北村 龍平 (監督)
映画「NO ONE LIVESノー・ワン・リヴズ」について
2013年4月27日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
北村龍平監督は機会があればインタビューしたいと思っていた方だ。同世代であり、作品から観てきた作品がスプラッターなど同じであることがよく分かり基本的に共感してきたからだ。ハリウッドでの監督第2作「ノー・ワン・リヴズ」でインタビューする機会に初めてめぐまれたが、そのことはよく分かった。(取材:わたなべりんたろう)
【STORY】その男からは、誰も生き残れない(=ノー・ワン・リヴズ)
小さな町に通りかかったカップルを、強盗団が襲撃する。拉致監禁し、脅し、痛めつけ、それはいつも通りの簡単なヤマのはずだった……。だが奪った車のトランクには、1人の少女が囚われていた。14人の学生が惨殺された、全米を震撼させている事件の唯一の行方不明者エマ・ウォード(アデレイド・クレメンス)。高額の賞金が懸けられたエマの発見に喜ぶ強盗団。だが彼らはわかっていなかった。自分達が相手にしている男(ルーク・エヴァンス)が、一体何者なのかを。男が残忍な本性を著した時、血で血を洗う壮絶な戦いが幕を開ける……。
――「ノー・ワン・リヴズ」はホラーファンに先を読めなくしている映画だと思いました。意外な人物から殺されていくし、展開もホラーを見慣れたファンが予測するのとは違うようにしている。そこは脚本家の方とかなり意図していた点でしょうか?
北村 脚本の段階である程度の骨格はできていたし、主人公のドライバー(ルーク・エヴァンス)のキャラクターがとっても面白かったのでやりがいはありましたね。ありきたりの映画だったら冒頭10分で分かってしまうじゃないですか。このカップルが監禁されて酷い目にあってどうやって脱出する……みたいな。
――いわゆるトーチャー・ポーンですよね。
※トーチャー・ポーン(torture porn):話がなくてゴア描写(残虐描写)のみがメインになっているホラー
北村 そういう映画をぼくはやりたくないので、途中から展開が激変して意表をつき続ける展開が「これは面白れぇな」と思って監督しようと思ったきっかけですね。
――脚本のどのあたりを北村さんが手を入れたんでしょうか?
北村 まず、敵対するギャングのグループが単なるむちゃくちゃな人間の集団であまり性格付けされていなかったので性格付けしました。ばけものがばけもの退治するだけの映画にはしたくなかったので、一人を鉄砲玉のように性格付けしたりしましたね。ドライバーのモチベーションが純愛だけというのがとにかく面白かった。方法論はエクストリームでも全て愛のためにやっているところが最高だなと。金をとるためでもないし。
――純粋狂気のようなものですよね。
北村 ええ。こいつの愛し方ってエクストリームだけどいいよな、分かるよなというところから掘り下げていきましたね。
――「悪魔のいけにえ」(74)や「テキサス・チェーンソー」(03)のダニエル・パールの撮影もいいんですが、編集が素晴らしかったです。編集のトビー・イェーツは「ミッドナイト・ミート・トレイン」でも既に組んでいる方でケイト・ベッキンセールやニック・ノルティも出ている「The Trials of Cate McCall」(13)も編集している方です。
北村 編集にふれてくれてありがとう。編集のトビー(・イェーツ)は「ミッドナイト・ミート・トレイン」でも組んだんだけど、ピーター・イェーツの息子なんだ。
――そうなんですか。
北村 お父さんのピーターの「ヤング・ゼネレーション」は生涯ベスト1と言ってもいい大好きな作品なんでトビーと一緒に仕事をしているのは嬉しいんだけど気も合う。
――「ヤング・ゼネレーション」は日本で観たんですか?
北村 いや、オーストラリアで観ましたね。100回ぐらいは観ている作品で、あの映画で英語を覚えたとも言えるぐらいです(笑)。「おまえ、ピーター・イェーツの息子か!」って感じで出会った時にポイント高かったんです。「ヤング・ゼネレーション」の現場にアシスタントで現場にいた、というので最高だなと盛り上がったりしましたね。トビーとは「ミッドナイト・ミート・トレイン」でMPAA(アメリカ映画協会)と闘った仲だ。R指定にするために何箇所もカットしたんだけど、MPAAの言い分が筋が通っていなくて大変だった。
――「ミッドナイト・ミート・トレイン」は生首を切られて、その生首が見る主観描写もありましたが。
北村 あそこもMPAAとやりあったよ!結構記録的で13回ぐらい編集しましたから。「ミッドナイト・ミート・トレイン」をよく知らないで入ってきた観客を過度に驚かせてはいけないということらしいんだけど「ミッドナイト・ミート・トレイン」がどんな内容か知らないで観に行く人がいるのかと(笑)。
――確かに(笑)。
北村 後はプロデューサーがいろいろと「ああしろ、こうしろ」といろいろいっぱい言ってくるのをさばくのを一緒に闘った仲がトビーですね。
監督:北村龍平『ゴジラFINAL WARS』『スカイハイ劇場版』『 あずみ劇場版』『 あずみALIVE』『VERSUS -ヴァーサス -』
脚本:デヴィッド・コーエン『新・13日の金曜日』『HUNT/ハント』
撮影:ダニエル・バー『悪魔のいけにえ』
出演:ルーク・エヴァンス,アデレイド・クレメンス,リー・ターゲセン,ローラ・ラムゼイ,デレク・マジャール,
アメリカ・オリーヴォ,ボー・ナップ,ブローダス・クレイ
2012年/アメリカ/カラー/英語/シネスコ/ドルビーデジタル/87分/R-18
原題:NO ONE LIVES 配給・宣伝:ファインフィルムズ
©Pathe Productions Limited and WWE Studios, Inc. All Rights Reserved.
2013年4月27日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
- 監督:ピーター・イエーツ
- 出演:デニス・クリストファー, デニス・クエイド, ダニエル・スターン, ジャッキー・アール・ヘイリー, バーバラ・バリー
- 発売日:2010/02/26
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- 監督:北村龍平
- 出演:ブラッドリー・クーパー, レスリー・ビブ, ブルック・シールズ, ヴィニー・ジョーンズ
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