昨日4月2日からの公開に先駆けて、スペースFS汐留で行われた特別試写会(3/22)に、出演の中村獅童・小栗旬・ 吉村由美(PUFFY)、監督の井上靖雄、原作者の井上三太が駆けつけ舞台挨拶を行った。その模様をお伝えする。
取材・文:仙道勇人
この日は小雨が降り注ぐ生憎の空模様だったが、それでも開場一時間以上も前からファンが列をなしており、人気の高さをうかがわせた。 舞台挨拶では中村獅童以下出席者らが旺盛なサービス精神を発揮、愉快な掛け合いで笑いの絶えない舞台挨拶となった。
挨拶冒頭から、
井上三太「(映画化されて)いやあ、気分悪いですね。獅童さんがずっとこの映画を観ないでくれと言っていたので、最初は
『なんてことを言うんだっ!』と思ってたんですが、僕も考えが変わりましたね。やはりこの映画は観ない方がいいですよ、皆さん。
(まだ観ていないなら)今日は帰った方が良いです」
中村獅童「僕はなんでここに立っているのかよくわかんないんですけど、この映画も監督に騙されて……
無理矢理やらされちゃって――もうこの映画には関わりたくないです」
小栗旬「22年間生きてきて、
裸でケツを叩かれることになるとは……」
中村獅童
「ボクもぉ、この歳になって人の生ケツを叩くとは思いもしませんでした」
吉村由美「私も人生30年生きてきて、軽いセクハラをあんなに監督から受けるとは思っていなかったんで……」
と皆で言いたい放題で、監督が一人悪者にされる形に。
井上靖雄「確かに無理なことや変態的なことをかなりさせました。でも、元はと言えば三太さんから裏で『オメェ、
つまんねえもん作ったら絶対協力しないからな』とずっと脅されてたんですよ」
井上三太「いやあ、
裸のシーンは原作にないですからね」
中村獅童「本当に酷い人で……
顔も見たくないです」
井上靖雄「……
獅童さん楽しんでやってましたから」
中村獅童「いやぁ、
この作品に出させていただいた後にどうしょうもなく落ち込みまして、一晩眠れなくて朝までもの凄く悩んだん、ですね。その時にボクは
『いま、会いにゆきます』を、お金を払って観に行きました。そして、こんなボクもいたんだなぁと思ってホッとしました……
」
――監督がそれだけ痛烈な作品を作ったということなんですけれど、 監督としては原作をどんな風に映像化しようと考えていたんですか?
井上靖雄「原作が凄く問題作であって、 それを映像化するということで、原作に忠実でなければいけないと。やはり問題作であるぐらいのパワーを原作は持っていたんで、 それをやはり再現しなきゃいけないということで。それでまぁ、キャストの方でも獅童君、旬君、由美ちゃんと、 これまた問題作になりうるキャストが揃いまして。ここまでいったら三太さんにぶっ飛ばされずに済むと思って、 暴走して作らせてもらいました。自分で試写で観た時に恐いなと思う出来になっています」
――では、映画について触れていきたいのですが、 今回お二人は二重人格ということで二人一役を演じられてます。競演するシーンも幾つかあったかと思うのですが、 印象に残っている思い出などを伺いたいと思います。
井上靖雄「全て結構印象深いシーンだったんですけど――、今パッと頭に浮かんだのですと……あぁ、
でもこれはあんまり言いたくないなぁ(笑)。えっと、獅童さん、旬君、由美ちゃんが三人で同時にでるシーンがあるんですけれども、
そこはやはり獅童さんっぽいし、由美ちゃんは由美ちゃんぽいっていう……でもまぁ、そこだけじゃないんですけどね。獅童さんは
「俺もう素でいくからさ」って現場で言って。あぁ、ありがとうって言ってやって貰った画がエライ恐かったんで――」
中村獅童「お前達は馬鹿かっ!
」(爆笑)
では、その三人で競演したシーンでそれぞれ演じて、それぞれどんな印象を持たれましたか?
中村獅童「そうですね、小栗君は素敵な役者さんだなと思いました。爽やかで……」
小栗旬「キャラ変わったよ(笑)?」
中村獅童「えぇ?いや…あっ、
出身校が一緒だったんですよ、それが嬉しかったです」
――小栗旬さんはどうでしたか?
小栗旬「そうですねっ、あのーーー獅童さんは本当にこのままで13号って役を出来る人なんだなって、
撮影をしている時は凄く感じましたね。あぁ、これを知っているからこそこういうキャスティングになったんだなって……」
井上靖雄「本当、
僕は凄くドキドキしてた」
中村獅童「俺かよっ!
」
――でもそれは小栗さんから見て、獅童さんの演技力っていうのは凄いなぁと思ったと?
小栗旬「うん、凄く思いましたね。あの13号像を作れるのは、獅童さん独特の持っているものだと思いましたね。 吉村由美ちゃんなんかも、現場に来たら普通にみんなと会話して『お芝居そんなやることないんですよ』なんて言って、普通にやって、 普通に現場から帰っていくという感じだったんで、みんな凄いなーと思いましたね」
――吉村由美さんはいかがでしたか?
吉村由美「そうですね、こういう世界って裏表のある人が多いって言うじゃないですか。でも、
本当に獅童さんは裏表がなくて(爆笑)、「あ、こういう方もいるんだなぁ」というくらい13号と裏表がなくて、それに凄い驚きました。
みんな裏表があってやらしい方ばっかりなのかと思ってたんで、ホッとしましたね」
中村獅童「俺かよ……
」
――では、撮影現場では皆さん仲良くされてたんですか?
一同微妙に言葉を濁らす。
井上靖雄「――でも、
影では僕の演出に色々と……『あぁ、もうやだよっ!』とか『気持ちわりぃよっ!』とか言ってたみたいで……」
中村獅童「なんか知らないですけど、監督はオイルが好きで……。普通テカった時には抑えるんですけど、
監督はすぐにオイルを塗るんですよ、個人的な趣味で」
井上靖雄「画にコクがでるんですよ」
中村獅童「子役にもオイルを塗りまくって、子役のお母さん泣いてましたからね。いいかげんにしてください、
冗談じゃないって」
――では、獅童さんは演出の中で随分と無理難題を押しつけられたんですか?
中村獅童「無理難題と言うか、騙されて出ちゃったんで。もう、本当に酷い目に遭った……」
――獅童さんにとって、一番大変だった撮影シーンってどこですか?
中村獅童「朝から晩まで小栗君と二人で素っ裸でねえ。流石に小栗君も泣いてましたよ」
井上靖雄「でも、
本当に泣いてたよね……役に入って。俺なんか悪い事したかって……」
小栗旬「でも、
そういう風に売ってなかったので……まさかこんなことをさせられるとはって感じでしたけど」
――では三太さん、出来上がった作品をご覧になってみて、 皆さんの話を聞かれてどう思われます?
井上三太「いやもうね、面白い映画は世の中たくさんあるんでね、みなさんこの映画は観なくていいですよ(笑)。もう、獅童さん、
言ってやってくださいよ「いぬのえいが」とか面白いんで(爆笑)」
中村獅童「そうなんですよねー」
井上三太「犬とかかわいいですから、女性には本当にいいですよ」
中村獅童「『いぬのえいが』、
犬を可愛がっていたりしてね、割と普通の映画をご覧になっていただいて。女性のお客様にはね、とっとと帰っていただいて。『いぬのえいが』
よろしくお願いしますね」
井上三太「
『いま、会いにゆきます』も……」
中村獅童「『いま、
会いにゆきます』も……」
井上三太「皆さん
『あずみ2』もね(笑)。で、アメリカ行ったらPUFFY・アミユミむこうで大変なことになってますから。
これはもうね、止めといた方がいいよね、獅童さん」
中村獅童「止めといた方がいいよね。僕もこれからまだまだやりたいことも一杯あるし」
――そんなこと言ったら、監督が可哀想になってきましたけど……。
井上靖雄「帰った方がいいですよ。もういいよっ!」
――最後にこれからご覧になる方々、 これから劇場に足を運びになる方々に皆様からメッセージを、この『隣人13号』についてお願いしたいと思います。
中村獅童「まず、今日ご覧いただくお客様に。途中でご気分が悪くなられたお客様は後方に係員がおりますので、
すぐに申し出てください。……何と言いますか、本当にファンの皆様の期待を裏切るような映画に出てしまいまして、深く深く反省しております。
本日は……ありがとうございました」
小栗旬「えーと、そうですね、
本当の気持ちを言わせてもらえれば、みんなちょっとおかしいですよっ!ちょっと僕はもう、
カチンときました(笑)。僕らはね、今日映画を宣伝しに来たんですっ。さっきから僕は、
裏で監督にこういう風に言ってくれと言われてたんで、ずっとこういう風に言わされてきましたけど、やっぱりおかしいですよ。
隣人13号、ドーンとっ、ドオーンと世間に見せて行かなきゃいけないなっていうことで。
今日は楽しんでくれたらいいなと思ってます」
吉村由美「前々から言ってるんですけど、
両側にいるお二人が変態だったからこそ出来上がった映画だと思います。あと、
一個言いたいのは私は赤いブラジャーなんてつけませんからね、
普段ッ!それだけはもう、監督の趣味ですからっ。それだけはお伝え下さい、皆さんに」
井上三太「僕は犬が好きです(爆笑)。猫より犬が好きです。以上です」
――ほ、本当ですか?最後に原作者として熱い思いを。
井上三太「いや本当にね、世知辛い世の中で色々な犯罪が起きているので、この映画も非常に犯罪の匂いがするので…。
もう一度言いますけど、世知辛い世の中なので、世知辛い映画とか観なくていいと思うんです。わざわざお金とか払って。僕は帰ります……
」
小栗旬「ダメですよっ、
三太さん!そんなことばっかり言ってちゃ」
井上三太「もうね、
みんなでフレンドパークに出ようっ!(爆笑)」
――では、最後に井上監督に締めていただきたいと思います
井上靖雄「まぁ、みんな酷いこと言ってますけど、今日観ていただければわかると思いますが、 皆さんの心の映画ナンバーワンになるはずの出来になっていますので、是非獅童をご賞味あれという感じですね。まぁ、 皆さん素晴らしい演技をされているので、心の映画にしてください。以上でございます」
この後、観客の拍手に見送られて退場する間際、中村獅童がウオォォォーーーッと一声獅子吼を放ち、最後の最後まで観客を飽きさせない舞台挨拶だった。
シネクイント、シネ・ リーブル池袋他にて絶賛上映中(順次全国公開)
隣人13号 2005年 日本 監督:井上靖雄 脚本:門肇 原作:井上三太 出演:小栗旬 中村獅童 新井浩文 吉村由美(PUFFY) 石井智也 松本実 劇団ひとり 村田充(特別出演) 三池崇史(友情出演) http://www.rinjin13.com/ |
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