特集:「WE ARE THE PINK SCHOOL!日本性愛映画史1965-2008」
大蔵ヌーヴェルバーグ/00年代ニューウェーヴ
34 姉妹どんぶり 抜かずに中で (吉行由実)………… 島田 慎一
35 飯場で感じる女の性(荒木太郎)
36 悩殺天使 吸い尽くして(国沢実)………………… 島田 慎一
37 味見したい人妻たち(城定秀夫)…………………… 島田 慎一
38 痴漢電車 びんかん指先案内人(加藤義一)……… 特別寄稿
出演:サーモン鮭山(中村公彦)
39 悩殺若女将 色っぽい腰つき(竹洞哲也)………… 特別寄稿 脚本:小松公典

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加藤義一監督インタビュー<

2月28日(土)より3月20日(金)まで、
シアターイメージフォーラムにて開催!

3月7日(土)、10日(火)、11日(水)、13日(金)

姉妹どんぶり 抜かずに中で ( 1997年/大蔵映画/60分 )

監督:吉行由実 脚本:五代暁子 出演:貴奈子、畠山たくみ、石川雄也、神無月蘭

の作品に出会った頃は、監督・吉行由実の実力を見くびっていた。男性向けのセックス産業のまっ只中で、女流監督が女性の共感を謳ったピンク映画を作ったという出来事ばかりが物珍しかったのだ。しかし、とにかく主役を張りたいはずの現役の女優でもある彼女が、監督二作目の本作で、早くも自分自身を脇役に回す覚悟を決めた姿勢の厳しさにこそ、卓越した才能の顕れを感じ取るべきだったのではないか。以後、吉行の作品は、繊細でハートウォームなアプローチと、自分自身と自分の作品、ピンク映画の製作状況に対する冷ややかな客観性を併せ持ちながら、着実な進化を遂げていく。エリック・ロメール作品の軽やかな饒舌を借用して、若い女性の揺れ動く心をとらえた本作。吉行自身の内面を代弁する女優、貴奈子が直面した、男女間の友情の問題はせつない結末を迎えるが、彼女の逡巡を見守る演出は、女流監督ならではのやさしさとみずみずしさに充ちている。あまりにも理想化された男性像にくすぐったさを感じる男性観客も、躍動的な手持ち撮影と鮮やかな色彩の配置が作り出す、初期作品ならではの幸福感に魅了されるはず。

( 島田 慎一 )

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3月8日(日)、9日(月)、10日(火)、12日(木)

飯場で感じる女の性 ( 2000年/大蔵映画/60分 )

監督:荒木太郎 脚本:内藤忠司 出演:鈴木あや、林由美香、久須美欽一、時任歩

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3月9日(月)、11日(水)、12日(木)、13日(金)

悩殺天使 吸い尽くして ( 2003年/大蔵映画/60分 )

監督:国沢実 脚本:樫原辰郎 出演:橘瑠璃、宮沢けい、麻木涼子、久保隆

60年代後半に登場した初期特撮ヒーローものが今も特権的な力強さを感じさせるのは、前例のないドラマ作りを前にした作り手が、子どもの頃の不安や恐怖を直接参照せざるを得なかったからだろう。そんな「あの頃」の少年向け文化の初期衝動にマニアックな思い入れを持つ樫原辰郎が投げかけた脚本は、攻撃的なリビドーの発露と裏返しの女性嫌悪に彩られた国沢実演出とダイレクトに共鳴し、「男の子世界」全開の性超能力者 [セスパー] バトル・ムーヴィーに結実した。グラマラスな肉体と母性を兼ね備えたヒロイン・橘瑠璃と、去勢恐怖を伴う悪の枢軸・宮沢けいの原色の肉弾対決は、まるで「あの頃」のような男の子的興奮を煽ってやまないだろう。お約束のからみシーンも無駄に見せない、手の込んだ絵作りからは、国沢、樫原に長谷川卓也(撮影)、城定秀夫(助監督)というメンツが揃った現場の活気が伝わってくる。ピンク映画には珍しいアクションものとしての見どころは、躊躇なくヒロインを追い詰める冒頭の荒々しいレイプシーン。悪の手下、麻木涼子の空手アクション。そして、撮影・照明・現像効果を駆使した、ピンク映画流特撮の数々。

( 島田 慎一 )

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3月7日(土)、8日(日)、9日(月)、11日(水)

味見したい人妻たち ( 2003年/Xces Film/60分 )

監督・脚本:城定秀夫 出演:Kaori、橘瑠璃、白土勝功、サーモン鮭山

在もOVや劇場公開作で傑作を連打している、城定秀夫監督27歳のデビュー作。精巧な脚本と新人離れした演出力がもたらした鮮烈な衝撃は、ピンクファンの枠を越えて、映画マニアの語り草になった。レースのカーテン越しの淡い光があふれる部屋のなかで繰りひろげられる、元美術教師の人妻と高校生の禁断のポルノグラフィ。退廃的な設定とは裏腹に、ヒロインのつぶやきやサイレント映画ふうの字幕の挿入、ノスタルジックな音楽の多用が、軽妙な詩情を醸しだす。ヒロインが痴情の果てに、恋人時代の夫との幸せな過去を幻視する場面に漂う映画的香気には、ただ涙するばかり。未ソフト化、未配信の傑作を、スクリーンで体感する機会をぜひお見逃しなく! ところで、ふわりとしたムードが魅力的な本作のヒロイン、KaoRiさんが、『TOKYO!』(08)のレオス・カラックスのパートに出演した際に、カラックスは参考資料として本作を観て、とても気に入ったと彼女に告げたのだそうだ。この小さな名品が、ピンク映画が二千本近くも作れてしまう(計算間違ってないよね?)製作費を蕩尽した『ポンヌフの恋人』の監督をも魅了したというのは、なんとも痛快な話です。

( 島田 慎一 )

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2月28日(土)、3月1日(日)、3日(火)

痴漢電車 びんかん指先案内人 ( 2007年/大蔵映画/60分 )

監督:加藤義一 脚本:城定秀夫 出演:荒川美姫、なかみつせいじ、佐々木基子、華沢レモン

ロ子とヒロシ」
台本を一読して、これはインターネット時代の人間関係についての物語だと感じました。
都会(=ネット)の中で、同じ電車(=サイト)に居合わせた二人が痴漢(=チャット)に夢中になり、ついつい習慣になっていく構図。ヒロ子・ヒロシのカタカナ表記はハンドルネームを連想させるし、モノローグはブログに書かれた日記みたい。乗車(=ログイン)しなくなると関係があっさり途切れてしまうあたりも。
僕自身、日常生活に疲れた時にネット上で見知らぬ人とのやり取りによって救われたことがあります。点と点の付き合いに見えても、人は互いの温もりを感じ合うことができるんですね。だけどそういう相手ってどこまで踏み込んでいいのか難しい。嫌われたくないからオフ会にも誘えない、みたいな(笑) 痴漢をメタファーにして今のリアルな感覚を描いた点に強く惹かれましたね。
城定氏が監督していたらもっと端正な映画になっていたかも。でも僕は加藤監督の演出を支持します。二人が蟻地獄に堕ちていく様を漫画チックに描く一方で、走る電車の実景は無機質に、後半は一転して繊細なタッチで撮っている。各シーンの温度差が、人と人とが寄り添うことの微かな温もりを際立たせる効果を産んでいます。ヒロ子がシーツを干すだけの何でもないシーンで僕は泣きました。

特別寄稿 出演:サーモン鮭山(中村公彦)

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3月14日(土)、16日(月)、18日(水)、19日(木)

悩殺若女将 色っぽい腰つき ( 2006年/大蔵映画/60分 )

監督:竹洞哲也 脚本:小松公典 出演:吉沢明歩、青山えりな、倖田李梨、なかみつせいじ、松浦祐也

の映画、うどん屋が舞台なんは『うどん屋』と『マドンナ』の語感が、イヤンゴカーンと似てるから。嘘だけど。話が閃いたきっかけは、小学生の頃に流行った『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』の替え歌、『港の横町、一丁目のうどん屋』ってのを思い出して…嘘だけど。主役の花子のキャラは、ミス花子がモデルで…嘘。セリフの大半は『餓鬼魂』から…嘘。主題歌は当初『野方一丁目・クソババア・FUCKOFF』を…嘘。と、俺の人生ばりに嘘を並べたけど、観て損はさせんのはホント。損したらトゥギャザーする感じで土下座するよ。松浦がね。

特別寄稿 脚本:小松公典

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加藤義一監督インタビュー

チケット

  • 前売り券: 1,200円【劇場窓口、チケットぴあ [Pコード:460-542]】
  • 当日料金:一般 1,400円/シニア・会員 1,000円
  • リピーター割引あり(チケットの半券提示で一般料金より200円引き)
  • 整理券制/各回定員入替制
http://pinkschool.cocolog-nifty.com/

2月28日(土)より3月20日(金)まで、
シアターイメージフォーラムにて開催!

2009/02/28/06:20 | トラックバック (0)
「大蔵ヌーヴェルバーグ」 ,島田慎一
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