映画『かぞくへ』初日舞台挨拶レポート【1/3】
ユーロスペースにて大好評上映中!ほか全国順次公開
去る2月24日、春本雄二郎監督の初監督作品である『かぞくへ』がユーロスペースにて公開初日を迎えた。上映前には主演の松浦慎一郎さん、梅田誠弘さん、遠藤祐美さんをはじめとするキャストが勢揃いし、春本監督とともに舞台挨拶を行った。「インディペンデントでも観客の心を揺さぶる映画を作ろう」という熱意をもって作られた本作は、2016年の東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門で初上映されて評判を呼び、その後クラウドファンディングで公開のための費用を募りながら、国際映画祭への出品も重ねてきた。フランス・ヴズール国際アジア映画祭ではNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)含む3冠を達成するなど、海外でも高い評価を得てきた本作の満を持しての日本公開に、支援者や映画ファンらが駆けつけ、満員御礼での好スタートを切った。 (取材:深谷直子)
主役の旭を演じた松浦慎一郎さんは長崎県五島列島出身であり、ボクシングトレーナーとしての顔も持つ。本作はそんな松浦さんのプロフィールと実体験を元に書かれたリアリティ溢れるオリジナル脚本が大きな話題となっている。初日を迎えての一言を求められ、松浦さんは「東京に出てきて、騙されたり借金背負ったりいろいろありましたが、それが映画になってこうやって多くの人に観ていただけるなら少しよかったな……と、さっきそこで思っていました」と、超満席の客席を前に感慨深げに語った。
旭の親友・洋人を演じた梅田誠弘さんは、素顔はとてもスマートで、劇中の茶髪の気のいい漁師のお兄ちゃんの面影はほとんど見られないが、開口一番「みなさん今日はありがとうございます。旭役の……、あー違います!」と自分の役名を間違えてみんなから即ツッコミを入れられ、洋人と同じく愛嬌のあるところを見せた。照れ笑いを浮かべながら「脚本を読んだときから映画館で上映できるといいなと思っていました。それがこんなに素晴らしい形で実現して嬉しく思っています」と、しみじみ語った。
旭の婚約者の佳織役を演じた遠藤祐美さんは、春本監督とは日本大学芸術学部の同期という間柄。「長い付き合いなんですが、出会ったころは一緒に作った作品がこのように多くの方に観ていただけるとは思っていませんでした。よかったなあと思います」と明るい笑顔で語りかけた。
旭が働くボクシングジムの客であり、洋人を騙す喜多役での得体のしれない演技が印象的な森本のぶさんは、本作を観たあとで初めて会うことになった人から「『かぞくへ』の森本のぶさん? 僕騙されませんか?」と心配されたそうで、「役者冥利に尽きるなと思いました」と楽しそうに振り返った。ジムの会長役の三溝浩二さん、従業員役のおのさなえさんも、遅い時間の上映に集まってくれたお客さんへのお礼を口々に語った。
孤児である旭に偏見を持ち、娘との結婚を反対する佳織の母親役を演じた瀧マキさん、そんな母と姉の対立に胸を痛める妹役の下垣まみさんも、晴れやかな笑顔で登壇。瀧さんは「登場人物全員不器用なんですが、共感してもらえたら嬉しいです」と観客にアピールした。
助監督としての経験を積み、いよいよ自主映画で監督デビューとなった春本雄一郎監督は「監督・脚本・編集・プロデューサー、あと助監督、製作部をやりました春本です(笑)。松浦さんと一緒に何もないところから始まった映画が完成し、今これだけのお客さんが観に来てくださって、感謝しています」と感激の面持ちで挨拶した。
出演:松浦慎一郎,梅田誠弘,遠藤祐美,三溝浩二,おのさなえ,下垣まみ,瀧マキ,森本のぶ
監督・脚本・編集:春本雄二郎
撮影:野口健司 照明:中西克之 録音・整音:小黒健太郎 制作:福田智穂 助監督:浅見佳史
音楽:高木聡 プロデューサー:深谷好隆,春本雄二郎,南 陽 海外セールス:植山英美(ARTicleFilms)
配給:『かぞくへ』製作委員会 配給協力:コトプロダクション ©『かぞくへ』製作委員会
公式サイト 公式twitter 公式Facebook