インタビュー
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督/『その手に触れるまで』画像© Christine Plenus

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ (監督)
公式インタビュー
映画『その手に触れるまで』について
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2020年6月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込んでいく少年を、‟特別な子供”ではなく、“すぐそばにいる子供”の成長を見届けるような温かさで描き出し、第 72 回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した最新作『その手に触れるまで』について、新型コロナウイルスの影響で自宅待機中のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督にオンラインでの取材を敢行。作品の着想や舞台設定、撮影時の裏話など詳しいお話をうかがった公式インタビューをお届けする。
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ 兄のジャン=ピエールは1951年4月21日、弟のリュックは1954年3月10日にベルギーのリエージュ近郊で生まれる。リエージュは工業地帯であり、労働闘争のメッカでもあった。ジャン=ピエールは舞台演出家を目指して、ブリュッセルへ移り、そこで演劇界、映画界で活躍していたアルマン・ガッティと出会う。その後、ふたりはガッティの下で暮らすようになり、芸術や政治の面で多大な影響を彼から受け、映画製作を手伝う。原子力発電所で働いて得た資金で機材を買い、労働者階級の団地に住み込み、土地整備や都市計画の問題を描くドキュメンタリー作品を74年から製作しはじめる。……公式サイト

STORY 世界の名匠、ダルデンヌ兄弟がそっと差し出す、厳しさと優しさに満ちたラストシーン。
13 歳の少年アメッドはどこにでもいるゲーム好きの普通の少年だったが、尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめり込み、 学校の先生をイスラムの敵と 考え、抹殺しようとする。狂信的な考えに囚われてしまった少年の気持ちを変えることはできるのだろうか……?

「テロの温床」を舞台に、
幼きテロリストを描いた理由とは――

『その手に触れるまで』 『その手に触れるまで』場面1 『その手に触れるまで』場面2
――『その手に触れるまで』は2015年から16年にかけてパリとブリュッセルのほか、ヨーロッパで数度にわたって起こったテロに着想を得ているのでしょうか。

ジャン=ピエール・ダルデンヌ(以下、JP) 最初に題材として考えたのは「過激なイスラムの純潔の理想によって急進化した若者が脱急進化して、元の人生を取り戻させられるか」です。どうしたら、急進化した状態から離れられるか、が大切だと思いました。テロそのものはきっかけではありませんが、後押しにはなりました。

――本作の後半の舞台は少年院とその校正プログラムである農場です。取材などからその舞台設定を考えたのでしょうか。

JP 『その手に触れるまで』の少年院のシーンは本物の少年院を使用しました。そこに少年たちが収監されていますが、その中にイスラム教過激派のテロを行った人は多くて一人か二人。多いのは暴力事件などを起こした子供たちです。映画の中で教育官や心理士などが少年たちに見せる思いやりや共感は、取材をしたことをもとに設定したものです。

リュック・ダルデンヌ(以下、L) 少年院では大体農場に行く研修があります。すべての少年ではなく、一部の少年です。私たちがインスピレーションを得たのは、友人の女性が書いたルポルタージュです。殺人を犯した少年が農場に行くことで、農場を好きになり、自分がやったこと、過去を思い出してばかりだったのに前向きになっていったそうです。アメッドは自ら人に触れたりすることがなかった。人に触ることは不浄だと考えているけれども、農場のシーンのアメッドから、実は動物に触れるのが実は嫌じゃない、むしろ好きだということが分かるのです。そのルポルタージュを反映しています。

――アメッドが命を狙うイネス先生もムスリムです。彼らの住まいや学校の地域は「テロの温床」と呼ばれているムスリムが多く暮らすブリュッセル郊外のモレンベークがモデルなのでしょうか?

JP 撮影はいつも撮影している場所(リエージュ郊外のセラン)です。でも確かにモレンベークのような場所をモデルに考えて撮影しました。殉死した従兄については、具体的なテロリストではありませんが、シリアなどに行って、事件を犯した人をイメージしました。アメッドも従兄もベルギーに生まれ、ベルギーで教育を受けた人たちです。そんな人たちまでが狂信化していくことに映画を撮る動機がありました。これまでにない、新しい種類の人たちが狂信化してテロを行う、自分たちがやっていることは良いことだ、と死を崇拝する。その事実に動かされて映画を撮りました。『その手に触れるまで』の出演者の中には、テロリストになってしまった人と、幼少期に関わりがあったという人もいました。

――日本にとってイスラム教は遠い存在です。ベルギーにとってはなじみがあるものなのでしょうか?また、本作を観たムスリムの方々の反応はどういったものでしたか?

L ベルギーでは人口約 1,100 万人中、 50 万人がムスリムで、イスラムは二番目に多い宗教です。雇用差別は今も少しはありますが、大半のムスリムは同化しています。ベルギーで暮らしているムスリムにはマグレブ系、モロッコから来た人たちが多いです。ムスリムの高校でも『その手に触れるまで』を見せましたが良い反応でした。映画を観て、学校でも議論が起きました。宗教の議論をしていられる間は良い関係だと思います。

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その手に触れるまで (2019年/ベルギー=フランス/84 分/1.85:1 映倫:G)
第72回カンヌ国際映画祭 監督賞受賞
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:イディル・ベン・アディ、オリヴィエ・ボノー、ミリエム・アケディウ、ヴィクトリア・ブルック、クレール・ボドソン、オスマン・ムーメン
エンディング曲:フランツ・シューベルト「ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960 第二楽章 Andante sostenuto」(演奏:アルフレッド・ブレンデル)
英題:YOUNG AHMED 原題:LE JEUNE AHMED 後援:ベルギー大使館 配給:ビターズ・エンド
© Les Films Du Fleuve - Archipel 35 - France 2 Cinéma - Proximus - RTBF
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2020年6月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館ほか全国順次公開

2020/06/05/18:01 | トラックバック (0)
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