――なるほど。この作品は、釜山国際映画祭のニューカレンツ部門で高評価を得たとのことですね。観客の反応はどんなものでしたか？

佐藤　やはりキャラクターや人間関係についての感想を多くいただきましたね。それぞれが話すことに切実さを感じたとか、演技がとてもリアルだったとか、「罪悪感を描いたとても美しい映画だ」とも言われました。夫婦関係については「なんで奥さんをこんなに大事にしないんだ？」という声もありました。あとはこの映画は350万円で作ったんですけど、そこでもかなり驚かれましたね。

――それは確かにすごいことですね、これだけ重厚な映画をそこまでの低予算で制作したというのは。クラウドファンディングも利用したそうですね。

佐藤　はい、それで100万円集めて、あとは持ち出しで。

――熱意を込めて作った作品が日本でも多くの方に届くよう応援しています。では最後に、これから映画をご覧になるみなさんに監督からの一言をお願いします。

佐藤　この映画を通して、いろんなことに対して考えてほしいですね。死刑制度についてだけではなく、人間としてのありかたとか。「人間って弱いものだな」ということを思いながら書いた作品です。そういうところをちゃんと見つめるべきだというか、見ることによって強くなることができると思っています。