朝倉加葉子監督/『クソすばらしいこの世界』

朝倉 加葉子 (監督)
映画『クソすばらしいこの世界』について

公式

2013年6月8日(土)より、ポレポレ東中野にて3週間限定レイトショー!
6月8日(土)21:00~初日舞台挨拶、
6月8日(土)は『息もできない』『ムカデ人間』『クソすばらしいこの世界』のオールナイト上映&トークショーも開催

突如として現れる殺人鬼が残忍な手法で人を殺しまくるスラッシャー・ムービー。パターンはシンプルだが、土地の広さや空気感、宗教観もその世界を支える重要な要素となり、アメリカや西洋以外では成立しにくいジャンルと言える。そこに日本映画ならではの傑作が誕生した。新鋭・朝倉加葉子監督がアメリカで撮った『クソすばらしいこの世界』は、スラッシャー・ムービーの伝統を守りながら、異文化の中でも小さい輪から出ようとしない日本人留学生グループが、キム・コッビ演じる韓国人留学生を邪気なく苦しめるさまを織り込んで、うすら寒く何重もの閉塞感を持つものとなった。もうひとつ、インタビュー本文からは省いてしまったサプライズな仕掛けがあり、「女の子“が”バサバサ殺す」ことがやりたかったという監督の狙いが意外な形で現れるのに劇場でぜひ唸ってほしい。アイディア豊かに「ワクワクする映画」を撮りデビューを飾った朝倉監督に、アメリカでの撮影の新鮮な体験やホラー映画の魅力を語っていただいた。(取材:深谷直子)

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朝倉加葉子監督2――この映画も時期的には春休みの設定ですか?

朝倉 はい、春の設定です。撮影自体もちょうど1年前の2012年3月・4月で撮りました。

――季節感に関しては、ちょっと不思議な印象を受けました。最初は春だなと思うんですよね、プールを見つけてはしゃいだりするので。でもそれがだんだん物語が進んでいくと、夜になると寒くなって上着を着込んで、夜明けには雪が降っているという。

朝倉 (笑)。

――あの雪がちょっと信じられなかったんですけど、降る時期でもないですよね?

朝倉 ええ、全然降る時期ではなかったんですが、あの撮影場所がロサンゼルスの市内から車で2時間ぐらいの結構な郊外で、標高1000メートルぐらいの山なんですよ。体感としては諏訪湖みたいで、空気も澄んでて。春設定だったので夜は上着を軽く羽織る感じで衣裳を用意していたのですが、いざ夜の撮影になると予想以上に寒くて。いちばん薄着の設定の女優さんには「これはダメだ、死なせちゃう」と私の上着を着てもらったりしました(苦笑)。不便な場所なので、衣装をすぐに追加もできなくて。

――それは大変だったと思いますが、心象風景を映すようですごい効果ですよね。狙っているわけではないのに奇跡的ですね。

朝倉 あの日はラスト数シーンの撮影日で、かつ撮影日程自体も最後の日でもう後日にもずらせないという状況だったんですが、前日の予報で雨になってしまったので、元々外で撮るはずだった箇所を倉庫でのシーンに書き直したんです。でもいざ当日になったら嵐で照明が焚けなくてそこも使えなくなって。そうこうしている間に雪が降ってきちゃったので、「もう、じゃあカメラはこっち!」と外に向けちゃって、雪を撮っちゃいました(笑)。

――臨機応変な現場だったんですね。撮影日数はどれぐらいだったんですか?

朝倉 14.5日で撮っています。日本と違ってアメリカだと前日の撮影から次の日の撮影まで12時間空けなければいけないんですよ。

――そういう契約があるんですか?

朝倉 ユニオンに入っているスタッフでやる製作体制だとそういう契約ですし、非ユニオンでも業界の慣習としてやはりそういうシステムで、撮影時間が延びると残業代が発生します。だから必然的に撮影時間も12時間以内になって、7時~19時でやって休んで、また7時~19時でやって、みたいな感じになるので、いわゆる日本での「撮影14日間」とは全然量が違うんですよ。

――そうですね、半分になってしまう感覚ですね。

『クソすばらしいこの世界』場面1 『クソすばらしいこの世界』場面2朝倉 しかも集合から解散までが12時間なので、準備や撤収を考えると実質の撮影時間はもっと短くなるんです。でも日数をかけて撮れるように、例えば機材費とかは日本よりずっと安かったりするようです。

――スタッフはどうやって集められたんですか?

朝倉 基本的に日本からは私しか行ってないです。撮影監督だけは私が今まで自主映画で一緒にやっていた人がたまたま彼自身の都合でロサンゼルスにいたので、そのまま滞在を延長してもらって一緒にやりましたが、あとははじめての人ばかりで、向こうに住んでいる日本人とアメリカ人に集まってもらってチームを組みました。

――アメリカで慣れない人と撮るのは大変だったのではないかと思いますが。

朝倉 まず私がペーペーで不慣れなのがいちばん大変だったんですが(笑)。でもアメリカで映画を勉強し働いてきた日本人スタッフが結構集まってくれて、そこにアメリカ人スタッフと日本で働いてきた私と撮影監督が混じって、現場の雰囲気も日本ではないけどアメリカン・スタイル100%というわけでもない、日本ノリとアメリカノリが混じってて面白かったです。アメリカって現場がすごい静かなんですよ。走ったり大声を出すのは仕事ができない証だという風潮らしくて。

――そうなんですか。日本だと怒号が飛び交うような現場が思い浮かびますよね。

朝倉 でもそんな中「準備OK!」とか大声をかけ合う日本ノリが流行って、日本人もアメリカ人もカットがかかったら大声出してガッツポーズする、みたいな感じになって楽しかったです。

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クソすばらしいこの世界 2013年/日本映画/78分/カラー
監督:朝倉加葉子 出演:キム・コッビ、大畠奈菜子、北村昭博、しじみ
製作:キングレコード 制作:ブースタープロジェクト ©2013 KINGRECORDS
協力:ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、ツユキ紙工株式会社
公式
6月8日(土)21:00~初日舞台挨拶、
6月8日(土)は『息もできない』『ムカデ人間』『クソすばらしいこの世界』をオールナイト上映
23:30からのトークショーでは 朝倉加葉子監督、山口幸彦(プロデューサー)、入江悠 (映画監督)を交えてのトークショーも開催

2013年6月8日(土)より、ポレポレ東中野にて3週間限定レイトショー!

2013/06/08/06:07 | トラックバック (0)
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