イヴァーノ・デ・マッテオ (監督)
映画『はじまりの街』について【4/4】
2017年10月28日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:常川拓也)
──本作が描いているものはイタリアが抱えている昔からの問題なのか、それとも最近出始めた問題なのでしょうか。
マッテオ まず作家にとって映画を撮るテーマを選ぶことは、その問題に対して少なくとも自分の人生の2年ぐらいを費やすことになります。なのでテーマを選ぶにあたっては、本当にそれが自分が語りたいことなのかある程度の確信が持てないと見定められません。それからそのテーマが非常に面白いものであっても、ほんの一握りにしか興味のないテーマなのか、それとももっと普遍的で世界中のほかの人たちからも共感を持ってもらえられるようなテーマなのかということも重要になってきます。女性に対する暴力の問題は、イタリアではいまに始まった問題ではありませんが、今まであまり語られてこなかったものであると思います。女性自身もそれを話すことにためらいがあって、家庭内の4つの壁の中でずっと押し込まれてきた問題だったのだと思います。それはDVだけではなく、例えばレイプの被害に遭った女性にも同様のことが言えます。あるいは、『幸せのバランス』でも取り上げましたが、仕事がなくなった父親が車の中で生活していることを娘に知られたくない、表に出すよりも隠したいという態度もまだ根強いものだと思います。ただ今回のDVの問題は、やはりいまイタリアで非常に関心が持たれていることであり、そういった現象もたくさん起きていることが調査でもわかりました。とてもデリケートなテーマでバランスを取るのは難しいとわかっていましたが、そこに慎重に足を踏み入れてこの問題を描きたいと思いました。たくさんの女性の話を聞きましたが、ストーリーはすべて異なっています。それぞれみんな個人の性格があり、あるいはそれぞれどういう判断をしたかもすべて違います。それぞれの話をすべて描くことはできないので、ひとつのケースの中に色々な女性の思いが入るような形で描くよう心がけました。それをどうやってイタリアだけではなく、日本やロシアやオーストラリアやスペインの人々などにも共感してもらえる物語にできるかが難しいところだと思いました。
( 取材:常川拓也 )
監督:イヴァーノ・デ・マッテオ 「幸せのバランス」「われらの子供たち」
出演:マルゲリータ・ブイ「はじまりは5つ星ホテルから」「母よ、」、ヴァレリア・ゴリーノ「レインマン」「人間の値打ち」、アンドレア・ピットリーノ、ブリュノ・トデスキーニ
原案:ヴァレンティーナ・フェルラン 脚本:ヴァレンティーナ・フェルラン、イヴァーノ・デ・マッテオ
撮影:ドゥチオ・チマッティ 編集:マルコ・スポレンティーニ 美術:アレッサンドロ・マラッツォ
衣装:ヴァレンティーナ・タヴィアーニ 音楽:フランチェスコ・チェラージ
原題:LA VITA POSSIBILE/英題:A POSSIBLE LIFE 配給:クレストインターナショナル
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2017年10月28日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
- 監督:イヴァーノ・デ・マッテオ
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