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第25回東京国際映画祭×アップルイベント レポート

第25回東京国際映画祭:2012年10月20日(土)~10月28日(日)まで、
TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて開催

10月8日開催イベント「インディペンデント映画を作ること・上映すること」

第25回東京国際映画祭(以下、TIFF)のプレイベントが6日と8日の2日間、Apple Store, Ginzaにて行われた。
1日目は「新しい才能に出会う」をテーマに 矢田部吉彦氏(以下、矢田部PD)と石坂健治氏(以下、石坂PD)によるトークイベント。
コンペティション部門よりインドの天才新人監督による『テセウスの船』、アジアの風部門より韓国の同じく新人監督作品『眠れぬ夜』、日本映画・ある視点部門より新人女性監督作品『少女と夏の終わり』など、5部門より計14作品が紹介された。
映画祭の作品選定についての話になると、石坂PDは「ジャンル・監督のキャリア・地域などを考慮して全体的にバランスよくなるように気をつけています。今年は第25回目にふさわしくゆかりのある監督の作品が集まりました。数多くの作品を鑑賞するので公平に観られるように体調管理が基本です」と、矢田部PDは「今回500本近い作品を観ました。1日10本ということも。10本も観続けると精神状態も変わってくるので、選定に影響しない様に1本目と10本目を同じ精神状態で観られるようにしなければなりませんでした。」と語った。また、「評価が定まっていない作品や監督など、新しい才能に遭遇することを楽しんでいます。それにロジャー・コーマンほか審査員の方々が、我々の選定した作品をどう観るか楽しみです。日本はアジアの中でも魅力ある映画市場です。TIFFに多くのアジア作品が集まり、アジアの映画文化を釜山国際映画祭とともに世界に発信し、ビジネスに繋げていけたら。」と今後のTIFFの展望を示した。

2日目は「インディペンデント映画を作ること・上映すること」をテーマに、第24回東京国際映画祭、日本映画・ある視点部門 作品賞受賞『ももいろそらを』の小林啓一監督、原田博志プロデューサー、矢田部PDによるトークイベント。『ももいろそらを』をつくったきっかけ、作品が出来上がるまでの経緯、世界各国の映画祭を巡った感想などを聞いた。
小林監督は「日本のインディペンデント映画は、撮影日数を短く、ボランティアスタッフを多くしてぱっと終わらせる傾向があるが、良い映画を作るために少人数で期間を長く、各自が自分の役割を担って作っていくものづくりをしたかった。そのため、2カ月半という撮影日数をかけた。」と語る。
矢田部PDは、女子高生の会話が生き生きしていることを、一語一語が効いている見どころだとし、小林監督は「電車の中で会話を聞いたり、ステレオタイプの女子高生像を反面教師とした」と答えた。キャスティングに関しては、脚本が出来上がった時点で各プロダクションに持ち込み、おもしろいと手を挙げたところと会って、顔合わせをした。主人公のいずみ役に関しては、オーディションの時に会話がぎこちなく、ぼんやりしているところが逆になんでも吸収してくれるのではないかと感じさせたところから、池田愛に決めた。
リハーサルには2、3カ月かけ、キャストが役を掘り下げるようにした。やっていくうちに役になりきっていった。
出資者が、脚本段階でついていたが、最終的に降りてしまい、原田プロデューサーが自ら工面することとなった。
完成後、30ほどの映画祭に応募したが、なかなかノミネーションされず、小林監督が原田プロデューサーにいら立ってしまうときもあった。そんなとき矢田部PDから東京国際映画祭の「日本映画・ある視点」への出品の話があり、結果的に作品賞を受賞した。その後、サンダンス映画祭、香港国際映画祭などへの出品が決まったが、サンダンス映画祭でプロデューサーに、「ハリウッド映画以外は全部インディペンデント映画だ」と言われ、「海外で名前を売りたい。ハリウッドに挑戦したい」という意気込みを感じたと語った。
Twitterや会場から質問を受け付け、2人が答えた。

Q.モノクロの描写は、観る人にとってどのような印象を受けると考えますか?
A.『違和感を感じさせつつもモノクロはぐっと画面に観客を近寄らせる効果があると思う。ひとつの武器だと思う。』

Q.脚本執筆にあたって、小林監督が思い描いた女子高生像とはどのようなものですか?
A.『求めるよりも与える側の人物として描こうとした。書くうちに主張する女子高生に変わってきた。』

Q.映画館で見ることと、iPadやiPhoneの配信で見ることと共存すると思いますか?
A.『映画館は時間を共有する、体験することだと思う。iPadで見るのとは違う行為として共存する。』(小林監督)
『配信で見るのも良いと思うが、我々は大きな画面で見ることを前提で作っているので、映画館でのライブ感も楽しんでほしい。』(原田プロデューサー)
両方とも別物なので、共存できる。リュミエール兄弟が不特定多数に見せる映画を作り、エジソンが一人を対象に箱で見せる映画を作ったのを思い出させる。

関連情報

第25回東京国際映画祭 主な上映作品/プログラム

http://www.tiff-jp.net/

2012年10月20日(土)~10月28日(日)まで、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて開催

コンペティション

『アクセッション ― 増殖』『天と地の間のどこか』『ティモール島アタンブア39℃』『黒い四角』『風水』
『フラッシュバックメモリーズ 3D』『ハンナ・アーレント(原題)』『シージャック』『未熟な犯罪者』『ニーナ』
『NO』『もうひとりの息子』『テセウスの船』『メイジーの知ったこと』『イエロー』
観客賞 受賞作品(コンペティション部門のなかから、一般観客からもっとも多くの支持を得た1作品を上映)
東京 サクラ グランプリ 受賞作品(国際審査委員により選ばれた、映画祭最高賞を獲得した作品を上映)

『人生の特等席』
クリント・イーストウッド出演 『人生の特等席』
© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
『牙狼<GARO>~蒼哭ノ魔竜~』
『牙狼<GARO>~蒼哭ノ魔竜~』
© 2012 雨宮慶太/東北新社
特別招待作品

『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』『人生の特等席』
『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ]』
『007 スカイフォール スペシャル・プレゼンテーション ~007 シリーズ誕生50周年記念~』
『エヴリシング・オア・ナッシング:知られざる007誕生の物語』
『青木ヶ原』『アルゴ』『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』
『カラスの親指 by rule of CROW's thumb』
牙狼<GARO>~蒼哭ノ魔竜~』『グッモーエビアン!』
『渾身 KON-SHIN』『砂漠でサーモン・フィッシング』
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』『旅の贈りもの 明日へ』
『終の信託』『綱引いちゃった!』『のぼうの城』
『マリー・アントワネットに別れをつげて』
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』『横道世之介』
『レッド・ライト(仮題)』

アジアの風

アジア中東パノラマ/インドネシア・エクスプレス~3人のシネアスト/ディスカバー亜州電影~伝説のホラー&ファンタ王国カンボジア
現在世界の映画界でも、最も活気のあるアジア圏(中東地域を含む)で製作された作品の中から優れた作品を上映。

日本映画・ある視点

活況を呈している日本映画の中から、インディペンデント系の作品を中心に、ひときわ個性のきらめく新作を上映。 『愛のゆくえ(仮)』『あかぼし』『サンタクロースをつかまえて』『GFP BUNNY─タリウム少女のプログラム─』『少女と夏の終わり』『NOT LONG, AT NIGHT 夜はながくない』『はなればなれに』『あれから』『何かが壁を越えてくる』
PFFグランプリ受賞作品『くじらのまち』上映

WORLD CINEMA

今年のロッテルダム、ベルリン、カンヌ、ヴェネチア、トロントなどの国際映画祭で話題になった作品や、有名監督の新作で、原則として日本公開が2012年8月末現在で決定していない欧米の作品を集めたのがこの部門です。各映画祭の受賞作品や、個性派監督の問題作、巨匠監督によるドキュメンタリーなど、コアな映画ファンであれば見逃せない作品が揃っています。

10/20(土)20:45~ natural TIFF
自然と人類と環境問題をテーマにした地球愛に溢れる力強いドキュメンタリー8作品を上映

10/20(土)23:00~ レイモンド・チョウ オールナイト
香港映画界を代表するプロデューサー、レイモンド・チョウ氏の代表作3作品!

10/22(月)18:30~ 日米フィルムアカデミー事前申込(無料)/先着順
「リバース」上映&トークセッション ハリウッドで活躍するジム・ウィテカー監督の一夜限りの上映企画

10/23(火)~25(木) 日本橋で日本映画を観よう
日本橋で日本人の心に迫る上映企画

10/27(土)15:30~ みなと上映会 家族で楽しむ屋外上映 入場無料・申込不要

10/27(土) 文化庁映画賞 受賞記念上映会 入場無料・事前申込制
文化庁記録映画部門の大賞・優秀賞作品を上映!

10/27(土)23:00~ 特別オールナイト コーマン魂
娯楽映画の王道、これこそがコーマンズ・ウェイ!

2012/10/14/21:12 | トラックバック (0)
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