佐藤 慶紀 (監督)
映画『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』について【4/5】
2017年9月9日(土)~10月6日(金)新宿K’s cinema 他全国順次公開
公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)
――女性が主人公で、タイトルにも”MOTHER”という言葉が使われていますが、男性との対比がはっきりしていて、とても女性の強さが表れる映画になっていました。
佐藤 そうですね。僕の個人的な思いとして、女性のほうが他人に対する許容力も大きく、その分攻撃力も強くて、一方男性は許容力が狭くて何かを言われたらすぐへこむという。女性って自分が考えている以上のものではないか?という思いがあります。
――晴美役の西山諒さんの、とても弱々しいところからどんどん爆発していくような演技が素晴らしかったです。前作に引き続いての起用になりますね。
佐藤 そうです、前作の『BAD CHILD』(13)にもお母さん役で出ていただきました。それも親子3人を描く映画で、14歳の少年が父親を殺そうとする話なんですけど、その母親役ですね。最終的に西山さんが結構キレる演技をするんですけど、それを見ていて今回も感情を露わにする部分があるし、西山さんならうまくやってくれるんじゃないか?という思いがあって、脚本ができあがってから出演依頼をしました。
――他の俳優さんはどうやって選ばれたんですか?
佐藤 オーディションですね。演技を見てウソのない方に決めました。
――それぞれ演じるのが大変な役だったと思います。役作りの期間はどれぐらいあったんですか?
佐藤 役が決まってから撮影までの期間は1ヵ月ぐらいですね。その間にリハーサルを1回やりました。主要メンバーに集まってもらって、キーとなるシーンを通しでやって、まあ普通のことかもしれないんですけど、リハーサルが役作りの上でとても役立ったということを役者さんたちに言ってもらえました。
――やっぱり相手の出方を見るのが大事なお芝居ですからね。激しいやり取りもとても自然なものになっていたと思います。演出ではどんなところに気を配りましたか?
佐藤 やっぱりみなさんが演じやすい環境を整えることですね。ひとつあったのが、これがいいのかどうかはわからないんですけど、役者さんの好きに動いてほしかったので、こちらでは大まかな動きだけを決めて、あとは自由に動いてもらってそれをカメラで追いかけるというふうにしましたね。「今フレーム外れた」とかそういうのはしたくなかったので。
――それでみなさん緊張感のあるお芝居に集中できたんですね。手持ち撮影は作品自体にも合っていますよね。室内でも常に揺れているので、そこで不安が募るところがあって。
佐藤 そうですね。今回手持ち撮影を選択したのはそういう効果も狙ったのもありますし、自由に動けるというのもありましたし。あとは撮影を早く進めたいというのもありましたね。セッティングの時間が省けますから。
監督・脚本・編集:佐藤慶紀
撮影:喜多村朋充 音楽:ベンジャミン・ベドゥサック
制作:カロリーネ・クラツキー メイク:桐山雄輔 衣装:市岡昌顕
出演:西山諒、西山由希宏、荒川泰次郎、岩井七世、野沢聡、箱木宏美、木引優子、 西田麻耶
制作プロダクション:Aerial Films 配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:『HER MOTHER』製作委員会(Aerial Films・ラフター・渋谷プロダクション)
© 『HER MOTHER』製作委員会
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