北村 龍平 (監督)
映画「NO ONE LIVESノー・ワン・リヴズ」について
2013年4月27日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
北村龍平監督は機会があればインタビューしたいと思っていた方だ。同世代であり、作品から観てきた作品がスプラッターなど同じであることがよく分かり基本的に共感してきたからだ。ハリウッドでの監督第2作「ノー・ワン・リヴズ」でインタビューする機会に初めてめぐまれたが、そのことはよく分かった。(取材:わたなべりんたろう)
――IMDBによると「ノー・ワン・リヴズ」は290万ドルの予算と書いてありましたが、それぐらいだったのでしょうか?
北村 まあ、そのぐらいですね。
――上映時間が87分と短めなのは、どこか削ったとか?
北村 またいろいろと闘いがありましたね。
――残酷描写とかで?
北村 いや、残酷描写はたくさん残ってるでしょう(笑)。ハリウッドの映画業界の連中は口をそろえてバカの一つ覚えみたいに「ペース、ペース」と言うんですよ。そんなことしたら余韻も何もあったもんじゃないと日本人としては思うんですが、そこを闘いながらこの形になったということですね。お互いを否定しあってもしょうがないのでカウンターでやりあいながら決めていくということです。下手したら彼らは78分でもいいみたいな勢いでしたから。
――それだと長編としての公開が難しくなるかもの上映時間ですよね。
北村 その分、エンドクレジットを長くすればいいという考えなんでしょう(笑)。
――ウェス・クレイブンの日本未公開の良作「パニック・フライト」(Red Eye)が85分なんですが実質77分ぐらいでエンドクレジットが長いんです。その長さでちょうどいいサスペンススリラーなんですが。
北村 へえ、そういうこともあるんですね。多分、80分ぐらいまでは長編扱いのはずです。
――それ以下の分数だと中篇、短編になってしまうと。「ノー・ワン・リヴズ」は指定はいくつなんですか?
映画会社の方:R18です
――アメリカだとR?
北村 そうでしょうね。
――トロント映画祭のミッドナイト・マッドネスで「ノー・ワン・リヴズ」が上映されたときの評をネットなどでいろいろ読んで知っていました。ミッドナイト・マッドネスはファンタスティック系の面白い映画が多く上映されますよね。最近だと「You're Next」とか「The Day」など。後者は日本公開されたときにこちらが資料作りました。
北村 へえ、そうなんだ。いろいろやっているね。10年前ぐらいに「ヴァーサス」でミッドナイト・マッドネスに持っていって凄く歓迎されたのでホームグラウンドに戻ってきた感じですね。
――北村さんが出てきて共感したのは「同じ映画を観てきた世代が出てきたな」と思ったことです。ただ、石井岳龍さんも言っていたのですが音楽の使い方が選曲もそうだし音量など「こういう使い方したら映画じゃないんだよ」とか言われて映画会社やスタッフと相当闘ったと。石井さんは現役の日本の監督で最も影響をこちらは受けているので、ああやはり日本映画は旧態以前が多いんだなと。
北村 そりゃそうですね。分かります。
――北村さんは山本又一郎さんと組むじゃないですか。そこが素晴らしいなと。山本又一郎さんも日本的な感覚でないプロデューサーなので。
北村 又さんは声をかけてくれたから一緒に組むようになりましたが、やはり凄いですよね。お互いに個性が強いので周りがびっくりするぐらいぶつかりもしますが。根底にお互いに超リスペクトがあるので昨日も飲みましたし同志ですね。
――海外の人ってディベート文化というか意見を出し合うのが重要でやり合うし、それを引きづらないじゃないですか。
北村 又さんともそういう関係ですね。日本の方はどこかジメジメしているというか陰でコソコソ言ったりする。都市伝説みたいにぼくもなっていますし。誰が言っているかは大体分かっていますが(笑)。
――まあ、そういうのは言わせておけばいいので関係ないですし、作品のための論争が人格否定みたいになってしまうことがあるのは残念ですよね。
北村 だからオーストラリアで映画の勉強したし、ハリウッドにぼくは行ったんでしょう(笑)。逆にガンガンやらないとハリウッドでは意味ないですからね。「何のためにいるのか」「何の意見もないのか」となって監督が現場にいる意味がないし、ガンガンやることで評価される。
――マイケル・ベイとかそうですよね。現場で体育会系的にガンガンやって俳優がストライキみたいに撮影止めたりがあったり。
北村 だから、彼はあれだけの作品規模に行けているんでしょう。
監督:北村龍平『ゴジラFINAL WARS』『スカイハイ劇場版』『 あずみ劇場版』『 あずみALIVE』『VERSUS -ヴァーサス -』
脚本:デヴィッド・コーエン『新・13日の金曜日』『HUNT/ハント』
撮影:ダニエル・バー『悪魔のいけにえ』
出演:ルーク・エヴァンス,アデレイド・クレメンス,リー・ターゲセン,ローラ・ラムゼイ,デレク・マジャール,
アメリカ・オリーヴォ,ボー・ナップ,ブローダス・クレイ
2012年/アメリカ/カラー/英語/シネスコ/ドルビーデジタル/87分/R-18
原題:NO ONE LIVES 配給・宣伝:ファインフィルムズ
©Pathe Productions Limited and WWE Studios, Inc. All Rights Reserved.
2013年4月27日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
- 監督:北村龍平
- 出演:坂口拓, 榊英雄, 三坂知絵子
- 発売日:2002/04/26
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