大石 規湖 (監督) 映画『JUST ANOTHER』について【4/5】
2020年10月24日(土)より新宿K’s cinemaにてロードショー、以降全国順次公開!
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――新宿ANTINOCKでのGAUZEとのライブが映画の山場になっていて、演奏シーンも長く使っていたしいいライブだったなと思うんですが、SHINOBUさんのドラマもここで盛り上がりを見せるんですよね。一人で東京入りするところに始まって。
大石 そうそう。SHINOBUさんはGAUZEさんをめちゃくちゃ好きなんだなということを感じましたね。ライブは毎回楽しみにしていると思うんですけど、GAUZEさんとの2マンにはことさら気合を入れている感じがして。尊敬している人に見てもらえるというのもあって、ここに焦点を合わせてきているのかなと思っていたんですけど、ライブのあとTAYLOWさんからギターを褒められて。私が撮影をしている間にSHINOBUさんがライブのあと褒められているのってあんまり見ていないんですよ。「SHINOBUのギターよかったよ」ってTAYLOWさんから言われているところが撮れて、実際にめちゃめちゃいいライブだったから、流れでグッと見せたいなと思いました。演奏をメンバーに褒められて喜ぶっていうのも、バンドをいろいろ撮っている中であんまり見たことがなくて面白いなあと。人間関係が表れているということも含めて、ここが1年間のピークかなと思いました。
――本当に会心のライブという感じでしたよね。実はこのライブには私も行きたかったんですが、当日券のみで並ぶのが大変そうだから諦めたんです。映像で垣間見られてよかったです。
大石 ああ、当日券には多分朝10時ぐらいからずっと並んでて、私も「これは無理」と思いました(笑)。GAUZEさんのライブもめちゃくちゃカッコよくて。最初は撮る予定はなかったんですよ。ライブを見てほしいという方たちだと思うので、カメラでむやみに撮ることは失礼に当たるかなと思っていたんですが、当日リハを見たらカッコよすぎて、終わると同時に意を決して「すみません、今日撮らせてもらえませんか?」と。the原爆オナニーズも、TAYLOWさんがクラウドサーフィンであんなに後ろまで運ばれていくなんて。あれはあそこでしか見たことがないです。今ではあんなに密になるライブはできませんけど、ライブの醍醐味だと思いますね。
――関係者のインタビューも面白かったです。JOJO広重さんとか、今池TOKUZOの店長の森田裕さんとか、厳選されている感じがしますが。
大石 もっといろんな人に話を聞こうかなと思っていたんですけど、TAYLOWさんに相談しに言ったら、JOJOさんと森田さんぐらいでいいと言われました。バンドの核のことを知っている人に話を聞けば大丈夫という自信がTAYLOWさんの中にあったのかなと。確かにいちばん的確なところに話を聞かせてもらえたなと思います。
――JOJOさんのお話が最高で、冒頭から笑ってしまいました。
大石 JOJOさんは本当にすごいです。the原爆オナニーズのことをいちばんわかっている人だと思います。話が整然としていて、面白いポイントも突いてくれるし、音楽愛があるからこそ覚えているエピソードもたくさんあると思います。
――森田さんのお話では、TAYLOWさんが「シーンの中に自分がいるのが楽しい」と言っていたというところでグッときました。同世代の森田さんもいい笑顔で。
大石 そうですね、それは本当にTAYLOWさんを象徴しているなと思いました。常に若い人に目を向けて、国内外問わず絶対渦中に行くとか、行動力あるTAYLOWさんのことをずっと見てきてわかっている人なんだなというのはすごく思いました。森田さん自身もライブハウスでそういうことをされているんです。日本の音楽カルチャーやライブハウスは若干閉鎖的に思われてしまうところがあるから、TOKUZOはライブが終わったあとお客さんと関係者が壁もなくご飯を食べられるところにしようとして今の形態にしているそうなんです。TAYLOWさんと同じように、音楽やライブの現場をよく知っているからやり方をよく考えてやりたいことをやる。二人とも似たように前向きで素敵だなと思いました。
――バンドもライブハウスも今はコロナで大変そうですが、乗り越えてほしいですね。
大石 でも今池まつりは今年できなかったんですけど、代わりにオンラインでやったり、「今池ハードコアは死なず」って名前を掲げてポスターやTシャツを作ったりして、町ぐるみで絶対負けないという意思を表して。すごいと思いました。
――今池まつりも映画を見てどんなものか知りましたが、本当に町のお祭りなんですよね。名前は知っていて、音楽フェスなのかと思っていたんですが。
大石 私も最初はそう思っていました。そうしたらただのお祭りだという。老若男女がお祭りらしいいろんなことをして遊んでいて、ライブもおんなじようにみんな笑いながら見てて。the原爆オナニーズのTシャツを子供とかおじいちゃんおばあちゃんも着てたりして、何かあんまりわかんなくて着てるんだろうなって(笑)。
――幅広い客層を相手にライブもすごく盛り上がっているんですよね。お客さんの中にナカムラルビイさんもいましたね。
大石 そうそう、すごくきれいな女性がいるなと思ったら。お父さん(=中村達也さん(Dr)、1982~83年/1985年にthe原爆オナニーズに在籍)が昔いたバンドのライブを見てノってる姿がいいなあと思いますね。
――本当に名古屋ならでは。カオスで面白いなあと思いました。
大石 来年もし機会があったらぜひ行ってください。結構いろんなバンドが出ているんですよね。the原爆オナニーズの次に出るのが紅白に出場したnobodyknows+だったりして、訳がわかんないです(笑)。これを見て興味を持った人は来年行ってほしいですね。
出演: the 原爆オナニーズ < TAYLOW、EDDIE、JOHNNY、SHINOBU >
JOJO 広重、 DJ ISHIKAWA、森田裕、黒崎栄介、リンコ 他
ライブ出演: eastern youth、 GAUZE、 GASOLINE、 Killerpass、 THE GUAYS、横山健
企画・制作・撮影・編集・監督:大石規湖 スチール:菊池茂夫
配給: SPACE SHOWER FILMS © 2020 SPACE SHOWER FILMS
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