクション”へのプログラミングが予想と違い、ハードウェアも足りないという疑問点を伝えました」という返事を寄こしただけで、停止するどころか、加入大学を増やし続けている。学長にもマークの行いは大学の倫理規定に反すると訴えたが、「学生間の問題だ」と相手にしてもらえなかった。
こうなったら、最終手段に訴えるしかない・・・・。これは金の問題ではない。名誉の問題なのだ。

2004年7月。エドゥアルド・サベリンは怒っていた。

エドゥアルドは、マークが“フェイスマッシュ”を立ち上げた時も、“フェイスブック”のアイデアを思いついた時もマークとともにいた“フェイスブック”の共同創業者&CFOだ。もちろんアイデアはマークのものだが、“フェイスブック”のサーバーを借りる最初の資金として1,000ドル提供した。裕福な彼は人付き合いが下手なコンピュータオタクのマークを誰よりも理解し、ビジネスパートナーという以上に親友だった。学内で“フェイスブック”の名前とともにマークも有名人となり、エドゥアルドも得意満面だった。
『ソーシャル・ネットワーク』6だが、“フェイスブック”が他大学にも進展したころ、二人の関係はぎくしゃくし始める。そろそろ利益を上げるべきだと提案したエドゥアルドに、マークは「画面に広告が出たらダサい」と反対した。それでも、春休みには二人そろってNYへ広告スポンサー候補との会合に出かけるが、もともと広告に反対であるマークの不遜な態度が相手を怒らせてブチこわしだった。そして、NYでのもう一つの会合−ショーン・パーカーとの出会いが、二人のそれからの関係を狂わせていく。19歳で“ナップスター”を作り、IT企業2社をハデに振り回したショーンは、地道なビジネス感覚を持つエドゥアルドにとっては危険人物に思えた。だが、マークは、投資会社にコネをもち、カリスマ性のあるショーンの話術に夢中になった。ショーンは“フェイスブック”が目標にすべき評価額は10億ドルだとアドバイスし、そこまで成長させるためカリフォルニアに来るように持ちかける。登録者が15万人を超えるころ、マークはスタッフを増やしサーバーを増設、スタンフォードに家を借りる。エドゥアルドに黙って独断で決めたマークに対し、彼はそれでも18,000ドルを会社の口座に増資し、自分はNYでスポンサー探しを続ける決意をする。
ところが、エドゥアルドがマークのそばを離れている間、ショーンは次々に投資家とのミーティングを設定していた。CFOの自分が同席しないで、ショーンにマークのビジネスを仕切らせている!カークランドの一室で始めた時、一緒だったのはショーンじゃない、この僕じゃないか!怒りにまかせて、とうとうエドゥアルドは、会社の口座を凍結してしまう。それが、最悪の事態を招くことになるとは思いもよらないで……。

――こうして、マークは二つの訴訟に巻き込まれる。ウィンクルボス兄弟は、アイデアを盗用されたと言って、エドゥアルドは創業者としての権利を主張し、マークを告訴した。

C R E D I T

監督:デヴィッド・フィンチャー  製作総指揮:ケヴィン・スペイシー  脚本:アーロン・ソーキン
撮影監督:ジェフ・クローネンウェス 美術監督:ドナルド・グレアム・バー
編集:アンガス・ウォール A.C.E. 編集:カーク・バクスター
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク、ルーニー・マーラ

2010年アメリカ映画/スコープサイズ/全6巻/3,299m/SDDS,ドルビーデジタル、ドルビ−SR/
本篇上映時間:2時間/原題:THE SOCIAL NETWORK/字幕翻訳:松浦美奈/
原作:ベン・メズリック著「facebook世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男」(青志社)
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給
http://socialnetwork-movie.jp/

2011年1月15日(土)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

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2010/12/26/16:48 | トラックバック (1)
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