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第16回 宝塚映画祭

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2015年11月21日(土)~27日(金)まで、宝塚シネ・ピピアにて開催

第16回宝塚映画祭

今年で16回目を迎える宝塚映画祭が11月21日(土)から7日間に渡って開催される。「宝塚」の名前は、今では女性だけで構成された歌劇団の名称で広く認知されているが、宝塚にある武庫川沿いにあった宝塚映画製作所を中心に、黒澤明、木下恵介、小津安二郎といった日本映画を代表する監督や、森繁久弥、三船敏郎、司葉子、原節子といったスター俳優たちが出入りする時代があった。宝塚映画祭では、この宝塚映画製作所で製作された劇場映画(通称「宝塚映画」)に関する特集上映や、映画館で観る機会の少なくなった国内外の優れた作品の上映を行っている。

今回は、阪神間ゆかりの文豪・谷崎潤一郎の没後50年を記念して、原作が映画化された「お市の方」「細雪」「春琴抄」「猫と庄造と二人のをんな」を特集上映する。また、恒例となっている特集・宝塚映画名作選では、今年3月に惜しまれつつ世を去った上方落語初の人間国宝3代目桂米朝出演の『カモとねぎ』、俳優三船敏郎の唯一の監督作品『五十万人の遺産』、団令子主演の『ある大阪の女』、雪村いづみと美空ひばりのミュージカル『ロマンス誕生』、ザ・ピーナッツの2人が出演した『若い仲間たち うちら祇園の舞妓はん』の5本を上映する。
他にも、スタッフが自信をもってお勧めする作品の上映(「オン・ザ・ロード」「インターステラー」「ろまんちっくろーど~金木義男の優雅な人生~」「映画『立候補』」)や、「林海象~モノクロームの美学」と題して、林海象監督の最近作である「弥勒MIROKU+短編」の上映、更に監督を迎えてのトークショー、よしもと {旅するおもてなしショートシネマ}と題して、吉本興業が地元制作の「地域発信型映画プロジェクト」で作成した短編映画3本の上映と若手ご当地芸人による映画作品トークショーなどが行われる。
上映されることが珍しくなかなか観られない作品も少なくないので、現地におもむける人はこの機会を見逃さずにぜひ会場まで足を運んでみてほしい。

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2015年11月21日(土)~27日(金)まで、宝塚シネ・ピピアにて開催

主な上映作品

特集1 谷崎潤一郎 没後50周年記念

『細雪』( 145分〔白黒〕/新東宝/1950年 ©国際放映 )
原作:谷崎潤一郎/監督:阿部豊 出演:花井蘭子、轟夕起子、山根壽子、高峰秀子

軍部の圧力で発禁処分となり終戦まもなく世に出た『細雪』は、「昭和の源氏物語」とも呼ばれ、日本の近代文学を代表する名作。製作費は当時としては破格の3,800万円。阪神大水害の洪水シーンなどでは特撮が使われた。作品の舞台となった谷崎潤一郎旧居「倚松庵」は住吉川沿いで公開されている。

『お市の方』( 88分〔白黒〕/大映京都/1942年 提供:東京国立近代美術館フィルムセンター )
原作:谷崎潤一郎/監督:野淵昶 出演:宮城千賀子、大友柳太郎、月形龍之介、水野浩、阿部九州男

原作は女人崇拝の小説「盲目物語」。織田信長の妹にして浅井長政の妻であるお市の数奇な生涯を、新会社の大映が映画化。宝塚を退団して間もない宮城千賀子が、戦国時代を象徴する美女を演じる。原版は失われていたが、ロシア・ゴスフィルモフォンド(国立映画保存所)で近年発見された。

『春琴抄』( 97分〔カラー〕/東宝/1976年 ©東宝 )
原作:谷崎潤一郎/監督:西河克己 出演:山口百恵、三浦友和、中村竹弥、津川雅彦、中村伸郎

山口百恵主演文芸作品第6作。8億8,400万円の配給収入を記録。美しい盲目の三味線の師匠・春琴を慕い、献身的に仕えた、丁稚・佐助の崇高なまでにマゾヒスチックな恋愛を、江戸時代から音曲文化の伝統が生き続ける、 大阪船場の古い商家を舞台に描く。

『猫と庄造と二人のをんな』( 135分〔白黒〕/東京映画/1956年 ©東宝 )
原作:谷崎潤一郎/監督:豊田四郎 出演:森繁久彌、香川京子、山田五十鈴、浪花千栄子

一匹の雌猫に振り回される三人の男女の生 態をユーモラスに描く。原作の舞台は阪神沿線の打出界隈。同じ阪神沿線で育った森繁久彌が怠け者の主人公を関西弁で好演。撮影は香櫨園海岸などで行われた。1956年度キネマ旬報ベストテン第4位。文豪・谷崎潤一郎も愛猫家で知られた。なお、香櫨園で育った村上春樹氏が少年時代、この映画のロケを見たと自著で語っている。

特集2 宝塚映画 名作選

『カモとねぎ』( 92分〔カラー〕/宝塚映画/1968年 ©東宝 )
監督:谷口千吉 出演:森雅之、高島忠夫、砂塚秀夫、緑魔子、桂米朝、山岡久乃

戦争の影を引きずるニヒルな詐欺師を森雅之が演じ、大阪の悪徳経営者の米朝師匠(当然ながら芸達者です!)を見事にだます。当時の阪急ブレーブス人気選手バルボンも顔を出し、公害に苦しむ娘役にウルトラマンで人気だった桜井浩子も。高度成長期らしい躍動感たっぷりの痛快娯楽作。

『ある大阪の女』( 89分〔カラー〕/宝塚映画/1962年 提供:東京国立近代美術館フィルムセンター ©東宝 )
監督:須川栄三 出演:団令子、小沢栄太郎、藤原釜足、初風諄、黛ひかる

戦前の溝口健二監督の傑作「浪華悲歌」(1936年)を、時代設定を変えてリメイク。大阪の零細 商社に勤める団が、父親の使い込みの穴埋めをするために商社社長のお金に手をつけてしまう。それが発覚して、社長の愛人に…。溝口版で山田五十鈴が演じた主人公を団が好演した。

『ロマンス誕生』( 101分〔カラー〕/宝塚映画/1957年 ©東宝 )
監督:瑞穂春海 出演:雪村いづみ、山田真二、美空ひばり、淡路恵子、環三千世、宝田明

宝塚映画らしく華やかな舞台場面がたっぷり出てくる音楽映画。美空ひばりは本人役で登場し、美声を披露する。ショーの構成は、宝塚歌劇に「すみれの花咲くころ」をもたらした白井鐵造が担当。振り付けは、歌劇団演出家の渡辺武雄。舞台セットも力が入っている。歌劇団の映画専科から環三千世が出演。

『若い仲間たち うちら祇園の舞妓はん』( 92分〔カラー〕/宝塚映画/1963年 ©東宝 )
監督:佐伯幸三 出演:ザ・ピーナッツ、中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり

当時日本の芸能プロの頂点に立っていた渡辺プロと宝塚映画がタッグを組んだミュージカル。人気 絶頂のアイドル、ザ・ピーナッツの伊藤エミとユミ(双子です)が、それぞれ祇園の舞妓と人気歌手役を。「スパーク3人娘」として売り出し中だった中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりも舞妓役として祇園を駆け巡る。

『五十万人の遺産』( 98分〔カラー〕/宝塚映画/1963年 ©東宝 )
監督:三船敏郎 出演:三船敏郎、仲代達矢、三橋達也、山崎努、星由里子

「世界のミフネ」(当時、黒澤明監督作で欧米で圧倒的に評価されていた)が唯一監督を務めた作品。フィリピンの山奥に眠るとされる旧日本軍の特製金貨を巡る欲望を描いたアクションドラマ。タイトルの「五十万人」とは現地で散った元兵士たちを意味する。三船は元陸軍主計少佐を演じている。

特集3 スタッフが101人に観せたい映画

『ろまんちっくろーど~金木義男の優雅な人生~』
( 98分/ちょもらんま企画/2014年 ©ちょもらんま企画 ) 監督:今井いおり 出演:金木義男
世界の問題を解決する為に日々奮闘する金木義男の物語。彼は誰にも相手にされないが、前へ前へと突き進む。そんな中、ガンが彼を襲う。叶わぬ夢、見果てぬロマン。老い先が見えた男は命の輝きを見せる。圧倒的な金木のキャラクターで笑いと涙を誘う痛快ドキュメンタリー映画。

『オン・ザ・ロード』( 139分/ブロードメディア・スタジオ/2012年 ©Gregory Smith )
原作:ジャック・ケルアック/監督:ウォルター・サレス 出演:サム・ライリー、ギャレット・ヘドランド

ジャック・ケルアックの代表作にしてビート世代やヒッピーのバイブルとも呼ばれる小説『路上』を、「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サレス監督が映画化した青春ロード・ムービー。主人公が体験するほろ苦くも輝かしい青春の日々が鮮烈に描かれる。

『インターステラー』( 169分/ワーナー・ブラザース/2014年 ©2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved. )
監督:クリストファー・ノーラン 出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン

地球が作物も育たない荒廃した星となった近未来。1人の父親が愛する娘を地球に残し、新 たな移住先を求めて宇宙を旅する。映画祭では本作を35mmフィルムで上映。まだ観てない 方も、デジタルでしか観てない方も必見の作品。

『映画「立候補」』( 100分/ 明るい立候補推進委員会/2013年 © 2013 word & sentence )
監督:藤岡利充 出演:マック赤坂、羽柴誠三秀吉、外山恒一

羽柴誠三秀吉、外山恒一、マック赤坂といった選挙において当選する見込みがほとんどない“泡沫候補”が、なぜ300万円もの供託金を支払ってまで闘うのかに迫る異色の選挙ドキュメント。世間から揶揄されても闘い続ける彼らの真実の姿に迫る。終盤の橋下徹との一騎打ちは必見。

特集4 林海象 ~モノクロームの美学~

『彌勒MIROKU+短編』( 87分+20分/ミロク革命社/2013年 ©2013 MIROKU All Rights Reserved. )
原作:稲垣足穂/ 監督:林海象 出演:永瀬正敏、土村芳、佐野史郎、井浦新、四谷シモン

稲垣足穂文学初の映画化。林海象とその教え子たちによって製作された。映画は、第一部「真鍮の砲弾」第二部「墓畔の館」の二部構成。足穂文学を忠実に白黒映像で再現している。音楽は映画版と生演奏版があり、生演奏版はライブ演奏で全国を巡回し話題となった。下鴨神社で神様に初めて映画を観せる奉納上映を行なった。

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2015年11月21日(土)~27日(金)まで、宝塚シネ・ピピアにて開催

2015/11/07/18:33 | トラックバック (0)
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