インタビュー
『JUST ANOTHER』大石規湖監督画像

大石 規湖 (監督)
映画『JUST ANOTHER』について【1/5】

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2020年10月24日(土)より新宿K’s cinemaにてロードショー、以降全国順次公開!

1982年に名古屋で結成され、以後38年にわたってパンク・ロックを追求し続けるthe原爆オナニーズ初のドキュメンタリー『JUST ANOTHER』が、10月24日(土)より新宿ケイズシネマ他にて公開される。カメラを向けたのは『MOTHER FUCKER』の大石規湖監督。前作に続き「音楽と生活の両立」というテーマを探って、生活のための仕事をしながらバンドで自分たちのパンクをやる、この稀有なパンク・レジェンドに行き着いた。ハレのものとして愛をもって音楽に向き合い、仲間や家族との日々を大切に積み重ねる彼らの姿は、普遍的な力で人々の心を揺さぶり、生きづらい世界を生きるヒントをくれるだろう。音楽ドキュメンタリーの枠を超え、かつ音楽の素晴らしさを存分に伝える快作を作り上げた大石規湖監督にお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
大石 規湖 フリーランスの映像作家として、SPACE SHOWER TV や VICE japan、MTV などの音楽番組に携わる。トクマルシューゴ、 DEERHOOF、DEATHRO、怒髪天など数多くのアーティストのライブ DVD やミュージックビデオを制作。独自の視点で切り取られたライブ映像、特にワンカメでのライブシューティングには定評があり、音楽に関わる作品を作り続けている。映画では『kocorono』(2010年/川口潤監督)で監督補助を担当。さらにLess Than TVを追ったドキュメンタリー映画『MOTHER FUCKER』(2017年)で映画監督デビュー果たし、本作『JUST ANOTHER』は劇場公開2作品目となる。
the原爆オナニーズ <TAYLOW (Vo)、EDDIE (B,Vo)、JOHNNY (Dr)、SHINOBU (G) >
日本を代表するパンクバンド。 1982年、名古屋でTHE STAR CLUBに在籍していたEDDIEと地元のパンク博士とも言えるTAYLOWを中心に結成。
大石規湖監督画像1
――ベテランのパンクバンドであるthe原爆オナニーズの映画を大石監督が撮ったと聞いてすごいなと思いました。しかも大石監督のテーマありきの企画とのことですよね。

大石 そうですね、1作目の『MOTHER FUCKER』(17)を作り終えてからも”やりたいことと生活”というのは引き続き自分の中のテーマとしてあって、なおかつバンドをやっている友達の中に音楽活動をやめる人、子供が生まれたからできなくなったというような人は引き続きいて。続けていくことの難しさはずっと感じていて、続けることがすべてではないけれどやりたいことを諦めないでほしい、自分も含めて諦めたくないなと思っていました。で、地方に行く機会もあって、地方で音楽をやり続ける人たちの強さというのをすごく感じていて。東京って、自分もものを作っていて感じるんですが、「売れるか売れないか」という価値基準で見られることが多いんです。でも地方にはお金に代えられない価値基準で面白いことをやっている人がたくさんいて、そういう地方の面白さと続けていくことの大変さを描きたいなと思いました。それをいちばん極めている人がthe原爆オナニーズだと感じたので、思いのまま「お願いします」と。

――『MOTHER FUCKER』のときは被写体となる谷ぐち順さん一家に撮影を申し込むまで時間がかかっていましたが、今回はとても行動が早かったですね。

大石 そうですね、『MOTHER FUCKER』を作っている間は1本作って終わりというのもアリだと思っていたんですけど、1本作ってみたら自分の中でも「続けていく」ということを意識するようになって。続けることが映画作りに関わってくれた人に対しての決意表明になるのかなと、それもあってどうしても作りたくて、自分が感じたことに当てはまるバンドとしてthe原爆オナニーズを、大御所ですけど選ばせてもらいました。でもさっきTAYLOWさんがリモートでインタビューを受けているのを覗かせてもらったんですけど、TAYLOWさんが働きながらバンドをやるという形態にしたのは、バンドを始めるときに、まわりで生活のためにバンドを諦めたとか、バンドをしていて生活が破綻したとか、いろいろな人を見てきたからそうしたんだというニュアンスの話をしていたんですよね。バンドや音楽をやり続けていくための方法を考えて働きながらやるという形態を選択したと、そういう根本的な部分を何かしら感じられたから、the原爆オナニーズに対して自分のテーマが合致したというか、感じるところがあったのかなと、さっきふと思いました。

――それは私も映画を観て感じました。the原爆オナニーズはバンドを続けていく方法を結成のときから探っていたんだろうなと。だからthe原爆オナニーズと大石監督ってすごくいいカップリングなんだなあ……とも。

the 原爆オナニーズTAYLOW画像the 原爆オナニーズ TAYLOW the 原爆オナニーズEDDIE画像the 原爆オナニーズ EDDIE大石 本当ですか!? 私は今気づきました(笑)。ありがとうございます。でも最初は結構無謀なことをしているなと思っていました。the原爆オナニーズのことを何も知らなすぎて。これだけ長く続けていて音楽もカッコよくて、きっとすごくバンドのやり方をわかっている人たちなんだろうと思ってお願いしたんですけど、撮影前に下地としてバンドのことを調べていこうと思ったら、ウィキペディアにも大した情報は載っていないし、いろいろ探してもTAYLOWさんのインタビューやコラムなどは出てくるんですけど詳しい情報がなくて。知らないまま行くことになって「どうしたらいいものか?」って。

――メンバーに話を聞く映像には大石監督の「えっ、そうなんですか!?」とビックリするような声も入っていて、それも面白かったです。大石監督の目線からバンドやメンバーの人となりを紐解いていくようなドキュメンタリーになっていて。

大石 本当は自分のことをあまり出さずに映画を作りたいと思っているんです。でも今回に関しては、私の動機が見えるようにしたほうがいいとプロデューサーからアドバイスを受けて。他にもthe原爆オナニーズを撮りたいという人がたくさんいる中で、私が撮りたいと思った理由を見せていかないと、観客の方で「なぜこんな長くやっているバンドの映画を若造の監督が撮るのか?」と引っかかりを覚えてしまうだろうと。初号の段階では私の視点は全然入れていなかったんですけど、観る人に納得してもらえるようにと考えて入れていきました。

――新幹線で名古屋に向かっていく冒頭の映像から、バンドを追いかける監督の目線で描いていくんだなというのが伝わりました。映画のお話はまずTAYLOWさんに持ちかけたんでしょうか?

大石 そうですね。プロデューサーの近藤(順也)さんとTAYLOWさんがお知り合いなので、まず近藤さんに相談してからTAYLOWさんに伝えて。TAYLOWさんは「他のメンバーがいいんならいいよ」という感じでした。

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JUST ANOTHER (1.78:1|カラー|ステレオ|90 分|2020 年|日本)
出演: the 原爆オナニーズ < TAYLOW、EDDIE、JOHNNY、SHINOBU >
JOJO 広重、 DJ ISHIKAWA、森田裕、黒崎栄介、リンコ 他
ライブ出演: eastern youth、 GAUZE、 GASOLINE、 Killerpass、 THE GUAYS、横山健
企画・制作・撮影・編集・監督:大石規湖 スチール:菊池茂夫
配給: SPACE SHOWER FILMS © 2020 SPACE SHOWER FILMS
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2020年10月24日(土)より新宿K’s cinemaにてロードショー、
以降全国順次公開!

2020/10/22/20:01 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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