脳内i-pod・サウンドトラックコーナー繁忙記

『大激闘』#11、『大都会PART II』#02

第二十回

佐藤 洋笑

祭り騒ぎはオワリ、ということで。
今更ですがオレは失恋なんてしていません。なぜならあんな女に恋などした覚えはありません。


4月10日

と、自分に言い聞かせるためにも――“10 秒に1発撃ち、1分に一人死ぬスーパーポリスアクション”『大激闘 マッドポリス'80』#11「爆殺マシーン」(脚本:宮田雪 監督:野田幸男)を観る。

ジャパンマフィアの贋ドル札製造工場の存在をかぎつけるマッドポリスの若手=70年代後期から80年代初頭のチンピラといえばこの人・中西良太。その贋ドルの原版のカギを握る窮地の桑山正一がJMに抹殺されたことで、怒りに燃える中西がJMを追い詰める。だが深追いがたたり、囚われの身となった中西は、洗脳を施され、ダイナマイト数本を懐に「爆殺マシーン」と化してマッドポリスのアジトに帰還する――。

ロックンロール・ミュージカル劇団・ミスタースリムカンパニー出身の軽い身のこなしが魅力の中西良太主演作。得意のオートバイ疾走シーンもたっぷり用意され、手堅く初主演を飾ります。同乗するクラリオン・ガール=堀川まゆみのラメの入ったツナギもイロっぽいでやんす。ゲスト・桑山正一のシレっと嘘八百並べ立てる偽札職人もこなれた芸を見ているようでココロ和みます。

話の展開としては宮田脚本らしいフロシキの広げ方で“マッポ80”ならではの一本でしたが、チト散漫なつくりのような気も…。描写全体にどこか軽みがあり、盛りだくさんのサイディアを繰り出す宮田脚本と粘り気の有る野田演出がいまひとつ相乗効果を生まなかったようです。同じブットビ系でも、一つ一つの描写やエピソードを丹念に書き込む高田純氏の脚本と野田演出の相性の良さに比べると、対照的かもしれません。

しかしながらクライマックス。船上で繰り広げられる大銃撃戦&大量殺戮。それをシレっと忘れたかのように分かり合った男と男という感じでニヤケてタバコの火を点けあう恒さんと中西の図は野田監督の独壇場。やはり痛快な一本でした。

とまれ、闘えマッドポリス! 来週も、撃て!殺せ!ブチ壊せ!

なお、今後の放送予定はこちら

次回は、長谷部安春監督再び当番。南原宏治、八名信夫、黒部進ら豪華悪役陣が勢ぞろいの「潜行大作戦」です。


4月11日

大都会PART II』#02「幻の総監賞」(脚本:佐治乾、監督:舛田利雄)を観る。

ヤッパを懐にしているところをオマワリに検挙された峰岸徹。黙秘を貫き通す峰岸に更なる事件の予感を感じる黒岩君。案の定、老刑事・丸山こと高品格が迷宮入りした強盗事件と峰岸の関係を掴むが、峰岸は針金を飲み込むというムチャな方法で留置場から脱出。しかも、入院先の渋谷病院からも逃亡。手負いの獣と化した峰岸の真の狙いとは――。

石原プロにしか許されないド派手アクションがまたもや炸裂!早朝の渋谷不動通りのアーケードを破壊しつつ峰岸が大型トラックで元恋人・范文雀を追い回す!ちなみにこの撮影で花屋が一軒倒壊しております。スゴイなあ、石原プロ。

こんなムチャクチャな見せ場を盛り込みつつも、峰岸の処遇をめぐり立場の違いから対立する刑事たちと渋谷病院の赤ひげ先生・裕次郎の心情や、単なる凶悪犯ではすませられない峰岸の過去、そして翳りある表情がそそる文雀と、都会にうごめく人間模様をキッチリ描いてしまうあたり、『大都会PART II』の奥深さがにじみ出ます。さすがの脚本は『ポルノ時代劇 忘八武士道』から『人妻集団暴行致死事件』まで、融通無碍に描ききった佐治乾氏。舛田監督の演出も、設定紹介に追われた#01以上の切れ味で本領発揮です。自信の表れか、本編ラストの飲み屋のシーンに顔まで出されたましたな(オープニングの佐藤オリエの紹介カットでも舛田監督の姿が確認できます)。

それにしても峰岸徹のネチっこい演技はいつ見てもいいですね。文雀を追い回す際の哀願の表情がいつしか狂気に変わり、「この売女!」と叫んで大暴走というシークエンスの呼吸のよさ。オレも自分の心情と重ねて見入ってしまいました。五社協定崩壊前後の荒波を乗り切った男ならではの重い存在感と軽いフットワーク。過小評価されているように感じるのはオレだけでしょうか。

なお、今後の放送予定はこちら

次回は、石原プロが初の空撮に挑んだ衝撃作。村川透のアクション演出のもと、三上寛が東京タワージャックを敢行する「白昼の狂騒」です。

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2008/04/17/16:24 | BBS | トラックバック (0)
佐藤洋笑 ,脳内i-pod
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