
第16回 座・高円寺
ドキュメンタリーフェスティバル
2025年2月7日(金)~11 日(火・祝)まで、座・高円寺2にて開催
テレビ・映画・オンラインの枠を超えたドキュメンタリーの祭典!!
テレビ・映画・オンラインの枠を超えたドキュメンタリーの祭典「座・ 高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」が、今年も開催される。16 回目となる今回のテーマは“戦後 80 年 日々のこと”。戦争の記憶が失われつつある今、ヒロシマ、ナガサキ、オキナワ、原発、在日コリアンの若者たちの記録を通し、“私たちの今”と“戦後 80 年”を地続きに捉え、見つめる。また、ガザのパレスチナ人医師の「私は憎まない」という語り、ウクライナで失われていく市民の声なき声に耳を傾け、世界と私たちのつながり、かけがえのない家族との日々、命の大切さを考える。
主な上映作品は、特集部門では、「ローマの休日」のモチーフになったと言われるタウンゼンド大佐は後に長崎で郵便配達中に被爆した谷口少年と出会い取材した。娘がその想いを紐解く『長崎の郵便配達』。沖縄を撮り続ける写真家石川真生が自身の初期作を語る『オキナワより愛を込めて』。ウクライナ人記者の監督がロシア軍による残虐行為を命懸けで記録した『マリウポリの 20 日間』。在日の映画監督が朝鮮学校に通う生徒たちのありのままの姿を生き生きと映し出す『蒼のシンフォニー』などを上映。
ゲスト・セレクション部門では、アメリカ・ケンタッキー州の小さな町のドキュメンタリー・ワークショップで若者たちが貧困、過疎化などの問題に向き合おうとするが、上映会前日に大洪水が町を襲う。その後の町と若者たちの物語を追う『Appalachian Lenses』〈ワールドプレミア上映〉【諏訪敦彦選】、娘をイスラエルによる砲撃で殺されながらも共存の可能性を信じるガザの医師を描いた『私は憎まない』【安田菜津紀選】。マンハッタン計画のもとで生まれた町・リッチランドの知られざる歴史と現在を見つめる『リッチランド』【金平茂紀選】などが上映される。
戦争、社会、障害、芸術などのテーマにした上映作品全てに、制作者・関係者らが登壇。参加者と一体となって作品の魅力を共有し、社会の問題を考える機会を是非お見逃しなく。
ゲスト陣(順不同)
[ゲスト・セレクター]
森達也、古舘寛治、是枝裕和、諏訪敦彦、金平茂紀、安田菜津紀
[トークゲスト]
湯本和寛、金川雄策、内田英恵、日向史有、西村陽次郎、熊谷博子、
今野勉、長谷川三郎、山崎裕、川瀬美香、加瀬澤充、久保田徹、伊勢真一、
河邑厚徳、石坂健治、大島新、李相日、朴英二、玉城ティナ、砂入博史
2025年2月7日(金)~11 日(火・祝)まで、座・高円寺2にて開催
戦後という言葉の重みが軽くなってしまったのはいつ頃からだろう? かくも長き「戦後」の末に、私たちは出口の見えにくい閉塞感を感じる時代を生きている。時代に翻弄され、どんな状況に置かれても、人々は日々を大切に生きてきた。ドキュメンタリーはそうした人々の暮らしを記録する。あらためて、ドキュメンタリーが見つめてきた“日々のこと”をテーマに作品を選び上映することで、戦後 80 年を迎える私たちの今を考えてみたい。(プログラムディレクター 山崎 裕)
【特集部門】テーマ「戦後 80 年 日々のこと」
『かづゑ的』
(監督:熊谷博子 2023年|119分 日本語字幕付き、UDCast音声ガイド対応)
ゲスト:熊谷博子(本作監督)
瀬戸内海にある国立ハンセン病療養所、長島愛生園。宮﨑かづゑさんは10歳で入所以来、約80年、ずっとこの島で生きてきた。病気の影響で手の指や足を切断、視力もほとんど残っていない。本当の“らい患者”の感情を残したいというかづゑさんの覚悟を受け止め、8年通いつめた監督が記録した壮絶で美しい人生の記録。
2月8日(土)13:00~ 上映 | 15:00~ 上映後トークイベント
『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』
(監督:長谷川三郎 2012年|114分)
ゲスト:長谷川三郎(本作監督) 山崎裕(本作カメラマン、プログラムディレクター)
ヒロシマ、学生運動、三里塚闘争、自衛隊、公害、原発、そしてフクシマ。現場の最前線で「嘘っぱちのニッポン」を暴き続けてきた“反骨”の報道写真家、福島菊次郎90歳。「国の世話にならん」と年金を拒否、自らの原稿料だけで生計を立て、相棒犬ロクとの気ままな二人暮らし。その人生と写真が語る真の日本とは。
2月9日(日)10:30~ 上映 | 12:25~ 上映後トークイベント
『長崎の郵便配達』
(監督:川瀬美香 2023年|97分)
ゲスト:川瀬美香(本作監督)
「ローマの休日」のモチーフになったと言われるタウンゼンド大佐は、後にジャーナリストとなり、長崎で郵便配達の途中で被爆した谷口少年と出会った。大火傷を負いながらも生還し、生涯を核廃絶にかけた彼を取材しタウンゼンドは書籍を出版。タウンゼンドの娘、イザベルが父の著書を頼りに二人の想いを紐解いていく。
2月9日(日) 13:30~ 上映 | 15:10~ 上映後トークイベント
『夜明けへの道』
(監督・脚本・撮影:コ・パウ 2023年|101分|ミャンマー)
ゲスト:久保田徹(ドキュメンタリー映像作家)
ミャンマーの軍事クーデターにより、日常を突如奪われ、指名手配となった映画監督が、自身の逃亡生活と決意を記録したセルフドキュメンタリー。軍に都合が悪い情報を発信するものはすべて処罰の対象となるため、国内外に情勢を伝えることは困難な中、それでも、目を向けてほしいと制作された決意の実録映画。
2月10日(月)11:00~ 上映 | 12:45~ 上映後トークイベント
『花子』
(監督:佐藤真 2001年|60分 日本語字幕付き、UDCast音声ガイド対応)
ゲスト:伊勢真一(ドキュメンタリー映像作家)
数々の傑作を世に送り出しながらも2007年に49歳で急逝したドキュメンタリー作家・佐藤真が、重度の自閉症を抱えるアーティスト・今村花子さんと彼女を取り巻く家族の姿をとらえたドキュメンタリー。繰り返される今村家の日常のなかで、毎日変わることなく「たべものアート」を作り続ける花子さんの姿を映し出す。
2月10日(月) 14:00~ 上映 | 15:00~ 上映後トークイベント
『丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部』
(監督:河邑厚徳 2023年|88分)
ゲスト:河邑厚徳(本作監督)
丸木位里・丸木俊が、晩年に取り組んだのが壮絶な地上戦を体験した沖縄戦だった。このドキュメンタリーは、全14部をすべて紹介する初めての試みであり、戦いを生き延びた沖縄の人びとの切実な「命どぅ宝(命こそ宝)」に共感共苦した、丸木夫妻の「人間といのち」への深い鎮魂と洞察の軌跡を辿っていく。
2月10日(月)16:00~ 上映 | 17:30~ 上映後トークイベント
『はじけ鳳仙花 〜わが筑豊わが朝鮮〜』
(監督:土本典昭 1984年|48分)
トーク:石坂健治(映画研究者 ミシガン大学招聘教授)オンライン参加
ドキュメンタリー映画監督の土本典昭が、富山妙子の画集『はじけ!鳳仙花―美と生への問い』をもとに制作した記録映画。筑豊炭田を描き続けてきた富山自身が出演し、女優の李麗仙がナレーションを担当した。強制連行され炭鉱で重労働を強いられた朝鮮人たちと、横暴な日本人たちを描くリトグラフの創作過程を追う。
2月11日(火・祝) 10:30~ 上映 | 11:20~ 上映後トークイベント
『マリウポリの20日間』
(監督・脚本・製作・撮影:ミスティスラフ・チェルノフ 2023年|97分|ウクライナ・アメリカ)
ゲスト:大島新(ドキュメンタリー監督)、 山崎裕(プログラムディレクター)
2022年2月、ウクライナ東部に位置するマリウポリへロシアが侵攻を開始。AP通信のウクライナ人記者である監督は、仲間と共に現地へ向かい、攻撃が激化する市内で、死にゆく子供たちや遺体の山、産院への爆撃など、ロシア軍による残虐行為を命懸けで記録した。第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作品。
2月11日(火・祝)12:30~ 上映 | 14:10~ 上映後トークイベント
『蒼のシンフォニー』
(監督:朴英二 2016年|95分)
ゲスト:朴英二(本作監督) 李相日(映画監督)
朝鮮学校では高校3年生になると、祖国・朝鮮民主主義人民共和国を訪問する。彼らの祖国訪問の日々に同行し、在日コリアンの生徒たちのありのままの姿や、朝鮮の人々の素顔を捉えていく。在日の映画監督・朴英二が、逆境の中でも堂々と前を向いて生きていく彼らの希望に満ちた姿を、いきいきと映し出す。
2月11日(火・祝)15:15~ 上映 | 16:50~ 上映後トークイベント
『オキナワより愛を込めて』
(監督:砂入博史 2023年|101分|日本・アメリカ)
ゲスト:砂入博史(本作監督) 玉城ティナ(女優)
沖縄を撮り続ける写真家、石川真生が自身の初期作を語る自伝的ドキュメンタリー。1971年の11.10ゼネストを目撃したことをきっかけに写真家への道を進んだ石川は、日本に復帰したばかりの沖縄で、日記をつけるように写真を撮り続けた。作品とそこにおさめられた人々との物語が歴史や時代背景と共に語られていく。
2月11日(火・祝)18:00~ 上映 | 19:45~ 上映後トークイベント
◆特集 Yahoo! 短編ドキュメンタリー選
『心のアンテナ』『私のママが決めたこと~あの日から…家族の1年~』『“消えた”芸人』『今晩 泊めてください~シュラフ石田の生きる道~』
『心のアンテナ』( 監督:内田英恵|2023年|11分)
『私のママが決めたこと~あの日から…家族の1年~』( ディレクター:山本将寛|11分|フジテレビ「ザ・ノンフィクション」)
『“消えた”芸人』( 監督:日向史有|2020年|11分)
『今晩 泊めてください~シュラフ石田の生きる道~』( ディレクター:奥村かおり|5分|フジテレビ「ザ・ノンフィクション」)
※他3分の短編ドキュメンタリー3本を併映予定
ゲスト:内田英恵(本作監督) 日向史有(本作監督) 西村陽次郎 (「ザ・ノンフィクション」チーフ・プロデューサー ) 金川雄策( Yahoo!ニュース ドキュメンタリー チーフ・プロデューサー)
悩み相談サイトを通じて苦しむ人達に手を差し伸べ続けている住職を取材した「心のアンテナ」。アメリカ進出を目指す芸人・村本大輔に密着した「“消えた”芸人」。さらに、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」で放送された作品を短編化した2本など、一挙上映。
2月8日(土)10:30~ 上映 | 11:20~ 上映後トークイベント
ゲスト・セレクション部門
《森達也セレクション》
『78年目の和解 ─サンダカン死の行進・遺族の軌跡─』無料参考上映 ※トークは有料
(ディレクター:湯本和寛 2024年|50分|SBC信越放送)
ゲスト:森達也(映画監督、作家) 湯本和寛(本作ディレクター)
1945年に現マレーシア・ボルネオ島で起きた「サンダカン死の行進」。日本軍の無謀な移動命令によって、英豪軍の捕虜約2,400人のほか、日本兵や地元住民などが死亡した。元捕虜の親族や、戦犯として処刑された日本軍司令官の遺族など関係者20人余が戦跡をめぐり、真実と向き合った葛藤と軌跡を追った。
2月7日(金) 19:00~ 上映 | 入れ替え | 20:00~ 上映後トークイベント
《古舘寛治セレクション》
『はりぼて』
(監督:五百旗頭幸男、砂沢智史 2020年|100分)
ゲスト:古舘寛治(俳優) 山崎裕(プログラムディレクター)
2016年富山市で、ベテラン自民党市議の政務活動費の不正を、地元局がスクープ。これを機に不正受給が次々発覚し、市議14人がドミノ辞職した。市議会は「全国一厳しい」と言われる運用ルールを制定したものの、不正が発覚しても議員たちは辞職せず居座っていた。「はりぼて」と化した今の政治を抉るドキュメンタリー。
2月8日(土)16:00~ 上映 | 17:40~ 上映後トークイベント
《是枝裕和セレクション》
『天皇の世紀』無料参考上映 ※トークは有料
第13話 パリの万国博覧会(演出:今野勉 1973年|26分|朝日放送、国際放映)
第23話 廃仏毀釈(演出:伊丹十三 1974年|26分|朝日放送、国際放映)
ゲスト:是枝裕和(映画監督) 今野勉(第13話 「パリの万国博覧会」 演出)
大佛次郎の「天皇の世紀」を原作とした歴史ドキュメンタリー。「パリの万国博覧会」では1867年に開かれたパリ万博を訪れる徳川幕府の武士たちのひとりに伊丹十三が扮し、パリを闊歩する。伊丹十三が演出を務めた「廃仏毀釈」では、日本人と宗教の問題に切り込む。実験的な手法も多用された伝説的テレビ作品。
2月8日(土)19:00~ 上映 | 入れ替え | 20:05~ 上映後トークイベント
《諏訪敦彦セレクション》
『Appalachian Lenses』
(監督:加瀬澤充 2024年|85分)
ゲスト:諏訪敦彦(映画監督) 加瀬澤充(本作監督)
アメリカ・ケンタッキー州の小さな町で1969年から続いている若者向けドキュメンタリーワークショップ。本作は貧困、過疎化などの問題を抱える田舎町のリアルにカメラを通じて向き合う若者たちを映し出す。しかし、完成披露上映会の前日に襲った大洪水。その後の町と若者たちの物語を追う。
2月9日(日)16:15~ 上映 | 17:40~ 上映後トークイベント
《金平茂紀セレクション》
『リッチランド』
(監督:アイリーン・ルスティック 2023年|93分|アメリカ)
ゲスト:金平茂紀(ジャーナリスト)
第2次世界大戦下のアメリカ、マンハッタン計画のもとで生まれた町・リッチランドの知られざる歴史と現在を描いたドキュメンタリー。誕生と発展の歴史をひも解きながら、人々の何気ない日常の背景に常に原爆が横たわっていた町の姿、そして科学の進歩がもたらした人類の業を、重層的に浮かび上がらせていく。
2月9日(日)19:00~ 上映 | 20:35~ 上映後トークイベント
《安田菜津紀セレクション》
『私は憎まない』
(監督:タル・バルダ 2024年|92分|カナダ・フランス)
ゲスト:安田菜津紀(認定NPO法人 Dialogue for People副代表 フォトジャーナリスト)
3人の愛娘をイスラエル軍による砲撃で殺されながらも、なお共存の可能性を信じ、平和と人間の尊厳を追求するガザ出身の医師イゼルディン・アブラエーシュ博士。決して復讐心や憎しみを持たない博士の赦しと和解の精神は世界中の人々に感動を与えてきた。しかし2023年10月7日以降、彼の信念は再び試されることになる。
2月10日(月)19:00~ 上映 | 20:35~ 上映後トークイベント