大西 信満 (俳優) 映画『華魂 幻影』について【3/5】
2016年4月30日(土)より、新宿K’s Cinemaにて公開
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――脇を固めるのもそうそうたる方々ですね。若松作品の初期からの常連の吉澤健さんや、フォークシンガーでもある三上寛さん、そして川瀬陽太さんなど、個性が強くて幅広い層への吸引力もある方たちだなと。
大西 そうですね。三上さんとは出番が一緒のシーンもあって、「この映画を成功させたい」という想いを持っている感じがすごくしました。川瀬さんは前から知っていて、仕事を一緒にしたことはそんなにないけど、飲み屋ではよく会うんですよね(笑)。この作品を現実とシンクロさせると、川瀬さんはこの映画館のお客さんなんです。映画がすごく好きでいろんな映画を観に行っていて、映画館が潰れるというのはこういう人たちが行き場をなくすということなんですよね。映画に強い想いを持つ人たちが集まったな、という気がします。
――大西さんが演じたのは映写技師の役ですが、映写の練習はされたんですか?
大西 練習はしていないですけど、お手本を見せてくれる方は現場にいました。まあまったく縁もゆかりもない職業ではないので、フィルムの扱い方だとか何となくは分かっているわけじゃないですか。僕らの世代はそれを知っているギリギリの世代になるかと思うんですけど。上野オークラ劇場の映写室でロケをしたんですけど、別の作品でもそこを使ったことがあったので、そういうところでも奇遇な縁を感じたりして。
――そんな作品があるんですか?
大西 まだ公開されていない作品で、『ファイブ トゥ ナイン』(15/宮崎大祐監督)という海外との合作映画です。
――ああ、それも映画についての映画なんですか。オークラもそういうロケによく使われていたんですね。
大西 映写室を使わせてくれるところが少ないんじゃないですかね。
――映画館の映画というのもいいですね。今やこういうこじんまりした経営の映画館もなかなかないと思うんですが。
大西 映画館という設定に対してもホンを読んだ段階から思うところがあったけれど、できあがった作品を観たら、自分が思っていた以上にいろんなものが詰まった作品だったんだなあということをあらためて思いました。僕自身、今までいろんな地方の劇場を舞台挨拶で回ることがとても多かったし、そんな中で劇場がどんどん衰退していくのを目の当たりにして、「今度あの劇場が閉館するらしい」という情報を聞くたびに自分の歴史が消えていく感じがあって。地方のミニシアターとかに行くと本当にあたたかく迎え入れてくれて、人間関係が築かれるんですよ。でも時代の流れでそうしたミニシアターがどんどん淘汰されていって、この作品の映画館もそういう状況じゃないですか。それを悲しい話として描くんじゃなくて、思いっきりコミカルに、清々しいほどの馬鹿な描写で描いて、でもそこに悲しさみたいなものを僕は感じるんです。ホンを読んだときはそんなことは思わなかったけれど、初号で観たときにそう感じました。みんなめちゃくちゃで狂っているんだけど、映画が好きで狂っているわけだから、愛おしいなと僕は思うし、そういうものがお客さんに伝わればいいなと思います。面白おかしく笑いながら観てもらって、「めちゃくちゃだな。でもさ……」って思ってもらえたらいいんじゃないかなと。
出演:大西信満 イオリ 川瀬陽太 愛奏 吉澤健 真理アンヌ 三上寛 他
監督・原案:佐藤寿保 プロデューサー:小林良二 脚本:いまおかしんじ 音楽:大友良英
共同研究:東京工芸大学 制作・配給・宣伝:渋谷プロダクション 製作:華魂プロジェクト
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