『中国映画の全貌2010』 開催!
1,石子順さん:映画評論家 ・テーマ「これからの中国映画」
7月24日(土)12:27~12:57(予定)/『シャングリラ』上映終了後
2,佐藤忠男さん:映画評論家
・テーマ「第五世代以降の中国映画」
8月8日(日)15:06~15:36(予定)/『變へんめん臉 この櫂に手をそえて』上映終了後
・テーマ「中国映画のドキュメンタリー制作の状況」
8月11日(水)20:17~20:47(予定)/『長江に生きる 秉愛の物語』上映終了後
2010年7月24日(土)~8月27日(金)まで、
新宿K’s cinemaにて開催!
中国映画の全貌2010 開催にあたって
中国は歴史の国である。長江流域に紀元前5000年~6000年のものと推定される、黄河文明以前の遺跡が近年の発掘調査により発見された。この長江文明は文明の時期としては紀元前14000年~紀元前1000年の範囲に入るそうだ。教科書で習った四大文明も書き換えられる大発見である。秦が初めて
開催記念上映|新作二作の作品紹介
『北京の自転車』 監督・脚本:ワン・シャオシュアイ(王小帥)
出演:グイ:ツイ・リン(崔林),ジェン:リー・ピン(李濱),チン:ジョウ・シュン(周迅),ダー・ホアン:リー・シュアン(李爽),
シャオ:カオ・ユアンユアン(高圓圓)
2000/中国・台湾/ヴィスタ(1:1.85)/ドルビーSR/113分
原題:十七歳的単車/英題:Beijing Bicycle 提供:ワコー 配給:ワコー/グアパ・グアポ
解説: 1978年改革開放政策を打ち出し市場経済に移行した中国。天安門事件を経て、1992年鄧小平の南巡講和以後、中国の経済成長は急激に加速した。それにしたがって都市は変貌する。北京では、胡同にある四方を囲まれた伝統的な建物・四合院が壊され、近代的なビルが次々と建設された。街は豊かさを求める出稼ぎ労働者であふれ、都市部と農村の貧富の格差が社会問題として、日本でも大きく報じられた。映画『北京の自転車』の舞台は、まさしくその時代の北京。監督の王小帥(ワン・シャオシュアイ)は、いわゆる第6世代の旗手である。80年代初期一斉に作品を発表した張芸謀(チャン・イーモウ)、陳凱歌(チェン・カイコー)ら第5世代は、圧倒的な映像の力で旧社会体制を批判的に描き世界的に注目された。その後、映画界も市場経済の波に巻き込まれ、撮影所は独立採算制になり、売れる作品を作らなければならなくなり、若手の監督が映画を撮る機会が、極端に減ってしまった。そこで、60年代、70年代生まれの第6世代は、自主制作映画を撮り始める。張元(チャン・ユアン)の『北京バスターズ』、王小帥『冬春的日子』、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)『一瞬の夢』がその代表作である。王小帥は『ルアンの歌』の後、本作『北京の自転車』を台湾の評論家ペギー・チャオのプロデュースで制作、2001年ベルリン国際映画祭で銀熊賞・審査員グランプリおよび新人男優賞を受賞、一躍世界に名を知られるようになった。2005年の『上海ドリーム』はカンヌ国際映画祭審査員賞受賞、2008年『左右』(日本未公開)はベルリン国際映画祭脚本賞を受賞している。
物語:
村から北京に出稼ぎに来た17歳の少年グイは、自転車宅配便の職を得る。真新しい自転車と制服に身を包んだグイを、路地裏で小さな食品店を経営している同郷の先輩も祝福してくれた。その自転車は、稼ぎが一定の金額を超えると自分のものになるシステムだった。グイは一生懸命働き、その日を夢見て配達の回数を手帳につけていた。そしてついに、これが終われば自転車を手に入れることができる最後の配達に向かう。しかし、荷物を受け取り表に出たグイは目を疑った。駐輪していた場所から自転車が消えていたのだ。血眼になって北京の街を探し回るグイ。
ジェンは17歳の高校生。友達の間では自転車の曲乗りが流行っていた。ただ1人自転車を持たないジェンは、親に隠れて中古自転車を買い、建設中のビルで仲間と曲乗りの練習に明け暮れる。自転車のチェーンがはずれていたところを助けたのがきっかけで、同級生との交際も始まった。その中古自転車のおかげですべてが順風満帆に思えた。
グイはようやく自分の自転車を見つける。それはジェンが買った中古の自転車だった。きちんと店で買ったのだから自分のものだと主張するジェン。もともと自分のものだったと言い張るグイ。ふたりは激しく争い、仲間も加わってグイは打ちのめされるが、決してあきらめない。最終的にふたりが出した結論は、毎日交互に自転車を使うというものだった。数日経ったある日、ジェンは不良少年とけんかになる。自転車を受け取りに来たグイはそのけんかに巻き込まれてしまい、ふたりは必死に逃げるが…。
ワン・シャオシュアイ監督インタビュー
――タイトルの“北京”と“自転車”の関係は何ですか? またタイトルは中国の社会的価値と生活様式の変化を言及しているのですか?
自転車は常に北京、そして中国の象徴です。長い間、自転車は家族の移動手段というだけのものでした。文化大革命以前、家族の成功の基準は、時計、ミシン、ラジオ、自転車の、いわゆる“四種の神器”でした。実際これらを所有することを最終目標とする家族がいても、今ではそれはお笑い草になるでしょう。自転車はその栄光のほとんどを失ってしまいましたが、今も重要な移動手段です。それは、何かを誰もが熱望するということから発展し、まだ必要としているけれど取り替えたがる。ミシンやラジオと違って、それは次第に前へ進むことへの失敗を意味するようになりました。この映画でのグイは、自転車に乗っている誰かである。それは発展と推移の象徴です。ジェンは、両親がまだ自転車に対する畏敬の念を持つ家庭の出身なのです。自転車を購入するというのは家族の重大な決断なので、ジェンの自転車に対する愛は、実際的な必要性を超えています。彼の自転車を所有するか諦めるかという願望はプライドによって動かされます。これは変化と発達の徴候なのです。
――グイとジェンには、階級や地方出身と都会出身といった事実などの明らかな違いがあるがありますが、なぜですか?
中国では都会と地方の違いはとても大きいため、地方の人々は都市生活の富と魅惑に思い焦がれ、打ちのめされることが多いのです。グイはそんな人々の一人。お金と物への追求は彼の唯一のやる気なのです。それゆえ、自転車は彼の生活のための手段だけでなく、彼の都市生活の肯定でもある。それを奪うことは彼が都市に住む権利を奪うことを意味しています。ジェンは新しい世代の一員。彼は裕福ではないけれど、都市に住んでいる点は重要です。彼は反抗しますが、まだとても弱く、その意義のほとんどを失った伝統的価値であるレンガのひとつで彼自身を証明することしかできません。自転車の機能的な役割はその能力と威厳に取って替わられました。彼は移動手段やグイのように生きるためではなく、楽しみのために自転車が欲しい。これは今日の中国の経験のひとつであるのです。
――映画の中での北京はずいぶん興味深く、明らかに移り変わっている街として描かれています。伝統的な中庭と屋上、西洋化されたマンションと近隣のお店、巨大な超高層ビルと曲がりくねった北京の路地が随所に出てきますね。
北京には対照的なイメージがあります。自転車、路地、中庭、日光浴をする老人、やる気のある若者、典型的な北京の街に住む都市の人々、街に思い焦がれる田舎の人々。それぞれ反対で混沌としたイメージは、今日の中国について何が興味深いかを象徴しています。
――映画で北京の路地を使用したのは素晴らしいと思います。撮影で苦労した点や、面白かった点はありますか?
北京の路地はだんだん少なくなっています。最初私はどこでも撮影できるだろうと思っていましたが、実際に街を見ると、可能性はとても限られていることに気が付きました。撮影の間、ただひとつのシーンを終わらせるために全てのクルーはしばしばロケ地から別のロケ地へ移動しなければなりませんでした。追跡のシーンでは、私たちはロケを繰り返すことができなかったのです。何故なら私が常に別のアングルを使いたかったからです。私たちはこの点に多くの努力を注ぐことで撮影を終えました。また住居と通りの構造を熟知しなければなりませんでした。今回私は伝統的な北京の路地は消滅しているということに気付くという経験をしました。私は、人々がより良い生活状況の権利があることを感じながら、消滅するものへの悲嘆で心を引き裂かれました。
私たちが見つけた屋上は素晴らしかった。俳優たちはその上を素足で歩くことができ、若い俳優たちが古い建物の屋根を歩くことには特別な感情がありました。
2010年7月24日(土)~8月27日(金)まで、
新宿K’s cinemaにて開催!
http://www.ks-cinema.com/movie/china_2010.html
『シャングリラ』 監督・脚本:ティン・ナイチョン(丁乃筝)
プロデューサー:ローラ(羅拉) 主演:チュウ・チーイン(朱芷瑩),ウー・チョンティエン(呉中天)
2008/中国・台湾/107分 原題:這几是香格里拉/英題:Finding Shangri-La 提供:フォーカスピクチャーズ
解説: 女性プロデューサー・ローラが企画した、10人の70年代生まれの中国、台湾、香港の女性監督が雲南を舞台に映画を撮るシリーズ“雲南影響”の中の一本。邦題『シャングリラ』は、1933年イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンが「失われた地平線」で描いた架空の理想郷のことで、一般的に理想郷をシャングリラとも言う。2001年雲南省チベット族自治州中甸県が香格里拉(シャングリラ)県に改称し、シャングリラは実在の県となった。この付近は中国一の大渓谷地帯で、雪山、氷河、多くの湖、森林とあらゆる美しい自然がある。二度の来日公演が大盛況だった、雲南ペー族出身の中国の国宝と称される舞踊家ヤン・リーピン(楊麗萍)が創作した舞台のタイトルも「シャングリラ」である。映画『シャングリラ』の監督ティン・ナイチョンは、台湾の舞台を中心に活躍する演出家。最近はF4のケン・チュウ初舞台作品「他和他的両個老婆(彼と彼のふたりの花嫁)」を演出、台湾と中国で2009年から2010年にかけて公演している。スタン・ライ(頼聲川)監督、ブリジット・リン(林青霞)主演の台湾映画『暗戀桃花源』には春花役で出演。スタン・ライ監督夫人で本作が映画監督デビューとなる。主演のチュウ・チーインはヴェネチア国際映画祭グランプリを受賞した、アン・リー監督作品『ラスト、コーション』の主人公を劇団に勧誘する大学の同級生・頼秀清役を好演した。本作は第32回カイロ映画祭撮影特別賞受賞。2009年NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映された際は、好評を博してアンコール上映作品にも選出された。
物語: 幼い息子の突然の交通事故死を受け入れられず、悲しみにくれるジー・リン。事故の加害者との裁判も進展せず、自分の悲しみを理解してくれない夫との仲もこじれている。そんなある日、生前、息子が宝探しゲームのヒントに描いた雲南省チベット族自治州にある梅里雪山の絵を見つける。衝動的にジー・リンは、その絵の場所・梅里雪山がある雲南省チベット族自治州に向かう。そんな彼女をずっと尾行している若い男がいた…。その旅の途中、彼女はいろいろな人と出会う。その素朴な人々との出会い、そして小さな恋、雄大で美しい景観はジー・リンの心を癒したのだろうか…。
●開催記念新作上映
1 『北京の自転車』(初公開) 2 『シャングリラ』(初公開)
●経済急成長の波ゆらり
3 『女人本色』(初公開) 4 『上海家族』 5 『榕樹の丘へ』
6 『ようこそ、羊さま。』 7 『長江に生きる 秉愛の物語』
●胡同に生きてこそ
8 『胡同の理髪師』 9 『胡同愛歌』 10 『ドキュメンタリー胡同の理髪師』(初公開)
11 『ドキュメンタリー胡同の精神病院』(初公開) 12 『ドキュメンタリー胡同のモツ鍋店』(初公開)
●中国少数民族の魂
13 『雲南の少女 ルオマの初恋』(日本最終上映) 14 『白い馬の季節』 15 『草原の女』
16 『チベットの女 イシの生涯』 17 『トゥヤーの結婚』 18 『雲南の花嫁』 19 『狩り場の掟』
●ジャ・ジャンクーの映画世界
20 『一瞬の夢』 21 『プラットホーム』 22 『青の稲妻』
23 『世界』 24 『長江哀歌』 25 『四川のうた』
●中国的文芸作品
26 『阿Q正伝』 27 『駱駝の祥子』
●古典となった傑作たち
28 『紅いコーリャン』 29 『古井戸』 30 『芙蓉鎮』 31 『子供たちの王様』
32 『菊チュイトウ豆』 33 『青い凧』 34 『双旗鎮刀客』
●8月15日戦争忘れまじ
35『蟻の兵隊』 36『鬼が来た!』 37『靖国 YASUKUNI』 38『乳泉村の子』 39『北京の恋-四郎探母-』
●4000年の歴史の国
40 『テラコッタ・ウォリア‐秦俑』 41 『項羽と劉邦-その愛と興亡』(日本最終上映)
42 『阿片戦争』 43 『戦場のレクイエム』 44 『孫文-100年先を見た男-』
45 『ニーハオ 鄧小平』 46 『孔家の人々』 47 『敦煌』
●伝統芸能に生きる
48 『花の生涯-梅蘭芳』 49 『さらば、わが愛/覇王別姫』
50 『變へんめん臉 この櫂に手をそえて』 51 『心の香り』
●子供たちの心
52 『思い出の夏』(日本最終上映) 53 『延安の娘』
●いつの時代も愛は
54 『愛にかける橋』 55 『パティシエの恋』 56 『1978年、冬。』 57 『ルアンの歌』
●永遠のレスリー・チャン
58 『ぼくらはいつも恋してる!金枝玉葉2』 59 『追憶の上海』 60 『白髪魔女伝/キラー・ウルフ』
2010年7月24日(土)~8月27日(金)まで、
新宿K’s cinemaにて開催!
- 監督:リー・チーシアン
- 出演:ウェイ・チーリン, チョン・タイション, リウ・シーカイ
- 発売日:2004-10-22
- おすすめ度:
- Amazon で詳細を見る
- 監督:ジャ・ジャンクー(賈 樟柯)
- 出演:ジョアン・チェン(陳 冲), リュイ・リーピン(呂 麗萍):チャオ・タオ(趙 涛):チェン・ジェンビン(陳 建斌)
- 発売日: 2010-02-05
- おすすめ度:
- Amazon で詳細を見る
主なキャスト / スタッフ
特集上映情報総合トップページ
- 各シアター情報トップページ
- | ラピュタ阿佐ヶ谷
- | 新文芸坐
- | シネマヴェーラ
- | アテネ・フランセ文化センター
- | 国立映画アーカイブ(元フィルムセンター)
- | 神保町シアター
- | 池袋シネマ・ロサ
- | 上映情報 PickUp
TRACKBACK URL: