インタビュー
吉倉あおい/『ゆるせない、逢いたい』

吉倉 あおい (女優)
映画『ゆるせない、逢いたい』について

公式

2013年11月16日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館 にて全国ロードショー

10代の男女の生まれたばかりの恋愛が、ふとしたすれ違いから“デートレイプ”という忌まわしい事件を招いて引き裂かれる。新鋭・金井純一監督の『ゆるせない、逢いたい』は、タイトルのとおりその被害者の少女の葛藤を描いていく作品であり、また日本では法律上できない被害者と加害者の「対話」への取り組みについて描こうということから発した作品ではあるが、感傷的な悲恋の物語でも、あまり語られないデリケートな事件そのものを取り上げる社会派映画でもなく、揺れ動く感情の綾と人と人とが向き合う姿をじっくりと追う、繊細で強靭なドラマとなった。混乱する心を抱えながら、自分を傷付けた男性への想いや娘を守ろうとする本能の塊のような母親とまっすぐ向き合うヒロインを演じたのは吉倉あおいさん。雑誌モデルや新進女優としてすでに同世代から高い人気を得ている吉倉さんにとって本作が初主演映画となるが、切望していた困難に立ち向かう女性の役を得て、完全にはつ実に同化し演じ切った見事な女優魂はお話からも感じられた。撮影時は役と同じ17歳ながら愛情の豊かさと毅然とした意志の強さを備えた吉倉さんの人間的魅力も映し出す本作を、ぜひスクリーンでご覧になってほしい。(取材:深谷直子
吉倉 あおい 1994年生まれ、神奈川県出身。2010年より「mina」専属モデルとして活動。2012年、連続ドラマ「大奥」、「悪夢ちゃん」に出演。2013年は『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』(御法川修監督)、『スクールガール・コンプレックス~放送部篇~』(小沼雄一監督)などの映画のほか、「心療中~in the Room~」(NTV)、「ガリレオ」(CX)、「ぴんとこな」(TBS)に出演する。本作が初主演映画となる。
吉倉あおい――『ゆるせない、逢いたい』は10代が主人公の恋愛映画ですが、そこにとどまらずいろいろなことを考えさせられる作品でした。何よりも吉倉さんの感情が迸るような演技が素晴らしくて驚きました。吉倉さんは雑誌のモデルやテレビドラマなどで活躍されていますが、映画の主演は初めてですよね。ご自分でもよい作品に出会えたなと感じていらっしゃると思うんですが、お話はどのようにいただいたんですか?

吉倉 マネージャーから突然「これ読んでおいて」と台本を渡されて、“はつ実役”と書かれていたので、それを自分の役として読んでいったら「……あれ?はつ実って主人公じゃない?」って。読み終わってから「これはどういうことですか?」と訊いたら「これが今あおいちゃんに来ているお話だから」と言われて。私のマネージャーは大事なことをサラッと言う方針なんです。主演映画だということは台本を読んでから知った話だったので、あまり実感はなかったですね。

――そんなにあっさりしたものだったんですか。はつ実はデートレイプの被害者の役で、演じるのが難しい役柄だったと思います。抜擢されて台本は主演という先入観なしに読んだとのことですが、まずどんなことを感じましたか?

吉倉 ストーリーにもすごく感動して涙が出てきたんですけど、漠然とその頃、傷付いた女の子が立ち直るまでを力強く演じてみたいとものすごく思っていたので、「まさかこのタイミングで、こんな形で演じることができるなんて」という感動もあって、その両方で涙が出ましたね。

――あ、元々そういう役を演じたいという思いがあったんですか。

吉倉 現実でも起こるような問題を取り扱っている作品でしたし、そういう問題を知ってほしいというメッセージが込められた作品はすごくチャレンジしてみたいものだったので。私のことを応援してくださるお客様も大切ですが、普通に映画を観ようと思って観てくださる、厳しい目を持ち、純粋にいろいろなことを感じ取ってくれるお客様にリアルを感じてもらうことが女優としての見せどころと思っていて。伝えるのに力が必要な役柄になるだろうと思いましたが、壁があったとしてもこのお話が私のもとにいただけたというのは、その壁が私にしか乗り越えられないものだからだろうし、きっと私にはできるから自信を持ってやりたいなと思いました。

――ちょうど女優としての飛躍を考えている時期だったんですね。何か「壁を乗り越えたい」という気持ちになるきっかけのようなことがあったんですか?

『ゆるせない、逢いたい』吉倉 そうですね、それまでの間にも逃げ出したいこととか打ち当たったりすることというのはあったんですけど、そのたびに逃げてみたり向き合ったりというのをいろいろ経験してみて、やっぱり逃げたことに関してはまた別の形で自分の中で壁になるっていうのを実感しましたし、自分が壁を乗り越えたときには「あ、なんだ、乗り越えられたんだ」って自分の可能性が広がるのを感じて。いろんな問題に出会っても、それは私だからこそ起こることであり、乗り越えられる問題だからこそ起こるんだなっていうことを感じていました。いただいた作品、役柄に対しても、どんなに苦しく演じ切れないかもしれないと思うものだとしても、なぜ私にこのお話がいただけたのかというのは、私にしかできない、私だからできるからなんだっていうのをすごく強く感じて。

――挑戦というか、難しい役だからこそ自分のものにして伝えたいと。

吉倉 やはり女性として、身近な……と言っては何ですが、誰にでも起こり得る問題だと思うんです。それを私が女性としていちばんリアルに感じてもらえるように演じたいなと思いました。挑戦ではあったんですけど、やるって決めていたし覚悟もあったので、迷ったり悩んだりというのはなかったですね。

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ゆるせない、逢いたい 2012年/日本/カラー/107分/
監督・脚本・編集:金井純一
出演:吉倉あおい、柳楽優弥、新木優子、原扶貴子、中野圭、ダンカン、朝加真由美
製作:細野義朗 共同プロデューサー:坂本雅司 プロデューサー:加藤伸崇、古賀奏一郎
撮影:清村俊幸  照明:石川欣男 録音:間野 翼 助監督:ジョン ヒジリ
音楽:吉田トオル 主題歌:「ライン」 Salyu 作詞・作曲・編曲:小林武史
制作プロダクション:シネグリーオ 宣伝:ブラウニー デザイン:秋山京子 製作・配給:S・D・P
© S・D・P/2013「ゆるせない、逢いたい」
公式

2013年11月16日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、
新宿武蔵野館 にて全国ロードショー

2013/11/15/18:41 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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