04年5月特集/世界の中心で、愛をさけぶ
2004年 日本
監督 行定勲
脚本 坂元裕二
伊藤ちひろ
行定勲
出演 大沢たかお
柴咲コウ
長澤まさみ
森山未來
山崎努
天海祐希
杉本哲太
宮藤官九郎
津田寛治
近藤芳正
木内みどり
田中美里 他
( Words & Illustrated by中川 泰典 )
<< 作品概要 >>
ある日、朔太郎(大沢たかお)の婚約者、律子(柴崎コウ)が突然姿を消してしまう。彼女が二人の故郷・
四国にいることを知った朔太郎は、帰郷の道すがら、十数年前に喪ってしまった、
初恋の少女のことを思い出す――。
2005/05/01/12:14 | トラックバック (3) | 世界の中心で、愛をさけぶ ,中川泰典 ,今月の注目作
世界の中心で、愛をさけぶ
(2004 / 日本 / 行定勲) 世界の果てまで逃げ延びろ! 膳場 岳人 見る者の人生/恋愛経験によって、かなり好き嫌いの分かれる映画ではなかろうか。高校時代、 淡くも真剣な恋をしたことのある人にとっては、魅了される要素の多い作品かもしれない。心底好きだった相手を事故や病気で亡くした人なども、 心の奥深く秘めていた喪失の哀しみを刺激され、平井堅熱唱のエンディングにいたっては滂沱必須なのかもしれない。 映画の出来不出来とは関係なく、そういうことは大いにありえる。筆者が『菊次郎の夏』の夢のシーンで号泣する理由なんて誰にも分かるまい。 みんながみんな、ひと時の涙を流すことで浮世の世知辛さを忘れようとしている時代なので、こんな映画が必要とされるのも分かる気がする。 片山恭一の原作の売上、251万部(5/7現在)は出版不況のご時世では圧倒的である 続きを読む
2005/05/01/12:12 | トラックバック (4) | 世界の中心で、愛をさけぶ ,膳場岳人 ,今月の注目作
世界の中心で、愛をさけぶ
(2004 / 日本 / 行定勲) 完璧なる学芸会 百恵 紳之助 公開二日目の日曜日。池袋ヒューマックスシネマズ4の前には女子中高生どもとその彼氏どもの長蛇の列ができていた。 筆者は前売り券を持っていたのだが、それを窓口で劇場用のチケットに換えねばならずその長蛇の列の中におよそ三十分間「あーオレ、 今どんな目で見られてんだろ・・・」などと思いながら佇んでいた。 おそらく年に一、二度映画館に足を運ぶか運ばないかのこの連中は劇場内でもうるさい。「一人で来ているのはオレだけだろうな、多分」 そう思うと、これから映画が始まるということとは何の関係もなくなぜか血圧、心拍数ともに妙に高くなっていき、 一刻も早く場内が暗くなってくれることを祈りながら、「理由ないけど、気に入らねー」モードに突入してしまったのである。 そんな良くない気持ちで映画を観 続きを読む
2005/05/01/12:10 | トラックバック (0) | 世界の中心で、愛をさけぶ ,今月の注目作 ,百恵紳之助
世界の中心で、愛をさけぶ
(2004 / 日本 / 行定勲) 二つに引き裂かれた主体と空中分解した物語 仙道 勇人 白血病による恋人との死別―― 悲恋物語のモティーフとしては新しいわけでも珍しいわけでもなかった本作の原作が、空前の大ヒットを飛ばしている。恐らく、 現在進行形の物語ではなく、物語に「過去の追憶」というフィルターをかけたことが、 多くの人に感銘を与えた最大の要因だったのではなかろうか。本作は、その原作をそのまま映画化するのではなく、 少しだけ未来の地点から描くことで、原作を読んだ人にも楽しめるようにしたという。 物語は大別すると大沢たかおのパート(原作)と柴咲コウのパート(オリジナル)に分けられているのだが、 現在の風景を曇り空の暗い映像にし、過去の風景をビビッドな映像に分けるなど、 丁寧に作り込まれた大沢パートは実に味わいのある仕上がりである。 続きを読む