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東日本大震災から 8 年後に、 宮城県石巻市大川地区で撮られた 2 本の映画
フィクションとドキュメンタリーの手法で描く “その後の私たち”

『春をかさねて』
『あなたの瞳に話せたら』

『春をかさねて』画像『春をかさねて』 『あなたの瞳に話せたら』画像『あなたの瞳に話せたら』

公式サイト 公式 𝕏 

2024年12月7日(土)~27日(金)シアター・イメージフォーラムにて
<3 週間限定>公開ほか全国順次ロードショー

INTRODUCTION

新進気鋭の映画作家が見澄ます、
震災を経験した“その後の子どもたち”
全国各地の反響を経て、満を持して劇場公開

『春をかさねて』『あなたの瞳に話せたら』は、石巻市大川地区を舞台に撮られた中編映画である。『春をかさねて』は震災で妹を亡くした 14 歳の祐未を主人公に、二人の女子中学生の繊細な心の揺れを瑞々しく描き出すフィクション。『あなたの瞳に話せたら』は、津波で甚大な被害を受けた石巻市立大川小学校で友人や家族を亡くした当時の子どもたちによる、書簡形式のドキュメンタリーとなっている。

監督は、1996 年生まれ、宮城県石巻市出身の佐藤そのみ。幼少期から地元を舞台にした映画を撮りたいと志し、日本大学芸術学部映画学科で映画を学んだ。東日本大震災から 8 年後の 2019 年に、石巻市大川地区で大学の友人や地元の住民らの協力を得て、2 つの中編を撮影。そのうちの一本で、卒業制作として発表したドキュメンタリー映画『あなたの瞳に話せたら』は、「東京ドキュメンタリー映画祭 2020 短編部門 準グランプリ・観客賞」を受賞。大学卒業後は、テレビ番組制作会社や映画配給会社に勤務する傍ら、これらの2作品の自主上映を全国各地で行った。今年、次代を担う若手映画作家の発掘と育成を目的とした「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」の製作実地研修を受ける作り手4名のうちの一人として選出されるなど、これから期待の若手映画作家だ。
10 代の頃から被災者の一人として取材を受ける立場だった佐藤だが、「描かれるよりも、描きたかった」と自ら脚本を書き、カメラを携えたこれらの作品は、NHK を始めとする報道番組や新聞などで大きく取り上げられ、各地で評判を呼んでいたことから、満を持して劇場公開が決定した。

作品詳細

『春をかさねて』 (2019年/日本/カラー/45分/G)

製作・監督・脚本・編集:佐藤そのみ
出演:齋藤小枝,齋藤桂花,齋藤由佳里,芝原弘,秋山大地,安田弥央,幹miki,鈴木典行
撮影:織田知樹,李秋実 録音:養田司,中津愛,工藤忠三 配給:半円フィルムズ 宣伝:高田理沙 ©SonomiSato

『春をかさねて』場面画像1 『春をかさねて』場面画像2

「妹さんの安否を知ったときのこと、教えていただけますか」
14 歳の祐未は、被災地を訪れるたくさんのマスコミからの取材に気丈に応じている。一方で、同じく妹を亡くした幼馴染・れいは、東京からやってきたボランティアの大学生へ恋心を抱き、メイクを始めた。ある放課後、祐未はそんな彼女への嫌悪感を吐露してしまう。
二人の女子中学生の繊細な心の揺れを瑞々しく描き出すフィクション。震災遺構として現在は立入禁止となっている大川小学校などで撮影された。

『あなたの瞳に話せたら』 (2019年/日本/カラー/29分/ドキュメンタリー/G)

監督・撮影・録音・編集:佐藤そのみ
日本大学芸術学部映画学科 2019年度卒業制作
東京ドキュメンタリー映画祭2020 短編部門「準グランプリ」「観客賞」受賞作
イメージフォーラム・フェスティバル2020「ヤング・パースペクティヴ2020」入選作

配給:半円フィルムズ 宣伝:高田理沙 ©SonomiSato

『あなたの瞳に話せたら』場面画像1 『あなたの瞳に話せたら』場面画像2

東日本大震災による津波で児童 74 名・教職員 10 名が犠牲になった石巻市立大川小学校。大川小で友人や家族を亡くした当時の子どもたちは、あれから何を感じ、どのように生きてきたのか。それぞれが故人に宛てた手紙を織り交ぜながら、自身も遺族である「私」がカメラを持って向き合う。震災から 8 年半、時間が変えたものと変わらないもの。書簡形式のナレーションで素朴に語られる言葉に宿る、やわらかな感性に胸を打たれる。

COMMENTARY ※五十音順・敬称略
  • 死者に向かっても生者に対しても、鎮魂でないカットはひとつもない映像だ。
    再構成であれ、ドキュメンタリーであれ。 あのとき大川小学校の子供たちに何があったかを、何度も語り直すこと、記録すること、伝えること。それがそこで生きる人の日々の営みなのだと頭を垂れる。
    ――いとうせいこう(作家・クリエーター)
  • たとえ震災のような大変な経験がなくとも、人が生きてゆくというそのことだけでも大変で、そのなかで自分の感受性を正確につかむことは難しく、その感受性が表現に結実していることに驚きました。ただただ「花が花の本性をそのまま開花させる」という、素朴であるのにもっとも難しい表現に触れたと感じました。――今村純子(美学・表象文化論/立教大学特任教授)
  • 切り取られてきたものを、自らの手で「撮り戻す」。その覚悟があまりに強く押し寄せて、私はただ、見つめることしかできなかった。自分の無力さを知り、同い年の彼女のまなざしに心から敬意を抱いた。
    ――小川紗良(文筆家・映像作家・俳優)
  • この作品は、ひとつひとつの言葉がとぎすまされている。たっぷりとした時間と、ていねいな葛藤が、言葉をはりつめさせるのだろう。作品を受け取ったわたしたちにできることは、今も、これからも、もがきながら向きあうひとたちをひとりにしないことなのだろう。――永井玲衣(哲学者・作家)
『春をかさねて』場面画像3『春をかさねて』 『春をかさねて』場面画像4『春をかさねて』
  • 他人に撮られてしまうことの違和感は、自分自身が撮ることで消えただろうか。
    おそらくそうではないだろう。
    しかし、違和感からけして目を背けず、違和感を抱きかかえながら撮り切ることで、この真摯で勇敢な制作者は、確実に大きな一歩を踏み出し、これまで誰もスクリーンで見たことのない光景を現出させた。
    ――三浦哲哉(青山学院大学教授、映画研究・評論)
  • 心打たれました。つい何度も涙がこぼれ落ちそうになりながら、それを押しとどめられるような凄みがありました(といっても 2 回目は、冒頭とタイトルとバスと合唱と他いろいろと、ぜんぜん我慢できませんでしたが)。もし、今年公開される映画のうち一本しか 10 年後に持っていけないとしたら、『春をかさねて』を選びます。題材ゆえというよりも、映画としての具体的な探求ぶりに、その真剣な実践に、同じ時代の作り手として、一人の人間として、深く驚き、反省し、刺激を受けました。――三宅唱(映画監督)
  • ちぎれ、もつれ、散らばってしまった心はいつか元に戻せるのだろうか? 時がやがてそれを平らにしてくれるのかもしれないが、もっと大事なのはそれを他人と持ちあえるかどうかだと、この二つの映画に教えられた。
    ――鷲田清一(せんだいメディアテーク館長)
『あなたの瞳に話せたら』場面画像3『あなたの瞳に話せたら』 『あなたの瞳に話せたら』場面画像4『あなたの瞳に話せたら』

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2024年12月7日(土)~27日(金)シアター・イメージフォーラムにて
<3 週間限定>公開ほか全国順次ロードショー

2024/12/04/19:32 | トラックバック (0)
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