インタビュー
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藤田 直哉 (監督)
公式インタビュー
映画『stay』について

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2021年4月23日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー

映画『stay』は、持ち主のいない古い空き家で共同生活を送っている男女 5 人の元に、退去勧告を言い渡しに派遣されたはずが、なぜかその家で一晩を明かす羽目になってしまう男の姿を通して、「人と共に生きる」とはどういうことなのか、その根源的な意味を寓意的に描き出し、2020 年の SKIPシティ D シネマ国際映画祭短編部門では審査員の満場一致でグランプリを獲得した注目作だ。待望の劇場公開を控える藤田直哉監督の公式インタビューをお届けする。
藤田 直哉(ふじた なおや)1991 年 3 月 22 日生まれ。北海道出身。明治大学法学部卒業。大学時代は日本映画研究者のシェアマン・スザンネに師事し、実験映画を中心に自主制作を始め、岩井俊二の MOVIE ラボにて映像作品を 2 度選出される。2018 年、ユーロライブにて、横濱を舞台にした短編映画『ホンキートンク』を上映。同年、芳泉文化財団助成企画に選出され本作『stay』を制作。
STORY とある村の持ち主のいない古い空き家。ここは誰もが寝泊まりし、出ていくことが可能な場所。ちょうど吉田(山岸健太)が去ろうとしているところに、村の役所から派遣された矢島(山科圭太)が、不法に滞在する 5 人に退去勧告を言い渡しにやってくる。長期滞在しているマキ(石川瑠華)が「前にも何人も来たけど、結局追い出せてないから」と予言したように、矢島は、リーダー格の男・鈴山(菟田高城)のペースに巻き込まれ、立ち退きを説得できないどころか、サエコ(遠藤祐美)の提案でその家で一晩を明かす羽目になり……。
『stay』/菟田高城、山科圭太
――設定はどのように考えていったんですか?

藤田 古民家に出会い、そこから受けた自分たちの印象や、感触を伝えたいという考えから脚本の金子と二人で考えていきました。

―― 「家族」というものに対して模索したいという想いを感じたんですが、家族に関して考えたい理由はあるんでしょうか?

藤田 「家族」という要素は改稿を続けていくごとに、意図せず自然と炙り出てきた要素です。最初は、家族をメインテーマとして作ろうとは考えていなかったんですが、家を描くことを中心に考えを巡らせていくうちに、自然と家族的なテーマがうまれていました。特に今って何が家族のかたちなのかと言われるとわからないし、他人でも家族にもなりえる。家に一緒に住むこと自体が家族なのか、など色々な疑問が浮かんできて、結果的に擬似家族のような人々があの家に住んでいる、という表現になりました。

――冒頭、退去勧告に来た矢島が、挨拶をそこそこにトイレに入り、音が漏れるというエピソードが、何か事実を元にしたエピソードなのかなと思ったのですが、思いついたきっかけはあるのでしょうか?

藤田 今作の家を実際に改修しながら生活している鈴木さんという友人がいまして、改修途中の家をロケーションとして借りたんですけれど、当時、トイレだけが修繕が終わっていて、綺麗な状態になっていました。冒頭に矢島がトイレを借りるというのは、生理的現象によって家に取り込まれちゃっているというのを表現したかったですね。生理的現象によって家に関わることで、論理的に説明できない力が働くのを狙いました。あとは、トイレは鈴山が修繕したという設定ですが、トイレの音が外に漏れるということで、鈴山の不完全さを表現しました。

『stay』場面1/石川瑠華、遠藤祐美、山科圭太、菟田高城、長野こうへい、金子鈴幸_指差す
――キャスティングはどのように決めて行ったのですか?

藤田 一番最初に決めたのがマキ役の石川(瑠華)さんです。石川さんは過去の作品で拝見して、あどけない印象の中にも強い芯をもっているビジュアルだな、と感じました。あとは彼女の声が決め手でした。今作の家の中でしゃべらせてみたいなと考えたのを覚えています。サエコ役の遠藤(祐美)さんは、役のイメージを脚本の金子に相談したときに、彼に紹介してもらいました。どこかで共演か、お会いしていたんだと思います。包容力や母性、品の良い感じが私のイメージにぴったりで起用させて頂きました。矢島のキャラはオーディションを行うまで、正直もやもやしていて、どんなキャラにしたら良いのか自分でもわかっていなかったところがありますね。そのタイミングでオーディションに山科(圭太)さんに来ていただき、演技をしてもらった際に、山科さんが理解して演技したキャラクターが、自分ではわからないなりにも、なぜかはまりました。リーダー・鈴山役の菟田(高城)さんは、オーディションの演技に懸けるパワー・熱意に圧倒されました。普段のキャラクターもですが、演技にも周りを巻き込んでいく力というか、空気を変えられるパワーを感じて、鈴山役にいい意味でマッチしたというところで選ばせていただきました。

――お友達の家を借りたそうですが、映っているものは、どれくらいご本人のもので、どれくらいスタッフが用意したんでしょうか?

藤田 今はもう家のほとんどの部分が綺麗に修繕されたみたいですが、当時は改修の初期段階で土埃もすごくて、キッチンも映画のシーンとは全く別のものでした。キッチンに関してはほぼ美術です。家全体で言うと、骨格はそのままですが、小道具だったり家具だったり、 7 割位が美術です。象徴的なテントがありますが、あのアイディアは実際に住んでいた鈴木さんが「あの家ではプライバシーが保てない」ということで、実際に家の中にテントを立てて生活をしていた時期があったそうで、それをそのまま設定として使いました。

『stay』場面2/石川瑠華、遠藤祐美_台所
――2 日間についての話ですが、順撮りで撮影できたんでしょうか?

藤田 はい、順撮りで撮影しました。主人公の矢島の感情の移り変わりが、演出上難しいとも思っていたので、順撮りにすることで、矢島の移り変わりをちゃんと確認できるなと思ったからです。

――本作で特に注目してもらいたい部分はありますか?

藤田 他者との関係性が希薄な現代人が、旧日本家屋の古民家に住んだ時に何が起こるのか、という疑問から映画制作が始まった作品なので、この家の構造だったり、この家に住む人と人の距離感や、関係性に注目して欲しいですし、観ているご自身が、もし自分がこの家に住んだらどう生活するかを考えて観ていただきたいです。

――読者の方々にメッセージをお願いします。

藤田 この映画は、テーマやそれぞれのキャラクター、伝えたいことなど色々な要素を詰め込みながらも、映画としての余白を十分に作って、制作しました。こういう風に観て欲しい!ということはありません。映画の見方はひとりひとりそれぞれです。映画を観て何かを感じた自分を素直に認めて、生活することはどういうことかを改めて考える存在の映画になれば嬉しいです。

stay ( 2019/日本/カラー/シネマスコープ/DCP/39min )
出演:山科圭太 石川瑠華 菟田高城 遠藤祐美 山岸健太 長野こうへい 金子鈴幸
監督:藤田直哉
プロデューサー:井前裕士郎 脚本:金子鈴幸 撮影:井前隆一朗 照明:中田祐介 録音・整音:坂元就
美術:中村哲太郎 音楽:関口諭 ヘアメイク:石松英恵 スチール:柴崎まどか 助監督:山本英
プロダクションマネージャー:大塚安希 撮影助手:関瑠惟 照明助手:松島翔平 美術助手:清水夏海
美術助手:山田祥子 宣伝デザイン:内田美由紀( NORA DESIGN) 製作:東京芸術大学大学院映像研究科
助成:芳泉文化財団助成作品 配給:アルミード © 東京藝術大学大学院映像研究科
第 17 回 SKIP シティ国際 D シネマ映画祭 短編部門 優秀作品賞
第 20 回 TAMA NEW WAVE ある視点部門 第 15 回大阪アジアン映画祭 協賛企画

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2021年4月23日(金)よりアップリンク渋谷ほかにてロードショー

2021/04/12/19:19 | トラックバック (0)
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