尾関玄 監督 ――尾関監督とプロデューサーの内藤諭さんは中学時代の同級生だそうですね。珍しいですね、中学からの友達と大人になっても関係が続き、しかも一緒に映画を作っているというのは。

尾関　そうですね。でもこの映画の衣装をやってくれた「Ka na ta」っていうブランドのデザイナーも同じ中学校なんですよ。加藤哲朗っていうんですけど。

――そうなんですか。みなさん中学生のときから映画が好きだったんですか？

尾関　僕と内藤くんはそうですね。

内藤　地元は愛知県の春日井市なんですけど、中学のときにレンタルビデオショップのゲオができて。ゲオって春日井の企業なんですよ。

――へえ～っ。じゃあゲオでビデオを借りて一緒にいろいろ観て。

尾関　はい、ゲオが僕らを作ってくれた（笑）。

――（笑）。そのときから映画監督を目指していたんですか？

尾関　まあ漠然とですね。中・高では撮ってはいないですけど、「東京に出て映画を撮るぞ」っていうことは考えていました。専門学校時代に内藤くんと一緒にISIOという自主製作の団体を立ち上げて映画を作っていました。学校を卒業してからは、プロの映画の現場でスタッフとして仕事をしていたんですけど、10年ぐらいプロの仕事をやって、「ここでもう1回自主映画を撮ろう」と話を持ちかけて。それが『ハルをさがして』になっていきました。

――中学生の視点で震災を描くユニークな映画になりましたが、どうやってできていったんですか？

尾関　まず最初に中学生の話を撮ろうというのが頭にあって、プロットなんかの準備をしているときに震災が起きて。で、もし僕が福島の中学生で、自分だけが他の土地に避難して、友達はみんな福島に残っているという状況だったらどうするだろう？と考えて始まっていきました。

――元々中学生の話を撮ろうとしていたのは、やっぱり中学生時代が素敵な思い出となっているからですか？

尾関　今から思えば恥ずかしいんですけど、夜の自動販売機の前で夢とか恋とか語って……（笑）。やっぱりどっかあるんですよね、今の自分があるのは中学時代があるからで、だから「中学生」っていうキーワードが自分の中で湧いてきたんですよね。