佐藤 寿保監督/『眼球の夢』

佐藤 寿保 (監督) 映画『眼球の夢』について【3/5】

2016年7月30日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『眼球の夢』場面7 『眼球の夢』場面8――万里紗さんもリエ役の桜木梨奈さんもとても目が印象的なので、キャスティングの際にはそこもポイントとなったのかなと思います。

佐藤 まあ確かに今回は理屈ではなくしてビジュアル的にもそういうところはあったとは思いますね。桜木は前に『華魂 誕生』(14)でメインどころでやっているから、佐藤組の演技をしていましたな(笑)。

――(笑)。男性の役者さんたちもとても存在感がありました。中野剛さんは名バイプレイヤーとして活躍されている方ですが、こうしたメインの役でも非常に緊張感があってよかったですね。

佐藤 石井隆の『甘い鞭』(13)ではメインでやっていましたけど、全然キャラクターが違っていましたからね。非常にクールで、珍しいタイプの役者じゃないかなあ。

――PANTAさんの怪人のような役も強烈でしたね。

佐藤 そうですね。やっぱりPANTAさんも映画好きでね、昔の映画をよく観ていて、『カリガリ博士』(20)とか『M』(31)とかのいわゆる“ドイツ表現主義”ってやつなんだけど、そこから衣装なんかの意見を出してくれたりして、非常に面白かったですね。頭脳警察は僕も若いときに聴いていたんだけど、そのイメージとはまた違っているというか、今の日本の映画界、演劇界も含めて役者でああいうキャラクターの人はいないし、芝居のリズム感にしてもそうだし、ああいう存在感というのは得難いものがありますね。

――美術も大変凝っていて、特に麻耶の個展会場の夥しい眼球写真に圧倒されました。何枚ぐらい撮影したんですか?

佐藤 それは数え切れないほど撮りましたね。この映画の場合、全編もう画面が「眼球」に覆われているという、その世界がうまく行くか行かないかによって映画の出来・不出来が決まってしまうのでね。だから企画の段階でなかなかできなかったというのも、中途半端な形での眼球写真展をやっても中途半端な映画にしかならないみたいな、言い訳が効かないところがあるからであって。僕も昔写真をやっていたので、フィルム撮影の眼球写真は自分が撮って、デジタルでは撮影の御木(茂則)が撮って、二班に分かれて眼球写真を撮りまくりましたよ(笑)。結構難しいんですよね。

――ええ、あんなクローズアップで。とても美しかったです。

佐藤 いかに眼球写真をよりよく見せようか?と思って、カメラとかレンズとかいろいろ工夫をして、久しぶりに自分でも勉強しましたよ。面白かったですね。光の入り具合によっても全然違うし、人によっても全然違うし。それで、眼球写真ばっかりずっと見ているとエロいんですよね。なかなかないじゃないですか、眼球ばっかり見ている世界観というのは。眼球に取り囲まれているという映像空間というのはなかなかできないことで、そこらへんはうまく行ったかなと思いました。

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眼球の夢 2016年/日米合作/カラー/DCP/102分
出演:佐藤 寿保、桜木梨奈、中野剛、PANTA、小林竜樹、佐川一政、シャイリー波輝、川瀬陽太、和女
監督:佐藤寿保 脚本:夢野史郎 撮影:御木茂則 照明:松隈信一 録音:植田中 美術:林千奈
音楽:田所大輔 田辺裕己彦 編集:鵜飼邦彦 音響効果:丹雄二 カラーグレーディング:広瀬亮一
衣装:小海綾美 ヘアメイク:ビューティ★佐口 特殊造形:百武朋 助監督:伊藤一平
制作担当:太田勝一郎 キャスティング:小林良二 スチール:土屋久美子 蒔苗仁 題字:舛田忍
ラインプロデューサー:金森保 共同プロデューサー:矢島仁
プロデューサー: ヴェレナ・パラヴェル、ルーシァン・キャスティーヌ=テイラー、坂口一直
制作プロダクション:キリシマ1945 共同研究:東京工芸大学映像表現研究室 
特別協力:フジヤエービック 製作:アレット・トン・シネマ スタンス・カンパニー 配給・宣伝:太秦
© 2016 Arrete Ton Cinema, Stance Company
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2016年7月30日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

2016/08/09/21:33 | トラックバック (0)
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