インタビュー
ミシェル・フランコ監督/『母という名の女』

ミシェル・フランコ (監督)
公式インタビュー 映画『母という名の女』について【2/3】

公式サイト 公式twitter 公式Facebook

2018年6月16日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー


『母という名の女』場面1 『母という名の女』場面2
――撮影監督のイヴ・カープについて。

ミシェル・フランコ監督  撮影監督のイヴ・カープとは良い共犯関係を築き、どうすれば作品を一番いい形で撮れるかという話をしながら、私たちは現場でのアドリブと徹底した下準備を上手く掛け合わせて撮影できました。ほとんどフィルターを使用せず、撮影もとても早く、照明の数も少ないのだけれど、常に照明撮影以上のコラボレーターとして作品が何についてのものなのか、とてもよく考えてくれています。キャラクターを奥深いところまで掘り下げ、映像的にも興味深いものを作っていきたいと考え、私たちはひとつひとつの場面をどう撮るかをいつも前もって打ち合わせていましたが、それはカメラが回り出した途端、いつも覆されるのでした。そんな時もその場で役者に合わせて適応してくれました。

―― 主演のエマ・スアレスについて。

ミシェル・フランコ監督  エマのキャスティングは、外国から来たという設定にしたくて、スペイン人の母親というキャラクターを探していたときに『ジュリエッタ』を観て「あ!アブリルにいいかも!」と思いつきました。エマは知性と感性の両方で演技をしています。つまり、本能的に反応するだけでなく、とても理性的に物事を捉えているのです。

――アブリルの背景については設定されているのか?

ミシェル・フランコ監督  アブリルの設定はつくっていません。唯一決めていたのが、スペインから来た外国人であるということのみ。ただそれも、外からいきなりやって来る感じや不在感が強められるからという理由でしかありません。時々役者から、これはどういうこと?この背景は?と聞かれるけど、それは自分で考えて決めてくれ、逆にその考えを教えて欲しいといつも答えています。すでに脚本に2年以上かけているから、ここからの作品作りは君たちの意見を反映させて一緒に作っていきたい、と話します。私は監督というものは独裁者であるべきではないと考えています。

――アブリルというキャラクターについて。

ミシェル・フランコ監督  私はアブリルという存在を善悪で裁くような視点では描いていません。現代社会では良い母親であることをプレッシャーとして女性に押し付けていると思います。良き母であれ、良質な仕事を持て、子供の為に何かあれば常に近くにいろ、夫の為に常に官能的であれ、家族の為に常に美しく装え、これらすべてを求められているのが現代女性で、多くのプレッシャーをかけられ失敗してしまうことも当然あると思います。しかし一度失敗した女性に対して、現代社会はすぐにレッテルを貼ってしまう。それを集約した結果がアブリルのような女性です。ある意味、現代社会を体現しているキャラクターなのです。

――バレリアについて。

『母という名の女』場面3 『母という名の女』場面4ミシェル・フランコ監督  バレリアは完全に自然体で、私の手に全てをゆだねてくれました。彼女には天性の才能があり、怖いものなしです。ごく自然に演技に入るのです。彼女の表現はあの年代の若い女性にしては非常に複雑なものがあって、その心の中はまるで迷路のようです。彼女と作業しながら最後の表情をどうしていくかというのが見えてきました。逆に、彼女の表情や変遷が上手くいっていなかったら映画として成り立っていなかったと思います。というのも、映画の作品としての感覚というのは、バレリアからもたらされるものだからです。

――クララを設定した理由は?

ミシェル・フランコ監督 クララというキャラクターは、アブリルの背景(バックグラウンド)を考えたときに鍵となる存在です。母親と過ごした時間がアブリルより長いからこそ、クララはちょっとぽっちゃりとしていて、自尊心も低く、妹があんなことをしていても自分はやりたいことをできず、生きたいように人生を過ごせていない。逆に母親と過ごした時間の短い妹のバレリアのほうが自由に振る舞っている。それはきっと、姉のクララほど母に苦しめられていないからだと思います。

――車内シーンがよく登場するのは?

ミシェル・フランコ監督 劇中で移動するのが好き、ということが一つあります。あと車内というのは親密な空間なので、それを好んでいるというのもあります。車内の設定だと、セリフがないような場面であっても、観客がキャラクターと密着してより親密な空間に身を置くことができるからです。キャラクター達自身が自分の人生を変えるべく、また自分の人生を再訪するべく移動していく物語だとおもうので、移動するということは重要だと思っています。

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母という名の女 (2017年/メキシコ/スペイン語/カラー/ビスタサイズ/103分/PG12/
原題:Las Hijas de Abril/英題:April’s Daughter)
監督・脚本・製作・編集:ミシェル・フランコ (『父の秘密』(12)、『或る終焉』(15))
撮影:イヴ・カープ(『ホーリー・モーターズ』(12)、『或る終焉』(15))
出演:エマ・スアレス(『ジュリエッタ』(16))、アナ・バレリア・ベセリル、エンリケ・アリソン、ホアナ・ラレキ、エルナン・メンドーサ
© Lucia Films S. de R.L de C.V. 2017 後援:在日メキシコ大使館 配給:彩プロ
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2018年6月16日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー

2018/06/05/20:32 | トラックバック (0)
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