大西 信満/『華魂 幻影』

大西 信満 (俳優) 映画『華魂 幻影』について【4/5】

2016年4月30日(土)より、新宿K’s Cinemaにて公開

公式サイト 公式twitter 公式Facebook (取材:深谷直子)

『華魂 幻影』場面3 『華魂 幻影』場面7 ――映画館の雑然とした雰囲気が懐かしかったです。今は映画の観方も変わってしまっているなと思いました。映画館っていろんな人が集まるところで、この映画ほどのことはなくてもちょっといかがわしいような場所でもあり、行くことが特別な体験だったと思うんですけど、どこも同じようなシネコンでは、ただ映画を大画面で観るだけのところという意識しか持てないだろうなと。

大西 僕は「映画バンザイ! 永遠の愛 あなたは直視できるか!?」っていうこの映画のコピーがすごく好きなんです。この時代に映画館に集う人を、あえておかしく脚色して描き、最後破綻していくのを愛おしいなと思ってもらえたらいいなと、そして映画館について考えてほしいなということをすごく思います。当然ながら映画館は慈善事業じゃなく営利目的でやっているわけだから、お客さんが減って採算が取れなければ潰れていくというのは当然のことで、しかも昔と違って映画館に行かなければ映画が観られないという時代でもなくて、レンタルショップやネット配信で何百円か出せばあっという間に観られるという状況の中で、いかにしてミニシアターという存在を守っていくか、商業として考えるだけだったら守り切れないんだけど、歴史だとか文化としてどこまで捉えて保護していくか、そういうことに繋がっていく作品だと思います。映画でメシを食わせてもらっている者として、そこまで自分は考えてしまったりするので。本当に最近多いんですよ、地方の映画館の閉館が。

――第三セクターによって運営されていた富山のフォルツァ総曲輪の上映休止のニュースが最近話題になりましたね。スタッフの方ががんばっているのをSNSで見ていたので、私もショックでした。

大西 みんながんばっているんですよ。存続を決めるのは商業としてどれだけ成り立つかということなんだけれど、お客さん一人一人の顔を僕らは覚えているわけですよね。富山に行ったら「あのおばちゃんがまた来てくれているな」とか、尾道に行ったら「あのおじさんがまた質問してくるだろうな」とか、いろんなことを思うんです。それはちゃんとそこに人がいるということで、映画館が潰れるとそういう人との繋がりも断ち切られてしまうんです。この映画を観て、そういう現状の流れをどう変えるのかということを考えるきっかけになればいいなと思います。あと、これはこの作品とは関係のないことかもしれないけど、僕は先週「若松孝二生誕80年祭!」(3月26日~4月8日 @ポレポレ東中野)で8日間連日トークのホスト役を務めさせてもらって、舞台上と、そのあとも飲みに行っていろんな先輩方の話を聞いて、なおさらそういう想いを強くしましたね。それがなかったら今日こういう話はしていないのかもしれないです。今自分が喋っていることって、若松監督がいつも言っていたことだし。「どうやってミニシアターを守っていくか?」と。この作品にはそういうことをすごく感じるんですよね。

――大西さんがそういう想いを持っている方だというのを見込んでこの作品に起用しているのではないかという気もします。

大西 そこまでは考えていないと思いますけど……。ただ、僕がこの作品に出ることになったのにはいろいろな要素があると思うんだけど、その中にプロデューサーの小林良二さんの存在は確実にあると思いますね。小林さんは若松監督の作品でキャスティングをされていて、そこから10年以上の付き合いで、この作品に対しての強い気持ちも何となく知っていたし、その中で今回自分に任せてくれたということで、それを粋に感じてどう結果として返していくか?というのは自分の中のモチベーションになりました。もちろん僕のほうにもこの作品に惹かれた要素はいろいろあって。僕は瀬々(敬久)さんの作品を『マリアの乳房』(14)と『64‐ロクヨン‐』(16)の2回やらせていただきましたけど、瀬々さんと佐藤監督の関係というのもいち映画ファンとして知っているので、瀬々さんの現場をやってみて「佐藤監督の現場ってどんな感じなんだろう?」っていう好奇心もありました。いまおかしんじさんの脚本も素晴らしいですし、いろんな想いがありますね。

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華魂 幻影 2016年/日本/カラー/ステレオ/83分
出演:大西信満 イオリ 川瀬陽太 愛奏 吉澤健 真理アンヌ 三上寛 他
監督・原案:佐藤寿保 プロデューサー:小林良二 脚本:いまおかしんじ 音楽:大友良英
共同研究:東京工芸大学 制作・配給・宣伝:渋谷プロダクション 製作:華魂プロジェクト
© 華魂プロジェクト
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2016年4月30日(土)より、新宿K’s Cinemaにて公開

2016/04/28/20:34 | トラックバック (0)
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