彼女に残された選択は、
25年の刑務所暮らしか密告者になることだった。

映画『マン・オン・ワイヤー』(08)にてアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー作品賞を受賞したジェームス・マーシュ監督が選んだ作品は1990年代のアイルランドを舞台に祖国のために闘う女性コレットの物語である。
IRA(アイルランド共和軍)の中に身を置くコレットが一人息子との生活を守るために選択したのは、IRAと敵対する組織MI5(イギリス情報局保安部)の密告者となることだった。MI5の捜査官マックのもと危険な活動を続けるコレット。一方、マックはMI5の中の秘密裏な行動に疑問を持ち、もうひとりの密告者コード・ネーム“シャドー・ダンサー”の存在を突き止め……。
『クライング・ゲーム』(92)から20年、アイルランドを舞台にした緊迫のIRA映画が生まれた。

「007」の英国が贈るインテリジェンス・スパイ・サスペンス最新作。

昨年の６月エリザベス女王がIRA元司令官と歴史的握手を交わし、英国とアイルランドの両国にとって“和平”の象徴として報じられる現代に生まれた本作は、イギリスを代表する俳優陣ブレット・ブレナン(『ウォリスとエドワード　英国王冠をかけた恋』(11))、クライヴ・オーウェン(『クローサー』(04)ゴールデングローブ最優秀助演男優賞)等が集結。原作者トム・ブラッドビー自身が書いた“幻の脚本”として高い評価を受け、昨年のディナール英国映画祭でサスペンス、ミステリーに相応しいゴールデン・ヒッチコック賞(最優秀作品賞)を受賞。“インテリジェンス・スパイ・サスペンス”の本場英国より女性がスパイとなる珠玉の作品が届いた。

息子と生きるために密告者になるしかなかった。

1993年北アイルランド。幼いころに弟を失ったコレットは、家族全てがIRA(アイルランド共和軍)に身を置く緊迫の日々を過ごしながら、一人息子マークとの生活を守っていた。ロンドンでの爆破未遂事件の容疑者として逮捕された彼女は、MI5(イギリス諜報局保安部)捜査官マックに究極の選択を迫られる。それは、息子と離れ25年間服役すること、またはIRAの動向を密告するスパイになるかであった。息子との生活を選んだ彼女は、IRAの強行派メンバーから厳しく追い詰められながら、生きるためにMI5に情報を提供する。IRAとMI5の関係のなか揺れるコレット。一方、マックはMI5の中の秘密裏の行動に疑問を抱き、コード・ネーム“シャドー・ダンサー”というもう一人の密告者の存在を突き止めるが……。
観た者にしか分からない震撼のラストに、あなたは息を呑む。