インタビュー
遠藤ミチロウ監督/『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』

遠藤 ミチロウ (監督・ミュージシャン)
映画『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』について【1/9】

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2016年1月23日(土)より、新宿K's cinemaにて公開、以降、全国劇場および上映機会にて順次公開

伝説のパンクバンド、ザ・スターリンの解散後は、ひとりで日本中をめぐるツアーを行い、2011年に東日本大震災が起こるとプロジェクトFUKUSHIMA!の立役者として福島の復興支援に奔走。独自の道行くミュージシャンの遠藤ミチロウ氏が、そんな2011年の激動の日々を自らカメラで追っていた。5年の月日を越え、初めての監督作品としてこの度公開されるのが、本作『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』である。還暦ツアーに端を発した映画作りのさなかに故郷・福島が震災に見舞われ、ツアーでまわる各地と福島、現在と過去を行き来するうちに、2011年と1945年、福島と奄美と広島とアリゾナ……、自分が遠ざけてきたものと惹かれてきたもの全部が繋がり、映画は不思議な自分還りの旅の記録ともなった。ミチロウ氏の柔軟さと不屈の精神にパワーをもらいながら、2011年に立ち返って、私たちはどこに進めばいいのかをもう一度考えていきたい。映画撮影後も福島復興のための活動をさらに進める中、2014年には膠原病と診断されて入院と活動休止を余儀なくされ、だが翌年に復活すると詩集『膠原病院』とアルバム『FUKUSHIMA』を同時に発表し、羊歯明神とTHE ENDという2つの新バンドを結成……と、刻々と変化を続ける遠藤ミチロウ氏に、昨年11月の65歳の誕生日前日、インタビューする機会をいただいた。  (取材:深谷直子)
遠藤ミチロウ監督遠藤 ミチロウ 1950年福島県生まれ。1980年、パンクバンドTHE STALINを結成。過激なパフォーマンス、型にはまらない表現が話題を呼び、1982年、石井聰互(現・石井岳龍)監督『爆裂都市』に出演。同年メジャーデビュー。1985年、THE STALIN解散後、様々なバンド活動を経て1993年からはアコースティック・ソロ活動を開始。21世紀に入り多彩なライブ活動を展開、さらに詩集、写真集、エッセイ集なども多数出版。また、中村達也(LOSALIOS)とのTOUCH-ME、石塚俊明(頭脳警察)と坂本弘道(パスカルズ)とのNOTALIN'S、クハラカズユキ(The Birthday)と山本久土(MOST、久土‘N’茶谷)とのM.J.Qとしても活動。2011年、東日本大震災の復興支援として「プロジェクトFUKUSHIMA!」を発足し、数々の活動を展開する。同年の還暦ソロツアーを中心に撮影を行い、初監督映画『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』を製作。2014年に突如膠原病を患い、入院。その時期に書いた詩集「膠原病院」を出版、同時にアルバム「FUKUSHIMA」を発表。2015年、アンプラグドパンク民謡バンド「羊歯明神」、自身最後のバンドとして「THE END」と2つのバンドを結成。さらに精力的な活動を始動している。/遠藤ミチロウ公式サイト
――2011年に撮影された『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』は、60歳になられたミチロウさんのセルフ・ドキュメンタリーであり、震災後の激動の数ヶ月を記録する映画ともなりました。2011年の1月に大阪で行われたザ・スターリンの復活ライブから始まっていますが、映画を撮るきっかけはどういうものだったのですか?

遠藤 2010年の11月に還暦を迎えて、年が明けて1月から撮っていますが、スターリンの復活ライブの映像は、元々は映画とは関係なく撮っていたものだったんです。DVDとかにしようかなと思って。そしてそのライブのあとにシマフィルムさんと知り合って、「ドキュメンタリー映画を作りませんか?」とお話があって。「監督は誰がやるのかなあ?」と思ったら決まっていなかったので、「じゃあ自分が監督のようなことをやって作りましょうか?」ということになって。で、スターリンのライブを撮影してくれていたのもシマフィルムの人だったので、じゃあその映像も映画に使ってそこから始まるようにしようかと。

――お話をいただいた時点で、どんなドキュメンタリーにするかということも提案されていたんですか?

遠藤 最初からどういうドキュメンタリーにしようかというのはなくて、撮っていきながら考えましょう、という話をしていて。監督も全然決まっていないということだったので、自分が監督というのも変ですけどそういう形で「僕のロード・ムーヴィー的なものを撮ろうかな?」と始まっていきました。

『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』場面1――他の監督の目を通すのではなくて、自分の日記のように撮っていくというのがミチロウさんらしいなと思いました。しかも、撮り始めたときにはまさかこういうことになるとは思いも寄らなかったでしょうけど、3月に震災が起こり、ミチロウさんはプロジェクトFUKUSHIMA!の活動を行うことになりました。とても多忙だったときに映画まで撮っていたことに驚きましたが、ミチロウさんの目線からの貴重な記録になりましたよね。

遠藤 撮り出したら震災が起こって、プロジェクトFUKUSHIMA!を立ち上げて。それでもツアーはずっと続けていくことにしていたので、並行ですよね。福島に向かっていくことと、各地へのツアーのことを並行で撮っていって、最後に福島でライブ(「フェスティバルFUKUSHIMA!」8月15日)をやるっていう感じの映画になっていきました。

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お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました
監督:遠藤ミチロウ
プロデューサー:志摩敏樹 撮影:高木風太 録音・整音:松野泉 制作進行:酒井力
編集:志摩敏樹、松野泉 撮影協力:柴田剛 宣伝美術:境隆太 配給担当:田中誠一
出演:遠藤ミチロウ、THE STALIN Z(中田圭吾、澄田健、岡本雅彦)、THE STALIN 246(クハラカズユキ、山本久土、KenKen)、NOTALIN’S(石塚俊明、坂本弘道)、三角みづ紀、竹原ピストル、盛島貴男、AZUMI、山下利広(BIG MOON Cafe)、麓憲吾(ASIVI)、伊東哲男(APIA40)、中川澄夫(TE-TSU)、中川ミサ子(TE-TSU)、佐伯雅啓(OTIS!)、大友良英、和合亮一、二階堂和美、オーケストラFUKUSHIMA!、遠藤チエ
2015年/日本/カラー/DCP/5.1ch/102分
製作・配給:シマフィルム株式会社 ©2015 SHIMAFILMS
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2016年1月23日(土)より、新宿K's cinemaにて公開、
以降、全国劇場および上映機会にて順次公開

2016/01/21/19:11 | トラックバック (0)
深谷直子 ,インタビュー

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