尾関 玄 (監督) 映画『ハルをさがして』について【2/6】
2016年8月6日(土)より、下北沢トリウッドにてロードショー
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――この作品は『スタンド・バイ・ミー』(86)ふうに、4人が福島に冒険のような旅に出るというストーリーになっていますが、4人の個性がハッキリしていて面白いですね。キャラクターはどんなふうに作っていったのですか?
尾関 オーディションをやったのが大きかったなと思います。いろんな子役の方に来てもらって。実は台本上だと、マサルとヒロキってどっちがどっちという差がそんなにないんですよね。でもオーディションでまずこの「モジャ」(クセ毛の橋本一輝)が来て、小泉凱もすごい様子のおかしい男の子だったので、なんかこの二人を置いてノボルがいたら、台本では出し切れていない各々の個性とかが上手い具合に立ちましたね。
――子役の役者たちが本当にいい味を持っていて。橋本くんの髪は元々こうなんですね(笑)。これでミリタリーオタクというのが本当に強烈でした。小泉凱くんも表情がすごく面白くて上手だなあと思っていたのですが、これが映画デビューなんですよね。
尾関 そうなんです。凱がみんなを引っ張ってくれていて、すごくよかったですね。
――小柴大河くん演じる主人公のノボルと、本当に三者三様でした。ノボルはカメラ小僧ですが、ここには監督ご自身の投影もあるのですか?
尾関 そうです、ノボルはかなり中学生時代の自分を投影していますね。
――そんな男の子三人に佐藤菜月さん演じる美少女のチエコが絡み、あとチエコの親友のトモミというところが主要なキャラクターとなりますが、子役はみんなオーディションで決められたんですね。
尾関 そうです、かなりたくさんの応募がありました。トモミちゃん役の女優さんは内藤くんが中学生のときに片想いしていた女の子にそっくりで(笑)。プロデューサー権限でチエコ役よりも先にトモミ役が決まりましたね。
内藤 おい!
――(笑)。でも女の子が二人とも本当に可愛らしくて、切ないお芝居が胸に迫りました。
尾関 はい。それで僕はノボルくんなので、ノボルとしてチエコに感情移入しちゃって、演出するときはもちろん菜月ちゃんと話をしますけど、それ以外のオフでは喋れないんですよ。素直になれなくて。好きだったんでしょうね、菜月ちゃんのことが。
――え!?
内藤 気持ち悪いっすね~(笑)。
――はははは。すごく面白い現場だったんでしょうね。ストーリーとしても、核にあるものはシリアスで繊細なんですが、ユーモアのセンスが効いていて童心に帰るような感覚を味わいながら楽しく観ました。脚本を書く上で特に意識したのはどんなことですか?
尾関 やっぱり社会的なテーマがベースにあるんですけど、観てもらって「面白かったね」と思ってもらわないことにはせっかくフィクションでやる意味がないなとは思っていて。説教くさい映画にだけはしないように、観た人にクスッと笑ってもらったりしながら楽しんでもらって、最後にちょっと前向きになれるような映画にしようとしましたね。中学生男子の目線で、好きな女の子と旅行に行くことのときめきとか、中学生がゆえのひたむきさとか。あくまでも中学生の青春映画というのを目指しました。
――中学生だけでのこういう旅って実際はなかなかできないことのようにも思うのですが、やったことあります?
内藤 やりましたね。卒業旅行ですけど、青春18きっぷで、鈍行に乗って愛知県から東京に行きました。こんな冒険旅行じゃないですけど。
尾関 僕も行きました?
内藤 行きましたよ(笑)。男7人組で。そこに衣装をやった加藤くんもいましたね。
出演:小柴大河 佐藤菜月 小泉凱 橋本一輝 / 洞口依子 小沢仁志
脚本・監督:尾関玄
企画・製作・配給・宣伝:ISHIO プロデューサー:内藤諭 撮影:栗田東治郎
録音・整音:小牧将人 編集:石川真吾 音楽監督:遠藤浩二
主題歌「呼んでくれ」甲本ヒロト
©2015 ISHIO
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