今月の注目作

04年8月特集/誰も知らない

誰も知らない

2004年 日本
監督 是枝裕和
脚本 是枝裕和
出演 柳楽優弥
    北浦愛
    木村飛影
    清水萌々子
    韓英恵
    YOU
    串田和美
    岡元夕紀子
    平泉成
    加瀬亮
    タテタカコ
    木村祐一
    遠藤憲一
    寺島進 他

( Illustrated by中川 泰典 )

<< 作品概要 >>
秋、2DKのアパートに数個のスーツケースが運び込まれる。 引越し業者が帰った後、スーツケースから飛び出したのは、 それぞれ腹違いの兄妹である子供たち。彼らの母親のけい子は、アパートに入居するため、 大家に「長男との二人暮し」とウソをついていたのだ。事実の露見を怖れるけい子は、 子供たちに向かって、「大きな声で騒いじゃダメ」「学校にも行っちゃダメ」 とここでのルールを教え込む。ところが、好きな男性ができたけい子は、 長男の明に幼い妹や弟の世話を押し付けて、出奔してしまう。明、長女の京子、次男の茂、 次女のゆき。四人だけの生活が始まり、ある日、取り返しのつかない悲劇が起きる――。

公式サイト

2005/05/01/12:32 | トラックバック (0) | 誰も知らない ,中川泰典 ,今月の注目作

誰も知らない

(2004 / 日本 / 是枝裕和) 無垢との長いお別れ 膳場 岳人  ごくありふれた2DKに数個のスーツケースが運び込まれ、 その中から次々と小さな子供たちが飛び出すという、夢のような場面からこの物語は始まる。長兄の明、次女の京子、次男の茂、末っ子のゆき。 皆はいきいきとした表情で母親にまとわりつき、母親も無邪気な態度で子供たちに応じる。彼女はアパートに入居するため、 大家にウソをついている。夫は海外へ出張中であり、自分は長男・明との二人暮らしであると。その嘘を守り通すために、彼女は子供たちに、 大声で騒ぐことや学校へ登校することを禁ずる。子供たちはそのいいつけを遵守する。やがて多情な母親には好きな男ができる。彼女は出奔し、 部屋には幼い四人の兄妹と、外出を禁じる愚かなルールだけが残される――。  キャメラは存在感の稀薄な父親のような佇ま 続きを読む

2005/05/01/12:31 | トラックバック (0) | 誰も知らない ,膳場岳人 ,今月の注目作

誰も知らない

(2004 / 日本 / 是枝裕和) 誰にも知られてない子が見てる 百恵 紳之助  筆者が小学生だった頃、近所にコブラというあだ名の友達が住んでいた。 顔がアトピーだらけでコブラのような皮膚になっていたからコブラというあだ名がついた。コブラのお父さんは一度だけ見たことがある。 ほとんど家にいない人だったのだと思う。お母さんは頭をボウズに剃り上げており異様に迫力があったが、 いつも早口でお父さんのことを罵る言葉を口にしていた。そのお母さんもしばらくすると見なくなり、 コブラの家はお婆ちゃんとコブラとコブラの弟だけになった。コブラの家は我々の溜まり場になった。出入り自由、 土足オッケーのコブラの家は実に汚かった。この映画の主人公明の爪の黒ずみを見て、強烈にコブラを思い出した。 冷蔵庫の汚れ方やカーテンの汚さもコブラの家と同じだった。  我々にと 続きを読む

2005/05/01/12:29 | トラックバック (1) | 誰も知らない ,今月の注目作 ,百恵紳之助

誰も知らない

(2004 / 日本 / 是枝裕和) この上なく生々しく、残酷なジュブナイル 仙道 勇人  1988年に発生した「西巣鴨子供置き去り事件」をモデルにした本作は、 ジュブナイルと呼ぶにはあまりにも痛々しい作品である。一般的に、ジュブナイルと呼ばれる作品は、 その根幹に未来への肯定的な眼差しを胚胎しているものである。だからであろう、"痛み"を描くことがあっても、 それは超克すべきものという暗黙的な前提がある。だからこそ、この前提を実現する多くのジュブナイルは、「成長の物語」 として感動を誘いうるのだろう。しかし、本作においては、超克すべきものは何一つとして存在しない。未来に対する眼差しすらもない。 あるのはただ、堆積していく彼らの日常性だけでにすぎない。にもかかわらず、本作は紛れもなくジュブナイルなのである。 それもこれ以上にないくらい生々しく 続きを読む

2005/05/01/12:28 | トラックバック (1) | 仙道勇人 ,誰も知らない ,今月の注目作

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