映画『歩けない僕らは』トークイベントレポート【1/3】
2018年4月15日(日)@ 新橋・TCC試写室
登壇者:宇野愛海、落合モトキ、板橋駿谷、門田宗大、佐藤快磨監督
2019年劇場公開予定/5月14日(月)までクラウドファンディング実施中
長編第1作の『ガンバレとかうるせぇ』(14)がPFFアワード2014で映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)と観客賞をW受賞したほか、国内外の映画祭で高い評価を受けた佐藤快磨監督の新作短編映画『歩けない僕らは』の完成披露上映会とトークイベントが、去る4月15日、新橋のTCC試写室にて開催された。 (取材:深谷直子)
本作は、回復期リハビリテーション病院の新人理学療法士と、彼女を取り巻く人々を描く人間ドラマ。回復期リハビリテーションとは、脳卒中や大腿骨頸部骨折などの急性期を過ぎた患者に対して1日2~3時間の集中的なリハビリを実施し、能力を回復させた状態での自宅や社会復帰を目的とした医療であり、疾患ごとに60~180日間とリハビリ期間が決められているため、若い療法士は期間内に成果を出せず、責任やプレッシャーを感じることも多いという。
そんな理学療法士の仕事の魅力と厳しさを伝えるという覚悟のいる映画に、佐藤監督をはじめとするスタッフ、キャストが高いモチベーションで挑み、無事に完成。トークイベントにはキャストの宇野愛海、落合モトキ、板橋駿谷、門田宗大と佐藤快磨監督が登壇し、取材や見学のために訪れた回復期リハビリテーション病院での経験や、作品に込めた想いを語った。
これまで自主制作で映画を作ってきた佐藤快磨監督にとって、今回はプロデューサーから題材を与えられる形での映画作りへの初挑戦となった。撮影前には栃木にある「リハビリテーション花の舎(いえ)病院」に何度も足を運んで取材を重ねたという佐藤監督は、「映画のテーマとして見出したものは?」と尋ねられ、「患者さんとセラピストの関係性を描きたいと思いました。回復期リハビリというのは、患者さんの歩けなくなってしまったひとつの身体を、患者さんは内側から、セラピストは外側から共有するということかな?と思っていたんですが、そのためにはコミュニケーション、言葉が必要で、そのコミュニケーションというものの答えのなさ、違う人生を生きてきた二人がひとつのことを本気で考えていくことの答えのなさを、映画で描けたらなと思いました」と答えた。
さらに「取材をして制作の鍵となった言葉はありますか?」との問いに対して、佐藤監督は、「セラピストの方の『リハビリは病気自体を治すものではなく、身体を改善していくもの。その中で”歩けること”が重要なのではなくて、”歩いて何をするか”が大事なんですよ』という言葉が、とても普遍的なものとして、歩ける自分に刺さってきました。それまでは、自分の家族にもリハビリを経験している人がいないのに、それを描くことに怖さやおこがましさをずっと感じていたんですが、その言葉を聞いてからは自分にも関わるテーマだと捉えることができた気がします」と語った。
出演:宇野愛海,落合モトキ,板橋駿谷,堀春菜,細川岳,門田宗大,山中聡,佐々木すみ江
監督・脚本・編集:佐藤快磨(『ガンバレとかうるせぇ』『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』『きっとゲリラ豪雨』)
プロデューサー:登山里紗 撮影:加藤大志 撮影助手:勝亦祐嗣 照明:高橋拓 録音:吉方淳二
音楽:田中拓人 衣裳:馬場恭子 ヘアメイク:橋本申二 ヘアメイク助手:西田美香 助監督:葉名恒星
制作部:福島成人、原田親 スチール:西永智成
協力:医療法人社団友志会、十一合同会社、 MotionGallery、独立映画鍋、ニューシネマワークショップ、アクターズ・ヴィジョン、栃木県フィルムコミッション、栃木市
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