チュス・グティエレス (監督)
映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』について【1/3】
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有楽町スバル座、アップリンク渋谷にて公開中、全国順次公開予定/有楽町スバル座での公開は3月3日(金)まで
スペイン・アンダルシア地方、サクロモンテ。そこにはかつて迫害を受けたロマたちが集い、生きる苦しみを音楽や踊りに昇華して、“洞窟フラメンコ”という稀代の文化を生み出した。本作は、1963年の水害により破壊されてしまったフラメンコ・コミュニティの記憶を伝説的ダンサーらが語るドキュメンタリー。生そのものであったフラメンコを今なお艶やかに踊り演奏する彼らの肉体に魅了される。公開に合わせて来日したチュス・グティエレス監督に、フラメンコへの想いをうかがった。 (取材:深谷直子)
――監督とフラメンコとの出会いを教えてください。
グティエレス監督 初めてフラメンコに触れたのは子供のころのホーム・パーティーでした。私の出身地であるグラナダでは、パーティーをするときにはプロではなくても踊ったり歌ったりするのが普通のことなんです。3歳ぐらいの私がフラメンコの衣装を着ている写真も残っています。フラメンコは文化であり、社交の場に常にあるものでした。
――ご自分でもフラメンコを踊られるのですか?
グティエレス監督 少しだけ。全然上手くはないです。でも今回の撮影を通してフラメンコについてすごく学びました。ご年配である彼らの踊りは激しくはありませんが、微妙な動きの中でもちゃんとリズムを取っているところに感心しました。普通は年配の人が踊るところを見ることはほとんどないですよね。引退してしまうし、フラメンコというのはすごく激しい踊りですが、歳をとると体力もなくなりますから。でも彼らはみんな、死ぬまでアーティストなんです。今までやってきたことをどう別の方法で表現するか、歳をとるにつれての進化を見ることが私にはとても興味深いものでした。
――ダンサーや歌手たちが、まずそれぞれの物語を語ってからパフォーマンスを見せるという構成がとてもよかったと思います。
グティエレス監督 私には、この映画をフラメンコという踊りのドキュメンタリーではなく、コミュニティについてのドキュメンタリーとして作りたいという思いがありました。彼らは語るべき物語を持っており、まずはそうした物語、人生や経験といったものを彼らに語ってほしい、それを人々に見てほしいと思い、そういう構成にしました。また、ドキュメンタリーはフィクションと違って脚本もないですし、撮るのに順番や秩序はありません。この作品は私にとっての初めてのドキュメンタリーでしたので、野生のカンで、撮りながら見つけながら驚きながら、とても自由に撮影ができたと思います。そして、編集する段階で撮り貯めた映像を見ながら映画の方向性ができていきました。
監督:チュス・グティエレス
参加アーティスト:クーロ・アルバイシン、ラ・モナ、ライムンド・エレディア、
ラ・ポロナ、マノレーテ、ペペ・アビチュエラ、マリキージャ、ラ・クキ、
ハイメ・エル・パロン、フアン・アンドレス・マジャ、チョンチ・エレディア他多数
日本語字幕:林かんな 字幕監修:小松原庸子 現地取材協力:高橋英子
2014 年/スペイン語/94 分/カラー/ドキュメンタリー/16:9/ステレオ/原題:Sacromonte: los sabios de la tribu
提供:アップリンク、ピカフィルム 配給:アップリンク 宣伝:アップリンク、ピカフィルム
後援:スペイン大使館、セルバンテス文化センター東京、一般社団法人日本フラメンコ協会
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