獣の交わり　天使とやる

黒木伊作が五年ぶりに故郷に帰ってきた。彼には一つの目的があった。二宮果穂への謝罪――彼は五年前、果穂の弟を殴り、植物状態にしたのである。また彼には不思議な声が聞こえていた。「会いなさい、会って癒しなさい」。伊作はその声がイエス・キリストのものと聞こえていた。クリスチャンの果穂はそんな伊作に不思議な縁を感じる。謎の声に導かれて帰郷した伊作だったが、その前に立ちふさがったのは、伊作に恨みを持つやくざ、秀樹（吉岡睦雄）だった――。

タイトルロールの黒木伊作を演じるのは、『THE OSHIMA GANG』(葉山陽一郎監督）やベネチア映画祭で話題をさらった『Inju』（バーベッド・シュローダー監督）の新鋭・尾関伸嗣。ヒロインの果穂を独特の存在感で演じる吉沢美憂はこれがデビュー作。
ほかにゴキブリコンビナートやポツドールといった舞台で活躍する古澤裕介、いまおか組常連の吉岡睦雄、松原正隆、川瀬陽太、伊藤清美らが脇を固めている。またウィーン大学東アジア研究所准教授のローランド・ドメーニグが重要な役で出演。『おじさん天国』（脚本）の鬼才・守屋文雄も巧みな演技を披露している。