インタビュー
緒方貴臣監督/『飢えたライオン』

緒方 貴臣 (監督)
映画『飢えたライオン』について【1/6】

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2018年9月15日(土)より、テアトル新宿にてレイトショー!以降全国順次公開

チケットが即日完売となった昨年の東京国際映画祭での上映以来、海外映画祭からの上映オファーが殺到し、プチョン国際ファンタスティック映画祭ではNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)に輝いた注目作『飢えたライオン』が、いよいよ9月15日より公開される。監督は、『終わらない青』『子宮に沈める』など、物議をかもす映画を作り続けてきた緒方貴臣。担任教師の淫行の相手だというデマを流された女子高生・瞳に降りかかる悲劇に、覗き見するような淡々とした映像と、シーンの合間に差し込む黒味という独特の手法がマッチし、観る者自身の内側にある邪悪さをあぶり出す。急速に進む情報化社会の恐ろしさに震撼しつつ、鋭利で気骨ある作品を堪能してほしい。緒方監督に詳しいお話をうかがった。 (取材:深谷直子)
緒方 貴臣 1981年福岡市生まれ。高校中退後に起業し、25歳で退社するまで共同経営者として会社を運営する。海外放浪の後、映画の道に進むために上京。映画学校へ行くが、3ヶ月で辞め、2009年より独学で映画製作を始め、初監督作品『終わらない青』(11年)が沖縄映画祭で準グランプリを受賞し、劇場公開される。続く『体温』(13年)では、2年連続ゆうばり国際映画祭コンペ部門に選出され、国内外7つの映画祭で正式招待。前作『子宮に沈める』(13年)は、大阪2児放置死事件を基に制作され、児童虐待のない社会を目指す「オレンジリボン運動」の推薦映画となる。その他、病院や大学など全国各地で行政や市民による自主上映会も開催。社会問題を独自の視点と洞察力で鋭く切り取り、作品を通して世の中への問題提起を続けている。本作『飢えたライオン』で4作目となる。現在、次回作を準備中。
STORY 少女は、何度も殺される ある朝のホームルームで、主人公・瞳(18)のクラス担任が未成年への淫行容疑で警察に連行された。担任の性的な動画が流出し、その相手が瞳だという噂が学校内で流れ始める。そんなデマはすぐに忘れられるだろうと軽く考えていた瞳だが、中学生の妹やフリーターの彼氏・ヒロキからも噂のことを問いつめられ、不安になっていく。噂の影響で、瞳を性の対象として見るようになっていく周囲の男たち。友人、先生、家族にも信じてもらえず、追いつめられ、自ら死を選択する瞳。担任教諭の逮捕と生徒の自殺は、世間の注目を集め、マスコミの報道は過熱していく。そしてその情報は、ネットや人づてにどんどん広がり、社会によって瞳の「虚像」が作られていくのだった。
緒方貴臣監督1
――『飢えたライオン』は去年の東京国際映画祭でとても面白く拝見していました。緒方監督の今までの作品からスケールアップしたように感じます。

緒方 そうですね、少しずつ、一歩ずつ前進していると思います。

――制作面では、深田晃司監督の作品に関わられてきた方が参加していますね。共同プロデューサーの小野川浩幸さんは『淵に立つ』(16)の音楽を担当した方で、他にも撮影監督の根岸憲一さんや出演者の筒井真理子さんが名前を連ねています。監督のほうから働きかけたりしたのでしょうか?

緒方 少し狙ったところはあります。小野川さんは地元が同じ福岡で、以前から仲よくさせていただいていたんです。「いつか一緒に映画を作りたいね」と言ってくれていて、今回お声をかけたところ、すぐに「キャスティングどうしようか」「スタッフどうしようか」ということになって。根岸さんを紹介していただいて、筒井さんも呼ぼうということになりました。

――海外の映画祭ですでに脚本賞を獲られたりもしていますが、脚本も大きくなっているなと感じます。身近にある社会問題を取り上げているのは今までと同じですが、今までは主人公の身に起こることをドキュメンタリー的に追っていく感じだったのが、今回は構造が重層的になって、ミステリー要素が入ったり意外な展開をしたりしています。

緒方 そうですね、ちょっと映画的になったんじゃないかと思います。今までは主人公を覗き見ているような一人称映画をずっと撮っていたんですけど、今回はそのまわりにいる人も含めて、どちらかというと「集団心理」を描きたいなと思っていたので、ちょっと作り方を変えました。

――INTROに掲載されている『体温』(13)公開時の監督のインタビューを読み直したら、そこでもう4作目の構想を話していて、「いじめの映画にする」とおっしゃっていたんですよね。そのとき考えていたものと同じかどうかはわかりませんが、確かに『飢えたライオン』もいじめの映画と言うことができます。ただ、「いじめ」と言って思い付くのはクラスのような小さい集団で起こるものですが、この映画ではひとりの女子高生が社会全体からのいじめに遭っていて、これが今のいじめなんだなあと。当初からこういうものを描くおつもりだったのでしょうか?

緒方 すでにあるようなものを撮るつもりはなかったですね。僕が撮る必要があるものでないと意味がないので。僕自身にいじめられた経験があるんです。SNSというのは最初からそこまで考えていなかったと思いますが、今までにない新しいいじめの映画にしたいなと思っていました。

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飢えたライオン ( 2017年/日本/カラー/16:9/ステレオ/DCP/78分 )
出演:松林うらら 水石亜飛夢 筒井真理子 菅井知美 日高七海 加藤才紀子
品田誠 上原実矩 菅原大吉 小木戸利光 細川岳 遠藤祐美 竹中直人
監督・脚本・プロデューサー:緒方貴臣 脚本:池田芙樹 共同プロデューサー:小野川浩幸
撮影監督:根岸憲一 録音:岸川達也  編集:澤井祐美  音楽:田中マコト
配給:キャットパワー © 2017 The Hungry Lion
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2018年9月15日(土)より、テアトル新宿(東京)にてレイトショー!
10月13日(土)より、シネ・リーブル梅田(大阪)、元町映画館(兵庫)
10月27日(土)より、名古屋シネマスコーレ(愛知)
11月24日(土)より、小山シネマロブレ(栃木)
ほか全国順次公開

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  • 監督:緒方貴臣
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2018/09/14/20:21 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー
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