佐藤 寿保(監督)
映画『可愛い悪魔』について【2/4】
2018年6月23日(土)より新宿K`s cinema 他全国順次公開
公式サイト 公式twitter (取材:深谷直子)
――主演に七海ななさんを選ばれた理由は?
佐藤 七海さんは以前、僕の別の作品のオーディションに参加してくれたんですよ。非常に勘のいい女の子だし、頭は冴えているし、可愛いし、やっぱり謎の部分もあるし。芝居をさせてみたらイケるなあというのがあって、その作品ではキャラクターが合わなかったんだけど、頭の片隅に残っていたんですよ。で、今回この映画の依頼があったときに「あっ!」と思って、僕の方から制作サイドに投げかけました。オーディションでお話したときに、少女性というか年齢を重ねても失わないピュアさを感じたので、今回の役柄に活かせるんじゃないかな?と。
――清純な雰囲気で、役にとても合っていました。もともと佐藤監督の作品に出たいという熱意のある方だったんですね。
佐藤 色々興味を持ってくれるというか、知らないことに踏み出すという、その点からも今回の美穂役にピッタリだなと。ある部分、頭はいいんだけど非常に不器用で、そこに男性としては手を差し出したくなる、絡められてしまう。本人の意識していないところで魅力を発散するというか。そこらへんがぜひ見てほしいところですね。
――そんな美穂を取り巻く男性3人を演じた杉山裕右さん、鐘ヶ江佳太さん、萩野崇さんはどうやって選ばれたんですか?
佐藤 オーディションで選びました。杉山くんはやっぱり不器用なんだけど、まだ固まっていない魅力が感じられたんですよね。染まっていないというか。そこで七海さんと絡ませたら化学反応が起こるんじゃないかな?と。
――杉山さんが演じた法月は美穂を追いかける傍観者といった役回りですが、こういうキャラクターを入れた意図は?
佐藤 今の男の子というのは傍観者的なところがありますよね。インターネットを通じて真実を探るじゃないけど。そういう語り部というか第三者的な視点を加えることで新たな展開の仕方が見えてくるんじゃないかと思って作りました。逆に言ったら少し離れた傍観者のほうがより引き込まれてしまうものじゃないかな?と。
――法月は美穂からあくまでも拒まれていますよね。
佐藤 でも拒否されればされるほど追ってしまうんですよね。それは手管というのでもない、美穂の女性としての魅力なんですよね。男は愚かな存在としてみんな振り回されちゃっているんですよ。
――ペイン、苦痛というのもテーマのひとつになっていますね。快楽の代償として苦痛があるというか、裏表の関係のような。
佐藤 ネット世代においては痛みというのも実感としては希薄で、いじめにしてもそうだし、SNSで叩くみたいなことも痛みを感じることなくやっちゃう。でも人間というのはぬくもりが必要で、関係性において痛みというのは必然なんですよね。痛みの中にも愛があると思うんですよ。ぬくもりを求めるというのは、半分痛みを求めているということでもあって、それによって相手に興味を向けさせるというかね。そこから絡め取られていってあいまみれるというか。そういったところを狙いとして傍観者である法月を作ったんです。
監督:佐藤寿保 脚本:いまおかしんじ
出演:七海なな/杉山裕右,鐘ヶ江佳太,後藤ちひろ,志賀龍美,志村彩佳,南久松真奈,ニシイアキラ/萩野崇
製作:嶋田豪 企画:土田準平 プロデューサー:赤井勝久,高瀬博行 撮影:鈴木一博 照明:大久保礼司
録音:植田中 音楽:田所大輔 編集:鵜飼邦彦 音響効果:丹雄二 メイク:ビューティ★佐口
特殊造形:土肥良成 衣裳協力:永野桃子 助監督:躰中洋蔵 共同研究:東京工芸大学映像表現研究室
制作:ベック 制作協力/配給 アイエス・フィールド © 2016「可愛い悪魔」製作委員会
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