映画『あした、授業参観いくから。』
初日舞台挨拶レポート
2022年4月22日(金)まで 新宿K’s cinemaにて上映
4月30日(土)より 名古屋シアターカフェにて上映
23分の短編ながら大阪での公開時に異例のロングランになり話題を集めた『あした、授業参観いくから。』の待望の東京公開がK's Cinemaで4月16日から始まった。7つの台詞を5つの家庭で繰り返す意欲的な内容の斬新さに加えて、観た人の心に残る感動が普遍的な作品だからだろう。
東京公開初日の安田真奈監督と主演の片岡礼子さんの舞台挨拶の模様をお伝えする。(取材:わたなべりんたろう)
安田真奈監督 大阪のおばちゃんなので、よくしゃべりますがよろしくお願いします。
片岡礼子 四国のおばちゃんなので、よくしゃべりますがよろしくお願いします。
安田 なんで作ったか?をよく聞かれるんですが、『あした、授業参観いくから』『えっ』…などという7つの台詞は、演技や脚本のワークショップでよく使ってたんです。キャラクターや背景の設定によって、全く同じセリフでも、全く違う芝居になる。さらに撮影すると、全く違う映像になるんです。そこで、同じ台詞を繰り返しつつも、家族模様はそれぞれである…という構成で、親子について考えたくなるドラマにしたんです。
片岡 わたしは愛媛でこの映画を公開した時、ワークショップを見学させてもらっているんです。それを見て面白いなと。
安田 そもそも片岡さんとの出会いはツイッターでしたよね。『ハッシュ!』の頃から片岡さんのお芝居が大好きで、フォローしてて。コメントを書かせていただいたら、片岡さんもちょうど小芝風花さん主演の『TUNAガール』をご覧になっていて、いつか一緒に!と盛り上がって。
片岡 そうでしたね。そう、今はSNSで出演が決まる時代!コロナ禍でSNSで監督と主演が繋がる。現代っぽいですよね。
安田 片岡さんが主演を受けてくれてホントに感激しました。9月下旬、三日間撮影で、二日だけ来ていただましたね。
片岡 監督のおかげで良い雰囲気の現場で。
安田 片岡さんのおかげです。現場を明るくしていただいて。
片岡 出演にあたって安田監督の過去の作品を見たんです。『TUNAガール』も『幸福(しあわせ)のスイッチ』も良かった。。
安田 ありがとうございます。
片岡 映画って、撮ったから良かった、ではなくて、人に伝わって映画は始まると思うんです。コロナ禍で人と人がSNSで繋がる大事さが、今回あらためて分かりました。監督と主演がSNSで出会ったなんて、今の時代だから生まれた映画かも。観に来ていただいたみなさんにも、出来たらこの映画をSNSに書いて伝えてほしいんです。ハッシュタグ #あした授業参観 をつけてくれたら、わたしを始め出演者とスタッフが見つけてリツイートや引用ツイートをしますからよろしくお願いします。
安田 主演の片岡さん自ら、SNSで本作について熱心に発信してくださって……。とても有難いです。。
片岡 映画館で見ていただけるって嬉しいですもんね。
安田 実はね、『幸福(しあわせ)のスイッチ』(2006年)で劇場デビューしたものの、子育てで11年間脚本業だけになって、『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』(2017年)でやっと監督復帰できた。その時公開していただいたのが、このK's cinemaなんです。数年ぶりに帰ってこれて感無量です。
片岡 それは嬉しいですね。
安田 今作の出演者は基本はオーディションで選んだんですが、キーマンとなる保護者の一人は、『オーライ』(2000年)に出てくださった前田晃男さんにお願いしました。今日いらしてるので舞台にどうぞ。
前田晃男さんが舞台に上がる。
前田 カメラが1台なのであのシーンは10回以上やったんです。ボクシングで言ったら15ラウンドやったのと同じです。
片岡 一日しかご一緒していないのに、もっと長く現場にご一緒した気分でした。
安田 前田さんは南河内万歳一座ご出身で、演劇ユニット ボラ☆ボラの制作・作・演出や出演をされてるんですよね。今回はちょっと怖い役をお願いしちゃいましたね。
片岡 みんな震えあがってましたよね(笑)。
前田 映画の中と違って実物は怖くないでしょう?(笑)。
出演者と監督とのトークから現場の良さが伝わる初日舞台挨拶でした。安田監督の実力がよく伝わるうえに出演者の方々の演技も良くて23分ながら濃密な時間を堪能できます。K's cinemaにて、連日12時から上映で4月22日(金曜)まで。4月30日(金曜)からは名古屋シアターカフェにて、旧作8mm映画なども併映。是非観てほしい作品です。(取材:わたなべりんたろう)
STORY 坂口則子は、中学英語教師の職に生きがいを感じている。出勤は、常に早朝。断れない性格で残業も多い。独り身の心細さもあるが、堅実に暮らしている。担任のクラスには様々な生徒がいる。両親が共働きで、優等生の光。母を亡くしたが、明るい性格の亜輝菜。父が医師で母は専業主婦、裕福な一馬。母がだらしないので家事を担うゆかり。荒っぽい性格の父におびえる涼太……。明日は授業参観。それぞれの家庭で展開する全く同じ会話、しかし全く異なる親子模様……。
プロフィール
安田真奈 (脚本・監督):映画監督・脚本家。2006年、上野樹里×沢田研二の電器屋親子映画「幸福(しあわせ)のスイッチ」監督・脚本で劇場デビュー。同年末に出産後は脚本業中心となったが、2017年より監督業復帰。堀田真由主演「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」、小芝風花主演「TUNAガール」の監督・脚本をつとめた。 公式サイト
河崎公一,下松谷嘉音,森琴樺,内藤大帆,佐野亮華,成瀬千尋,長三伊乃,歳内王太,荒木隆一 ほか
脚本・監督:安田真奈
プロデューサー:山本祥生 撮影:武村敏弘 j.s.c 照明:古川昌輝 音楽:原夕輝
録音:小出佳史 助監督:柳裕章 メイク・スタイリスト:谷山伸子 美術:山中昭子
宣伝・予告編編集・WEBサイト:三島彩香 編集:藤沢和貴 ミキサー:岩田修一
制作:船津春菜 製作:株式会社パラサング