――松浦さんとの共演はいかがでしたか？

梅田　演技のアプローチの仕方も近いなあと思ったし、人間的にもすごく合うなと思いました。撮影前に台本の読み合わせとかでファミレスで喋ったりしたんですけど、最初からあんまり気を遣うことがなかったです。話も面白いし、馴染みやすい人だなあと思いました。

――演じて楽しかったシーンや大変だったシーンは？

梅田　旭と洋人が再会する冒頭のシーンが楽しかったですね。あれがクランクインだったんですけど、それまでに募らせていた洋人に対する想いとか、台本を読んでずっと思っていたことをバッと出せる瞬間だったので。実際やってみたら、やっぱり松浦さんとはすごくやりやすくて。それが本当によかったです。

――演技がとても生き生きしていましたよね。まず洋人のリュックだけが旭のところに飛んできて、それから二人でじゃれ合うという動きのある長回しですが、すごく自然でした。

梅田　リハーサルを念入りにやって、まあリュックを投げる瞬間とかはそんなに合わせたりはしていなかったんですけど、必要な部分はある程度固めていたので撮影はスムーズにいきました。苦労したシーンは特になかったです。走るシーンで何回もめっちゃ走ったので、そこぐらいですね。あとは1日にたくさんのシーンを撮影するので、待ち時間で自分の演技に対する気持ちを調整するのが大変だったというか。

――旭とシャドーボクシングをするシーンもありますが、さまになっていましたね。松浦さんはプロのボクシングトレーナーとしても大活躍中ですが、梅田さんも今も卓球の大会に出たりしているアスリートなんですよね。

梅田　卓球は小学校からやっていました。暗いイメージがあって全然流行ってもいなかったけど、最近意外とやっている人が多いですよね。石川佳純さんとか華のある選手がたくさん出てきて、やっていたけど堂々と言えなかった人が「俺も俺も」って言うようになった（笑）。ボクシングも半年ぐらい大阪でやっていて、舞台でボクサー役をやったりもしたんです。オーディションのときも特技欄に「シャドーボクシング」って書いていたので、洋人役にプロフィールではハマっていなかったけど、多分それでオーディションに呼んでもらえたんじゃないかと。

――（笑）。俳優さんたちのナチュラルなお芝居が素晴らしいです。春本監督は俳優の個性を落としこんだ演出をされる方だと思いますが、梅田さんだけに指示するようなこともあったのでしょうか？

梅田　最後に旭に渡すスピーチは「自分で考えて」と言われて自分で全部書きました。

――ああ、手書きで枚数も結構あって、よく見ると五島弁で書いてあるんですよね。松浦さんはリハーサルで渡されて感極まって泣いてしまったそうですが、監督の演出が働いていたんですね。

梅田　松浦さんには教えないで書いていたんで、グッときちゃっていました。クライマックスのシーンだったのでよかったです。内容は洋人と旭の思い出とか、書いたらいろいろ出てくるな……と。