チャン・ゴンジェ監督 × 真利子哲也監督 × 康すおんさんトークショーレポート/『ひと夏のファンタジア』

ひと夏のファンタジア
チャン・ゴンジェ監督 × 真利子哲也監督 × 康すおんさん
トークショーレポート【2/4】(取材:深谷直子)


チャン・ゴンジェ監督チャン・ゴンジェ監督真利子 今回は言葉の問題もあったと思います。チャン監督は日本語が話せないと思うんですけど、映画を作るときに壁とはならなかったのでしょうか?

チャン もちろん言葉の問題は大きかったんですが、現場では有能な通訳さんもいたのでそれは大きな力になりましたし、女優のキム・セビョクさんも元々日本語が少し話せる方でした。それにしても監督として、日本語が分からないという言語の部分は重要な部分、大きな部分ではありました。

真利子 「大きな部分だった」というのは、映画を撮ったあとプラスに働いたということですか?

チャン 出演していただいた岩瀬亮さんとは以前から友達でしたので、普段会話をするときも日本語でもない英語でもない、何だかよく分からない言葉で会話していたんです。そういうこともあって、日本語というのは自分にとっては何を言っているのか分からない言葉ではあるんですけど、聞いていて心地のいい音ではあるんですね。さらに内容は分からないんですけど、分からないがゆえに外国語を聞いていて自分の感覚が研ぎ澄まされるような感じはあります。言葉が分からないために、映画の中で会話をしているシーンでは、内容を読み取るというよりも感情を読み取るということをすごくしたと思います。そういう部分で音として聞きながら感情を読み取るという努力をしたような気がします。

真利子 岩瀬亮さんからお話を伺っていたので、チャン監督との信頼関係がすごくあって映画を撮られていたんだなと思ったんですけど、役者と監督の距離感というのは難しいと思います。岩瀬さんとのやり取りはどのようにされたのでしょうか?

チャン 実際は現場ではそんなにたくさん時間があったわけではないのですが、岩瀬さんとは普段から映画について話をすることが多く、その中でお互いに「どういう俳優さんのどんな演技がよかったね」などと演技についての話をよくしますので、その中で傾向が似ていると思っていました。さらに映画を撮るときに「何をしてはいけない」という感覚が共通していて、同じ目標を持っているような二人なので、それがとても活かされたのではないかなと思います。今回の撮影は友達と遊びに行くように楽しく撮れたという側面もありました。韓国のスタッフはもちろん、岩瀬さんを始め日本のスタッフにも五條を初めて訪れるという人が多かったので、まるでみんなで知らない土地に遊びに行って、一緒に寝泊まりして作るという感覚もありました。もちろん映画の製作ですので緊張感もありましたが、一方で楽しいものでもありました。

真利子 なら国際映画祭でこの作品のメイキングが上映されたのですが、これも素晴らしくて、役者さんが生き生きしていましたし、みんな一緒に作ったんだなと言うのが切り取られているメイキングでした。その中でも特に印象に残っているのは、女優のキム・セビョクさんが「本編を観たくない」と言っていたことです。メイキングを先に観ていたんですが、そのときに号泣していたんですよね。役者さんにとっては撮られたものが結果どうなっているのかは分からないものですが、その中で本当に信頼関係を築いて撮られたことが伝わって、奇跡のような映画だなと僕も思います。

チャン 俳優のみなさんに僕のような監督を信じてもらえてありがたいです(笑)。

真利子 会場に康すおんさんがいらしているので壇上に上がっていただいてお話を伺いたいと思います。

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ひと夏のファンタジア 2014 / DCP / 96 分 / 日本・韓国 / 英題:A Midsummer's Fantasia
監督・脚本:チャン・ゴンジェ プロデューサー:河瀨 直美、 チャン・ゴンジェ
出演:キム・セビョク、岩瀬 亮、イム・ヒョングク、康 すおん
製作:NPO 法人なら国際映画祭実行委員会・MOCUSHURA
配給:「ひと夏のファンタジア」プロジェクト2014-2015 © Nara International Film Festival+MOCUSHURA
公式サイト 公式twitter トレイラー

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